◆役に立つかもしれない花図鑑

最終更新日:2000.10.9

●目次


★花山行のススメの巻

−なぜ山に登るのか?− あなたならどう答えますか。自分の場合は"花山行"。花を見ながらの山行というのは、実に楽しいものである。つらい登りも、花のジュータンを見ると一気に吹き飛ぶし、あこがれの山で見た一輪の花、というのも忘れ難いものである。特に高山植物は、全体の大きさの割に花が大きく、色も濃く、また夏の短い期間に一斉に咲くので、非常に印象深いものになる。寒さにも乾燥にも耐えて花開く姿は感動的である。

花は、鳥や動物とは違って、数が多く身近な存在であることも、魅力の一つである。しかし、逆に花は種類が多すぎてどうも・・・、という方が多いのも事実である。実際、花の名前を覚え、識別するというのは大変なことには違いない。でも、極端な話、名前なんて覚えなくてもよいのである。これはユメ花で、これはロマン花、ってな具合に勝手に呼んでもよいのだ。大事なのは、区別することだと思う。こちらの花は少し大きいゾとか、少し色が違うよナとか。"区別する"ことを覚えてくると、今まで何気なく登っていた道が、思いがけず花に溢れていたことに、ふと気が付くであろう。それが、登山道が単なる"通過点"でなくなった瞬間である。

最後に、図鑑の紹介を。お手軽版としては、「ヤマケイポケットガイド」シリーズ、少し物足りなければ、「山渓フィールドブック」シリーズ、樹木や園芸植物など何でも知りたければ、「山渓ポケット図鑑」シリーズ あたりがいいと思う。

花は自分の心を写す鏡のようなもの。"自分の花"を探しに出かけてみよう。


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★早春の花の巻

花が一番楽しい季節はいつ? と聞かれたら、高山植物の咲く夏と答える人が一番多いと思うが、では花が一番嬉しい季節は? と聞かれたら皆さんはどう答えるだろう。僕の場合は春先かな。町では一年中何か花があって、華やかなのはいいけど逆に季節を感じない。でも山は別世界。春先最初に見つけた花って、たとえ質素な花でもやはり印象的なんだよね。今回は、このように役得?な早春の花を紹介しよう。

●白 ・セツブンソウ(節分草) ・ミヤマカタバミ(深山傍食)
   ・タムシバ(噛柴) ・アセビ(馬酔木)
●黄 ・フクジュソウ(福寿草) ・キブシ(木五倍子)
●黄緑 ・シュンラン(春蘭)

春先咲く花の代表選手は、まずはセツブンソウであろう。2〜3月、関東以西の石灰岩地に白い花を咲かせる。日本特産の多年草。同じキンポウゲ科でやはり同じ頃咲くフクジュソウの派手な鮮黄色に比べると、小形で地味な感じ。でもそのシンプルさがかえって人気がある。筆者も大好きである。埼玉県両神村には、セツブンソウの自生地とフクジュソウの群落がある四阿屋山があり、この両方の花が同時に見られる。

同じくシンプルさが美しいのは、山地などのやや乾いた所に咲くシュンラン。淡黄緑色の質素なランで、他のランに比べると華やかさは無いが、控えめな美しさで魅せる。これまた筆者は大好き。別名:ホクロ。

雪国の春先の花で、まず思い浮かぶのはタムシバ。よくコブシと間違われるが、コブシのほうは花の下に小さな1枚の葉があるので区別できる。小枝を折ると芳しい香りを放ち、また葉を噛むと甘みがある。

キブシはどこの山に行ってもよく見かける。谷間の道筋に特に多い.雌雄異株でクリーム色の釣鐘形の花を穂状につける。キブシとは木のフシ(ヌルデの茎葉につく虫こぶ)のこと。キブシ科。

ミヤマカタバミは、低山の木陰などに生える多年草。5弁の白い清楚な花を咲かせる。葉はクローバーに似ているが、こちらは、マメ科ではなくカタバミ科で、全く別物。カタバミの属名のオキザリス(oxalis)は酸っぱいという意味。茎や葉にシュウ酸を含み、噛むとかすかに酸っぱい。

アセビは、山地の乾いた所に多い常緑の低木。白い壷形の花をつける。乾燥に強く尾根道にも多い。有毒で、葉を馬などが食べると中毒を起こしまるで酔っているようになる、というのがこの花の語源。

これらの花を見つけると素直に嬉しい私めでありました。


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★春の花の巻

別に申し合わせて同じ時期に咲いているわけではないだろうが、花にはそれぞれの季節に応じた雰囲気がある。僕なりのイメ―ジで言えば春の花は"可愛いく"、夏は"元気よく"、そして秋は"少し寂しげ"だ。今回は可愛らしい春の花の巻である。(スミレは別巻でとりあげます。)

●白  ・イチリンソウ(一輪草) ・ニリンソウ(二輪草)
    ・アズマイチゲ(東一華) ・キクザキイチゲ(菊咲一華)
●青紫 ・キランソウ(金瘡小草) ・キュウリグサ(胡瓜草)
●赤紫 ・ムラサキケマン(紫華鬘) ・カタクリ(片栗)
●黄  ・キジムシロ(雉筵)

まずはキンポウゲ科のイチリンソウキクザキイチゲ。これらの花の属名はAnemone。洋花のアネモネと同じ仲間で美しい。もっとも白い花びら状のものはガクで花びらは無い。地上に芽を出し実を結ぶまで2ヶ月足らずで終える。この仲間はカゲロウのようにはかない命なので、スプリング・エフェメラルと呼ばれる。

イチリンソウは名の通り直径4cm位の、春にしては大柄!の花を一輪つける。残念ながらあまり見られない。ニリンソウは径2cm位。たびたび群落を作る(上高地は特に有名)もちろん2輪の花が咲くのだが、同時ではなく多少ずれて咲くのが特徴。時には4輪位つけているのもある。

アズマイチゲは全体に柔らかい感じ。東は関東でよく見られるという意味。筆者の印象ではむしろ雪国に多い。雪解けの後一斉に咲く。同じくキクザキイチゲも雪解け後に群生したいへん華やかである。アズマイチゲと違い花柄に毛がある。色は白〜紫まで変化がある。

キランソウの金らんとは刃物傷のことで、切傷や火傷に効くとされることからの名前。別名はジコクノカマノフタ。薬草として有効で"地獄の釜に蓋をして"病人を直すことよりの名前。イシャコロシと呼ぶ地方もあるらしい。

キュウリグサは径2mmほどの小さい花。葉を揉むと胡瓜の匂いがする。どこにでもある花なのだが、あまりに小さい為ほとんどの人は気づかずに通り過ぎてしまう。でもムラサキ科らしい愛らしさをちゃんと備えているので御一見あれ。

ムラサキケマンも比較的多い。華鬘とは仏堂の内陣の欄間などにかける花鳥や天女を透し彫りにした金・銅製の飾りのこと。秋に芽生え葉を地面に平らに広げて冬を越す。果実は熟すと突然裂けて種子を飛ばす。

カタクリはご存じ春の代表的な野草。花は日が当たらないと開かない。種から花が咲くまで7〜8年かかるという。根の鱗茎はかつて、かたくり粉の材料とされた。

キジムシロは日当たりの良い山地で咲く。放射状に丸く広がる株をキジが座るむしろに見立てた名前。

まだ紹介したい花はいっばいあるけど今回はこのへんで。


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★すみれの巻

何を隠そう、日本はすみれ王国である。実に多くの種類のすみれが、実に豊富に見られる。約60種類が自生し、細かい品種まで含めると200種を越えるらしい。事実、春の野山に行けば何かしら見られる。それだけにありふれていると思われがちだが、よく注意して見よう。花の色や大きさ、葉の形が「違うんだなこれが」、てなわけで今回はすみれの巻である。

すみれの語源は、花の形が大工道具の墨入れ(墨壷)に似ているからと言われる。事実その複雑な造形美は見飽きない。ところで、皆さんはこの花が、じつは実をつけないことをご存じだろうか。閉鎖花と呼ばれる、あまり花らしくない地味な花が実際はこの後に咲き、自家受粉し実をつける。そして熟すとホウセンカみたいに飛び散る、という仕組みである。

●紫  ・スミレ(菫)
●薄紫 ・タチツボスミレ(立坪菫) ・スミレサイシン(菫細辛)
●赤紫 ・アケボノスミレ(曙菫) ・エイザンスミレ(叡山菫)
●白  ・ケマルバスミレ(毛丸葉菫) ・ツボスミレ(坪菫)
●黄  ・タカネスミレ(高嶺菫) ・キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪)

ややこしい話だが、桜にはサクラという名前の桜はないが、菫にはスミレという名前の菫がある。この花の色は濃い紫、いわゆる菫色である。葉はへラ形で長い。日当たりのいい丘陵地などに多いが、山ではあまり見かけない。花の形、色、姿など、スミレという名前がよく似合う花である。

菫でもっともよく見られるのがタチツボスミレ。人家付近から山地まで至る所で咲いている。色が薄くて葉がハート形、茎が枝分かれするのが特徴。なおこの枝分かれする、しないというのは、菫の大きな分類ポイント。

スミレサイシンは日本海側に咲く比較的大型の菫。ワサビによく似た意外に太い根を持つ。葉は無毛。太平洋側にはく長い葉のナガバノスミレサイシンが咲く。山地の林の下に多い。白花形もよく見かける。

アケボノスミレは、花の色がきれいなピンク。花が咲く頃はまだ葉が丸まっていることが多い。筆者の好きな菫だが、皆さんははどうだろう。

エイザンスミレは、葉が細かく切れこんでいるので一目でわかる。比叡山に産する菫の意味。夏になると葉が約30cmとばかでかくなる。

ケマルバスミレは、文字通り全体に毛が多く、葉が丸い。山野でよく見かける。まれに毛がないのがあり、マルバスミレといい区別する。

ツボスミレは、もっとも小形で花は1cm以下。花は白だが、紫のすじがよく目立つ。花の時季は他と比べて遅いような気がする。坪とは庭の事。

黄色い菫というと意外な顔をする人が多いが、高山では逆に一般的。これからの山行でもきっと見られると思う。代表的なのが上の2つ。タカネスミレは砂レキ地に多い。葉は厚く、同じ黄色でも濃い感じ。キバナノコマノツメは対照的。湿り気の多い所に咲き、葉はうすく柔らかい。

「山路来て何やらゆかしすみれ草」松尾芭蕉。芭蕉さんの見た菫は、さてさてどの菫だったのだろう?いろんな菫を捜しながら歩くのもまた楽し。


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★レンゲツツジの巻

Rainy Season到来である。我々山屋にとって雨ほどうっとうしいものはない。視界はきかず、せっかくのの展望も台なし。服はびしょびしょ濡れネズミ。寒くておちおち休憩もできやしない。花なんか見る気になれないよ!−ちょっと待てい、待たれよ。"見ぬのなら見させてみせる梅雨の花" とはちと大げさだが、6月の花は、シラネアオイといい、ミズバショウといい、なかなかの"したたか者"が多いのである。なかでもレンゲツツジは、雨でも見映えのする"したたか者"の代表選手であろう。一度6月下旬の霧ガ峰に行ってみるとよい。あの朱色の大ジュータンには誰もが圧倒されるであろう。霧ガ峰に限らず、全国各地の高原(霧ガ峰高原、湯の丸・高峰高原(小諸のあたり)、六方ガ原(栃木)などに大群落が見られる。尾瀬などの湿原にも多い。

レンゲツツジの特徴をざっと言うと、高さ2mほどの落葉低木、葉は短い柄があり、先端がとがる。花はロート状で径6cmほど。枝先に2〜8個位集まって咲く。花の先端は5裂し、上面に濃い赤色の班点がある。花の付きかたが、ぐるりと輪生に咲いているのをハスに見立てて、蓮華ツツジという名前がつけられた。

同じつつじ科のシャクナゲは、高原というよりは山の花のイメージが強い。俗に、常緑・10本おしべのシャクナゲ、落葉・5本おしべのツツジと言われるが、必ずしもそうではないらしい。ちなみに、シャクナゲは、奥秩父の十文字峠(6/中〜)が有名である。

さて、このように我々の眼を楽しませてくれるレンゲツツジであるが、実は有毒植物である。"美しいものにはトゲがある"。用心されよ、ご諸兄!?


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★キンバイ系黄色の花の巻

高山植物という言葉は不思議な魅力を持っているようだ。厳しい高山帯の環境で、風雪・乾燥に耐え、ひっそりと色鮮やかに、体に似合わず大きな花をつける高嶺の花々−確かに我々は大きなロマンを感じる。

ところで、この高山植物はもともと北極等の寒い地方に分布していた植物で、今から100万年から1万年前の氷河期に各地に広がった。その後気候が暖かくなり、高山に生き残った "遺存植物"−それが今ある高山植物の姿なのである。思えば極地方もヒマラヤも日本も高山帯の植物は祖先が同じなのであり、高山植物の種類は似通っている。

今回は、黄色系の花で特に混同しがちな次の5種類を取り上げる。

●キンバイの仲問(ばら科)
ミヤマキンバイ ・キンロバイ ・ミヤマダイコンソウ
●キンポウゲの仲問(きんぽうげ科)
ミヤマキンポウゲ ・シナノキンバイ

上記の花はどれも似通ったものであるが、ポイントを押さえれば識別は比較的容易である。まず、花の大きさ。シナノキンバイは大柄で径3〜4cmある。花自体も他より派手でより茂った感じ。なお花びらに見えるのは実際はがく片。

他の花は2〜3cmの大きさ。キンロバイは落葉の低木。ただし木とはいってもせいぜい60cm程度。葉も特徴的。マメ科のような羽状複葉で小葉は長さ1cm、幅数mm程度。他の花ほど多くは見かけない。

他の3種類は葉の形で見分ける。ミヤマキンバイは3枚の小葉(3出複葉)。ミヤマダイコンソウは円い大きな葉(腎円形)で光沢がある。岩場、ガレ場に多い。ミヤマキンポウゲは上部の葉が細かく裂けている。また花びら(実際はがく片)には独特の光沢がある。

その他、ウラジロキンバイ(ミヤマキンバイに似て葉の裏が白)、タテヤマキンバイ(低木。地味な花)、メアカンキンバイ(北海道に特産)、リュウキンカ(湿原に咲く。腎円形の葉)等が似た花としてあげられる。

これらの花は、一見似ているけれど、どれも個性的な花たちだ。


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★チングルマ等白色の花の巻

高山植物で常に人気のチングルマ。今回は、チングルマを中心に似たところがある次の6種類を取り上げる。

●ばら科    ・チングルマ(稚児車) ・チョウノスケソウ(長之助草)
●きんぽうげ科 ・ハクサンイチゲ(白山一華) ・キタダケソウ(北岳草)
●ゆきのした科 ・ウメバチソウ(梅鉢草)
●いわうめ科  ・イワウメ(岩梅)

いずれも梅鉢形の白い花をつけるが、この中で最も多<見かけるのが、チングルマとハクサンイチゲである。チングルマは岩レキ地や雪田周辺の砂レキ地などに大群落を作る。羽毛状の実の形がおもちゃの稚児車に似ている所から、ちごくるま、なまって、ちんぐるまになったと言われる。ハクサンイチゲは雪田周辺の湿った草原に大群落を作る。花びらに見える白い5枚は実はがく片。

この2つの花は、ちょっと慣れれば花(チングルマの方がおしべの黄が目立つ。ハクサンイチゲは花の先がとがる感じ)だけで十分見分けがつくが、わからなければ茎を見る。チングルマは草のようだが実は立派な樹木であり、木化している。また、チングルマの葉は光沢が強い。

チョウノスケソウは明治時代に須川長之助によって採集されたのでこの名がついた。代表的な極地高山植物で、これも樹木である。同じばら科のチングルマに似ているが、花びらの数が8枚もあること、葉が小判形をしていることで区別できる。

キタダケソウは、南アルプス、日本第二の高峰北岳にしかない世界で一属一種の花である。しかも夏山シ一ズン前の6月に、八本歯のコル〜北岳山荘の辺りにしか咲かないのでその姿はめったに見られない。ハクサンイチゲに似ているが、細かい所でいろいろ違う。花びらは角張っていて、葉はより細かく切れこんでいる感じである。茎は赤紫っぽい。

ウメバチソウは亜高山帯の草地や湿原に多い(高山帯ではあまり見かけない)。茎の中程に一枚の卵円形の葉があって茎を抱くようについている所が識別ポイントになる。

イワウメは逆に典型的な高山植物といえる花で、高山のレキ地や岩壁に好んで生える。小さな葉を密につけ、株全体が厚いカーぺットのように見える。花だけが不釣合に大きい(と言っても2cm程度)。花が筒状になっている所が他と違う。この花も実は低木である。

いつまでも、いつまでも見ていたい、"可愛いい" 花たちである。


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★シオガマの仲間の巻

高山植物には、何とかシオガマという名の花が幾つかある。いずれも唇形の美しい花であるが、シオガマってどういう意味なのだろう?ふと疑問に思われたことはないであろうか。シオガマを和名であてると実は、塩釜と書く。?ますますわからない?種明かしは後でやるとして、今回はこのシオガマの仲間を取り上げる。

●ごまのはぐさ科
ヨツバシオガマ(四葉塩釜) ・タカネシオガマ(高嶺塩釜) ・ミヤマシオガマ(深山塩釜) ・トモエシオガマ(巴塩釜) 以上 赤花
エゾシオガマ(蝦夷塩釜) ・キバナシオガマ(黄花塩釜)以上 黄花
セリバシオガマ(芹葉塩釜)以上 白花

さっそく名前の由来だが、シオガマの仲問は皆美しい花をつける。花だけでなく葉も細かく整然としており感じがよい。一方塩釜とは昔浜辺にあった塩を作る釜で、これが浜の美しい景物であった。そこで、葉まで美しいを、浜で美しいとしゃれて、この名前がついたそうだ。

さて見分けかただが、上の中で難しいのは赤色系の花であろう。この中でもっともポピュラ−なのが、ヨツバシオガマ。草丈が30〜60cmと高く、羽状に裂けた葉が4枚輪生するのが特徴であろ。花も特徴的。上の花びらがくちばし状となって下に大きく曲がっている。ミヤマシオガマタカネシオガマは背丈が15cm以下と小さい。互いによく似るが、前者は葉が羽のように細かく切れこみ(二重の羽状)根元から束になって出ている(根生葉)のに対し、後者は葉の切れこみが少なく根元からは出てない点が違う。

ミヤマシオガマは非常に繊細な感じ。まさにシオガマの名にふさわしい。何を隠そう、私の好きな花の一つである。トモエシオガマは花びらが渦を巻いたようにねじれている(まさに巴)のですぐわかる。あまり数は多くないと思う。ついでだが、他にオニシオガマという花もあろ。これは日本海側に咲くやや大型の花のようだ。かって苗場山で見たことがある。

キバナシオガマは北海道の高山でしか見られない。シダのような葉からがっしりした茎を出し黄金色の花を密集してつける。エゾシオガマも”エゾ”というくらいだから北海道にしかないと思うのは大間違いで、こちらの方は本州にも多い。湿り気のある草地に咲き、まるっこい黄白色の花をつける。セリバシオガマは地味。針葉樹林帯にひっそり咲く。花の形はエゾシオガマに少し似る。葉が羽状に深く裂けるのが特徴。

浜でなくても、シオガマは欠かせない。


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★ウスユキソウの仲間の巻

およそ山とか花とかに縁の無い人でも、ヨーロッパアルプスの象微エーデルワイスを聞いたことのない人はいないであろう。でも、意外とその姿を知る人は少ない。日本ではウスユキソウと呼ばれるこの花の学名は、Leontopodiumという。これは、ライオンの足という意味のラテン語からきている。花の形が、ライオンの爪を広げた足の形に似ているからだそうだ。今回はこのウスユキソウの仲間をとりあげる。

●きく科
ハヤチネウスユキソウ(早池峰薄雪草)
ホソバヒナウスユキソウ(細葉雛薄雪草)
ミヤマウスユキソウ(深山薄雪草) (別名:ヒナウスユキソウ)
ヒメウスユキソウ(姫薄雪草) (別名:コマウスユキソウ)
ミネウスユキソウ(峰薄雪草)

ウスユキソウの仲間の特徴は、全体に白色の綿毛がフカフ力と生え、薄雪をかぶったように見えることで、それがこの花を魅力のあるものとしている。星型の、花びらに見える所は実は包葉であり、本当の花はその包葉の中心にある黄色い部分である。

本場ヨーロッパでは、1種3亜種しかないと言われるが、日本のウスユキソウは数種類の仲間がある。この区別は難しそうに見えるが、実は簡単で、率直に言うと、咲いている場所で区別すればよい。上にあげた花のうち、ミネウスユキソウのみは本州の高山全域に咲くが、他は場所が限られている。上から順に、早池峰山、上越(谷川、至仏)、東北、中央アルプスの特産種である。

ハヤチネウスユキソウは、このなかで最も大形で立派。早池峰山頂付近の群落は実に見事で見応えがある。ホソバヒナウスユキソウは、ちょっときゃしゃな感じ。この一見弱々しい花が不思議と谷川岳の厳しい岩壁にはよく似合う。葉の幅が狭く線状で全体に綿毛が密生している。

ミヤマウスユキソウホソバヒナウスユキソウと似るがちょっぴり大きい。この花の持ち味は何といっても大大群落だ。東北の朝日連峰、飯豊連峰等に一大群落を作る。この白のジュ−タンが晩夏になるとタカネマツムシソウの紫に変わり、これまた見事!の一言になる。ヒメウスユキソウは、最も小型。頭花の数も2〜3個と少ない。根生葉の幅が広い。ミネウスユキソウは一般に見られるが、最も地味で他と比べると少し見劣り。包葉が他と比べると幅が広く薄い。

日本のウスユキソウは、種類が豊富。あちこちの山で、"お国の"ウスユキソウを見てみよう。


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★キキョウの仲間の巻

高山で青紫の花と言えば、まず思い浮かべるのはキキョウ、リンドウの仲間であろう。見かける機会も比較的多く、釣鐘状の独特の花は登山者の目を楽しませてくれる。とても爽やかな花たちだ。今回はキキョウの仲間を紹介しよう。(キキョウ類は夏、リンドウ類は春・秋に咲くのが多い)

●ききょう料
ソバナ(蕎麦菜) ・ハクサンシャジン(白山沙参)
ミヤマシャジン(深山沙参) ・ヒメシャジン(姫沙参)
ホウオウシャジン(鳳凰沙参)
イワギキキョウ(岩桔梗) ・チシマギキョウ(千島桔梗)

この仲間はさらに、シャジン系とキキョウ系に大別できる。前者は、花の数が多く、釣鐘の”深さ”が浅い。また花は下向きに咲き、色も濃いものから薄いものまで変化が多い。後者は、その逆というわけだが、岩場の厳しい環境下でも多く見かけるタフガイ(タフギャル?)である。

ソバナは、林のふちで見かけることが多い。花の数は10〜20個ほど。花の形は他のものと違って、釣鐘というよりはロート状に近い。また斜めに枝を伸ばし枝分かれする点も大きな特徴で、識別は簡単。ソバナは岨菜という説もある。岨道(山の斜面についた道)に多い菜という意味である。

ハクサンシャジンは、低山や高原に咲くツリガネニンジンの高山種。背丈が低く30〜50cm程。可愛らしい花で人気もなかなか。これも見分けは簡単で、3〜6個の花が輪になってつく(輪生)ところが違う。

ミヤマシャジンヒメシャジンはよく似ている。実は後者は前者の母種となっており、がく片にギザギザ(鋸歯)があることが後者と違う。両種とも、直立した細い茎の先に1〜4個の花をつける。斜め下向きに、ややまばらにつけるところがミソ。葉っばは、ハクサンシャジン(輪生)と違い、茎に互い違い(互生)につく。

ホウオウシャジンは、南アルプス鳳凰三山の特産種。茎が斜めになっている所が特徴。いつも北岳を見て育っているせいか(?)一種独特の風格があり(ほとんど独断と偏見)、鳳凰の岩壁に咲くさまは美しい。

2つのキキョウ類は一見似ているが、区別は易しく、イワギキキョウには毛がまったく無いのに対し、チシマギキョウのほうは花の内側やヘリに長い白い毛がフサフサしている。ガク片に鋸歯が無い所も違う。2種とも、地面をはうように咲くので、シャジンの仲間とはかなり印象が違う。

高山の岩壁に、青紫色の花はとてもよく映えるよネ。


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★小型ナデシコの仲間の巻

白という色は特別な色のようだ。山を歩いていると、稀にもともと色のある花の白花形を見かけることがある。以前白花のコマクサ(赤)を見た時はとても得した気分になったものだが、白という色のせいか同時に神々しさも感じたものだ。赤という色の持つ華やかさが消え、単純化された花の本来の姿が浮き出てきたのだろうか。

今回紹介するナデシコ科の花は、どれも直径1cmほどの、注意してないと気づかずに通り過ぎてしまいそうな小さな花たちだが、この「白」がよく似合うとても清楚な花だと思う。

●なでしこ科(ツメクサ、ハコべ類)
ホソバツメクサ(細葉爪草)(別名:コバノツメクサ)
タカネツメクサ(高嶺爪草) ・ミヤマツメクサ(深山爪草)
カトウハコべ(加東はこべ) ・チョウカイフスマ(鳥海衾)
ミヤマミミナグサ(深山耳菜草) ・クモマミミナグサ(雲間耳菜草)
イワツメクサ(岩爪草) ・シコタンハコべ(色丹はこべ)

この仲間は名前も花の感じも似通っているうえに、小型で種類も多いので見分けるのは結構大変である。ただ、逆に言うとこの仲間の識別がきちんとできるくらいになれば、他の仲間はちょろい、というわけで、素敵な花山行を楽しむために、ちょっとがまんしてしばらくお付き合い願いたい。

まずは、特産種。上のうち、カトウハコべは上越、早池峰等の蛇紋岩地帯、チョウカイフスマは、鳥海山、月山、クモマミミナグサは白馬岳、剣岳に咲く。なお、北海道/雌阿寒岳、大雪連峰、知床にチョウカイフスマに似た花があり、メアカンフスマと呼ばれている。

次に目をつけるのが、花びらの牧数。実際はどれも5枚だが、クモマミミナグサ以降の3種は10枚に見える。シコタンハコべは、おしべの先が赤いので簡単に他と区別できる。イワツメクサは"清楚"が似合う純白。

最後に花びらの形。特徴的なのは、ミヤマミミナグサ。花びらの先が細かく裂け繊細で美しい。ホソバツメクサはきれいな星型で花びらの先が尖る。残りのタカネツメクサミヤマツメクサはどちらも花びらの先が丸く似たような花なので、さらに葉を見る。1脈が前者、3脈が後者である。

以上がこの仲間の見分け方だが、実際の山行であまり難しく考えて歩いてもつまらないので、まずは、素直に花を見ることから始めてみよう。どれもシンプルだけど、見飽きない不思議な魅力がある。

ちなみに筆者の好みは、チョウカイフスマ。鳥海の印象ってやっぱり強烈なんだよね。


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★小型ツツジ科の仲間の巻

高山植物は、一種のカルチャーショックである。一般の植物の"ものさし"が通用しない世界である。今回とりあげるツツジ料の仲間はその典型と言えよう。高山に生えている木、と言うと普通はハイマツぐらいしか思い当たらないのではなかろうか。そのハイマツもせいぜい3m位の高さにしかならないのだが、今回の仲問は桁が違う。高さ5〜15cm位にしかならない。驚くほどちっちゃいけど、幹はちゃんと木化してて、立派な木というところがエライ!? 全体の大きさの割には不釣合に大きな花をつける所が、いかにも高山値物って感じがして、ヨゴザンスよ、皆さん。

★つつじ科
●ピンク ・ツガザクラ ・コケモモ ・ミネズオウ
●白   ・コメバツガザクラ ・ジム力デ ・イワヒゲ
●クリ―ム ・アオノツガザクラ ・ウラシマツツジ

ツガザクラは、僕の最も好きな高山値物の一つ。色はほのかなピンクで、鐘形の花を枝先に2〜6個付ける。花の形がポイン卜(他の大多数の花は壷形)。名前は栂桜で、葉がツガに似て(線形で密に互生)、花が桜に似ている?(たぶん色のこと)ところから。本州中部以西から四国の特産。

有名なコケモモは、岩石地や草の少ない裸地に多い。花は長さ6mmほどで、淡いピンク。花冠の先が浅く4裂する。夏の終わりには直径5mmほどの赤い美しい実がなる。ライチョウの貴重な食料との噂あり。

ミネズオウは、上向きに花が咲くのが特徴。名前は、葉がスオウに似て峰に咲くという意味。スオウはイチイの別名。星型の花は印象的。

コメバツガザクラは葉が米粒状なのが特徴。花は白で壷状。他の花に比べると、ちょっと地味って感じがするのは偏見か?

ジム力デイワヒゲはどちらも命名者のセンスの無さ?が光る花。実物はとてもきれいなのである。ジム力デの名は、茎が地面を這うように伸びている所から。茎の先に―個の花を開く。純白の花びらと赤いガクの対比が美しい。イワヒゲの葉は細いハリガネのよう。花は純白で長さ8mm位。

アオノツガザクラは、今回の花の中では最もポピュラ―。湿り気の多い所に咲くのが特徴。花の色はやや緑をおびた淡い黄芭で、群がって咲く。

ウラシマツツジの花期は早い。長さ6〜7mm位の葉が6月に出て、同時に2cmほど淡黄色の花を付ける。9月の紅葉は見事で一見の価値あり。
 
この仲間は他にも多数あるけど、いずれも木。実際にさわってみてね。


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★ユキノシタの仲間の巻

ユキノシタの仲間はいわば高山植物の常連だが、比較的小形で目に付きにくいこともあり、意外と知られていない。特徴は多肉質の葉を根生すること。会でよく行く北岳では、稀産のムカゴユキノシタを始め比較的多くこの仲間が見られるので、次回行く時は要チェック!

★ユキノシタ科
●白 ・ミヤマダイモンジソウ(深山大文字草)
   ・クモマユキノシタ(雲間雪の下) ・クモマグサ(雲間草)
   ・シコタンソウ(色丹草) ・ムカゴユキノシタ(殊芽雪の下)
●暗紫色 ・クロクモソウ(黒雲草)

ミヤマダイモンジソウは、上記の中では最も多く昆られる.花の形はまさしく大文字で、とても印象的。筆者の印象としては、岩場のちょっと湿った所に咲くことが多く、岩場が苦手で鎖場を行く時は花どころじゃないよ、という方には、案外雲の上の存在なのかもしれない。葉は厚くのっぺりしていて、基部は深いハート形になる。なお、人字草という花もある。

クモマユキノシタは、北海道の高山のレキ地に稀に見られる。花は枝先に10数個付き、白色の径1cm位の5弁花を咲かせる。葉は鋭い鋸歯の目立つくさび形でロゼット状になる。茎が赤みを帯びるのが特徴。

クモマグサシコタンソウは一見よく似ている。どちらも愛らしい味わい深い花でファンも多い。クモマグサはレキ地に生える多年草で本州中部の特産。花は形よく整っており、その幾何学的ともいえる形は精巧で印象的である。径2cmほどの白い花をつけるが、花弁の間から緑のガクがよく見える。シコタンソウとの違いは、花弁にシコタンソウのような斑点がないことと、葉の先が3裂していること。

シコタンソウの名は、発見された場所が色丹島であったところから付いたが、分布は本州中・北部から北海道と幅広い。葉は線状で疎らに互生して硬く、へりには硬い毛がある。花は白の5弁。花弁の先に紅色、下部に濃い黄色の斑点が散在して美しい。岩場の割れ目等にしがみつくように咲く。

ムカゴユキノシタはあまり見られない。径1cm位のもみじのような形の葉がユーモラス。赤色のムカゴがよく目立つ。湿ったレキ地に生える。白い小さな花が、可愛らしい。クロクモソウはものものしい名前だが、実際はそれほどの凄みはない。花は暗紫色で、湿った所に咲く。
 
高山でユキノシタを見るって、なんだか不思議ですね。


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★秋の花の巻@

秋の花というと、やはリンドウという感覚が強いせいか(単に筆者が好きなだけだったりして)、"紫"のイメ−ジがある。けれど実は結構いろいろな色の花が咲いていて、さらに紅葉と澄んだ青空という強力なバックも加わって、秋とは"色"の豊富な季節でもある。

●紫 ・リンドウ  ・マツムシソウ ・ノコンギク
●赤 ・ワレモコウ ・ナンバンギセル
●黄 ・オミナエシ ・アケボノソウ ・ヤクシソウ
●白 ・ホトトギス ・シモバシラ

リンドウという花は、秋だけでな<春(フデリンドウ等)にも高山(卜ウヤクリンドウ等)にも咲<が、やはり秋に咲くものが一番立派で美しい。花は日を受けて咲き、夜や雨の日は閉じる。秋の花の中では遅く咲くほうで、箱根では11月でも見かけ少々驚かされたりする。花屋でよく見かけるのはエゾリンドウという仲間で、4〜5cmの花が葉の付け根に何段にもなってつく。これに似たオヤマリンドウは、茎の頂きにしか花がつかない。

マツムシソウは、初秋の高原の代表選手。霧が峰、鉢伏山等で大群落が見られる。名前はマツムシ(すずむし)が鳴く頃咲くからとか。秋は野菊の季節だが、ノコンギクはその一つ。花の径は約2.5cmで明るい所に咲く。色は白から紫までさまざま。多数の頭花が印象的。ヤクシソウはどこでもよく見かける。日当たりの良いところに咲き、鮮やかな黄色かよく目立つ。花が終わると、垂れ下がるのが特徴。キク科。

ワレモコウはちょっと意表をつかれる。暗赤紫色のユニ−クな形の花は小さな花が集まったもの。名は吾亦紅で自分も赤いと主張した伝説から。ナンバンギセルはまさに名前そのもの。実は寄生植物で、ススキなどの根に着いて養分をとる。短い葉と茎は地中にある。別名:思い草。

オミナエシは秋の七草の一つ。その鮮やかな黄色と整然とした茎の形は秋の七草の風格を十分に備えている。草丈は50cmから時に1.5mにもなる。アケボノソウは筆者の好きな花の一つ。山の谷問などの湿気の多いところに咲<。茎はまっすぐに立ち左右対称に枝を出す。花びらの模様は独特。

ホトトギスは、花びらにある紫の斑点が鳥のホトトギスの胸毛に似ているところから名がついた。花の形がおもしろく野草好きには人気がある。最後にシモバシラ。純白で、花そのものが霜柱に見えるが、実際は枯れた茎から霜柱が立つ所から名がついた。シソ科。

では秋山を楽しんでネ。


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★秋の花の巻A

今年も野草の季節はそろそろ終わりですね。今回も秋の花の巻です。

●紫 ・ツリガネニンジン ・ヤマハッカ ・ヤマトリカブト
●赤 ・ナンテンハギ   ・タムラソウ ・ナギナタコウジュ
   ・フシグロセンノウ
●黄 ・キバナアキギリ
●白 ・ユウガギク   ・シラヤマギク ・コウヤボウキ
   ・カシワバハグマ ・ツルニンジン ・センブリ

ツリガネニンジンは、秋の高原の代表的な花の―つ。風鈴のような釣鐘形の花はとても印象的。名前のニンジンはチョウセンニンジンのこと。ヤマハッカは、日当たりの良い所に咲<。ガクが紅紫色なのが特徴。ハッカの名はあるが、特に香りがあるわけでばない。花は径7mmほど。

ヤマトリカブトは、かの有名な毒草。根に猛毒がある。若葉は同じキンポウゲの仲間のニリンソウに似ているので、山菜ファンは要注意。ナンテンハギは、秋の七草のハギの仲間では最もよく見かける。葉が2枚のところから、フタバハギの別名も。花は6月位から既に咲き始める。

タムラソウは、アザミにそっくりでいかにも痛そうであるが、実際はアザミの仲問ではない。触ってみると痛くなく、なんだか得した気分?ナギナタコウジュは、花の穂がナギナタのように見えろところからつけられた。コウジュは中国産の薬草。葉の感じが似ているらしい。

フシグロセンノウは、地味な秋の花の中では異色の存在。鮮やかな朱色でよく目立つ。フシグロは茎の節が黒いという意味。センノウは園芸種。キバナアキギリは、学名をSalviaといい、園芸種のサルピアと同じ仲間。割によく見られ、高尾などにも多い。色はクリ−ム色。シソ科。

ユウガギクシラヤマギクは野山でよく見られる野菊。花の感じは対称的で、前者は都会的なイメージ、後者は田舎の雰囲気といったところ。コウヤボウキは、草のような低木。名は高野箒で、高野山ではこの枝でほうきをつくるところから。花の感じもなんだかほうきのよう。

カシワバハグマは、山の林の中に咲く。カシワは柏の葉、ハグマ(白熊)はヤクという動物の白い尾のこと。葉と花がそれぞれ似ていることより。ツルニンジンは、ツル性で他の植物に巻きついて伸びる。花は大きく径4cmほど。似た花にバアソブというのがある。ソブとはそばかすのこと。

トリは、薬草で有名なセンブリ。全草に苦味があり千回振り出してもまだ苦いので千振りという。花そのものも結構きれい。リンドウ料。

秋は、花だけが一人歩きをせず、周囲と一体となって楽しませてくれる季節だよネ。


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★徒然草の巻 〜つれづれなるままに〜

のらりくらりと思いつくままに花の紹介をしてきましたが、そろそろネタも尽きてきましたので、今回で最終回ということにさせて頂きました。結局のところ毎回図鑑とにらめっこという感じで、やはりタイ卜ルは「役に立たない」の方が良かったかなと、今にして思ってます。

私が最初に花に興昧を持ったのは大学に入ってからで、最初に行った山は高尾山、最初に覚えた花は、タチツボスミレでした。花に詳しい人に教えてもらったのですが、この「タチツボ」というのが聞いても聞いてもすぐ忘れてしまい、覚えるのに恥ずかしながら3ヶ月もかかってしまいました。おそらく花の名前を聞いただけで安心した(ような気分になった)のがいけなかったのだと思います。名前は、親しみを持つ第一歩ではあってもすべてではないのです。しょせん名前は「名前」にすぎません。それよりもこれは○○科の花で××の特徴があるな、といった具合に仲間ごとに特徴づけて覚えたほうがずっと応用がききます。

山に行くとめしがうまい、酒がうまい、とはよく言われますが、これは花についても言えると思います。山は不思議な力を持っています。ごく客観的に園芸種と山野草を比較すれば、どう見ても園芸種の方がきれだと思うのですが、感動の具合はまったく違います。ことに、重い荷物を背負って、汗水たらして、苦労して登った山の上で見る花は格別です。ここに、コマクサハクサンコザクラ等数々の名花が生まれます。これは私の持論なのですが、山の花というのは自分の心を映し出す鏡のようなものだと思います。本来「客観的」な花が山の上では実に「主観的」になるのです。

以前、某東北の山で死ねかと思ったことがあります。それは、滑落でもなければ疲労凍死でもありません。恥ずかしながら、食中毒なのです。駅で買った弁当が悪くなっていて、山のかなり奥に入った所で力尽きてしまいました。その時一緒に行った相棒に、上の小屋まで荷物を先に持って行ってもらうことにし、戻ってくるまでその場でじっと待っていました。ひと気の無い山の中で小刻みに震えながら、俺はどうなるんだろう、と思ったのをよく覚えています。

その時、目の前の湿地に時期外れのミズバショウが一輪咲いているのに気が付きました。印象的だなあと思いました。でも美しいとかきれいとかではなく、単に「印象的」だったのです。この不思議な感覚が気になって(ま、結局大した重症ではなかったということでしょう)、この後なんとか上の小屋にたどり着きました。この事件以後、××山のミズバショウというのは忘れられない花の一つになっています。

話が変な方向にそれてしまいました。ところで、時折山渓などで、花(主に高山植物)の特集をすることがあります。私の手元にある山渓に「読者が選んだ高山植物 人気ベスト10」というのが載っていましたので、ここに紹介しておきます。

@コマクサ(理由:砂レキ地に生えるたくましさ、他の植物と混生しない気高さ、ユニークな花の形と色の美しさ、高山植物の女王にふさわしい風格、など)、Aチングルマ(花だけでなく実からのびる羽毛の風情がいい、紅葉も美しく、花・実・紅葉と目を楽しませてくれる、稚児車のネーミングがいい、など)、Bウスユキソウ(アルプスの星と言われるエーデルワイスの近似種で、高山の可憐な花のイメージにふさわしい)

Cニッコウキスゲ(夕方にはしぼむ一日花ながら、一面黄色い野原となる群落が見事)、Dコイワ力ガミ(山で最初に覚えた花、花の色や形に加え光沢のある葉の美しさも印象的)、Eイワギキョウ(岩かげに咲く楚々とした姿)、Fクロユリ(伝説の花のイメージ、恋の花とも呪いの花とも言われる神秘性)、Gシナノキンバイ(お花畑の代表選手、親しみがある)、Hハクサンコザクラ(小さく可憐な花だが、大群落はピンクのじゅうたんを敷き詰めたよう)、Iコバイケイソウ(高さ1m近くもあり目立って覚えやすい、夏山に欠かせない存在)。

以下、カタクリキタダケソウ、ミヤマオダマキ、ハクサンフウロ、ハクサンイチゲミヤマキンバイ、ヒメサユリ、マツムシソウ、ヤナギラン、ワタスゲ となっています。あと私の好みの花を付け加えますと、春の花:サクラスミレ、イチヨウラン、タツナミソウ、コチャルメルソウ、センボンヤリ、ホタルカズラ、セツブンソウ等、夏の花:イイデリンドウ、イワウメウラシマツツジイワツメクサ、ギンリョウソウ、クモマグサジムカデツガザクラホウオウシャジン、シラネアオイ等、秋の花:ナンバンギセルコウヤボウキオミナエシアケボノソウセンブリリンドウといったところです。

皆さんはどんな花が好きですか。来シーズンが待ち遠しいっすネ。最後に、花の名山の招介を。春・秋の花は高尾山でもかなり楽しめます。思わぬ所こ思わぬ花があります。夏山はやはり高山。私の行った山では、飯豊が一番印象があります。10歩歩けば10種増えるくらい花の豊富な山でしたね。その代わり登るのも苦労しましたが。東北の山は、鳥海、早池峰など印象深い山が多いですね。他では北岳、尾瀬、南八が岳が良かったです。山渓では他に、大雪、朝日、妙高、白馬、荒川、白山が載っています。結局とりとめの無い文章になってしまいました。

では素敵な花山行を!


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