<1999.12.11(金)夜>
突然水曜日に会社の作曲コンペ参加の依頼があって、彼女との兼ねてからの約束であった釧路ツアーを延期せざるを得ない覚悟であった。「今夜は出発できるかどうかわからない、ましてや旅行にいけるかすら怪しい」そう日中のメールで繰り返しPM6時を回った段階でもまだなんとも言えない状況であった。
しかし8時を回ったころには状況はうってかわって、作品は完成していた。なんとも創作とは先の見えない仕事である。さっそく彼女に電話するが地方勤めの彼女は今家を出たばかりだという。「準備に手間取って・・・」という女性ならではの回答に少々腹立たしくもあったが最近の喧嘩続きを考えるとその埋め合わせ(関係改善)の旅行の前に喧嘩も避けねばと、今怒られるのではとビクビクする電話口の彼女に「気を付けておいで」と精一杯やさしく言ってみる・・・「怒ってるでしょ・・・」と彼女。やっぱりわかるらしい(笑)
結局、出発は10時を回ってしまった。旭川から札幌を訪ねてきたR.Yがタイミングよく夕食に合流して3人で腹ごしらえ。ここマジックスパイスの角煮カリーはなかなかのものである。時間も遅いので極力高速道路を利用する事にした。
札幌南インターから高速に入り夕張までひとっ飛び。そこから日勝峠にはいるが既に氷点5〜6度あろうかという外気温に道はアイスバーン。彼女の運転は信用ならない。なんども「運転かわろうか?」ともちかけるが、向こうとてどうやら私を信用できないらしい。そういう彼女は峠手前のオービスらしき謎の機械の下を30キロオーバーで突っ切ってしまい青ざめている・・・慰めの言葉も果たして聞こえているかどうか・・・。
彼女の必死の運転の甲斐あって午前2時過ぎには帯広に辿り着く事が出来た。帯広では宿は決めていないがK.Nから教えてもらった温泉付きのホテルがあるというのでそこにチェックイン。一泊7000円は高いか安いか?これからの行程を考えると始めの段階で車中泊をして疲労を溜めるのは愚かというもの。室内には普通のバスルームが存在したが、蛇口をひねると本当にモール温泉が出てきた。温泉となれば話は別。7000円は安すぎる。素晴らしい(爆)
すっかり疲れ切った我々は明日に備えてベッドに身を横たえた。
<1999.12.12(土)>
翌朝・・・ん〜そうか、ここは帯広だったのか。多少辛い行程だったものの帯広まで来ていることは釧路までの道のりが大幅に短縮されたことを意味する。気が楽になり大快晴の天候とあいまって気分は爽快だった。
ホーマックに立ち寄り、ウィンドウォッシャー液を補充。昼食には池田牛をたべようと池田町はワイン城周辺の「」に立ち寄って昼から牛フィレコース4200円を二人そろって注文。ぺろりと平らげた後には町立体育館の前に立つ謎の巨大クリスマスツリー「ドリカムツリー」を見に足を運ぶ。これがまたよくわからないセンスの真っ赤なツリーで一定時刻にはドリカムのメロが流れると言う・・・まさによくわからないセンス。普通のクリスマスソングにすればいいのに。
さて腹ごしらえを終えたなら我々の旅行についてまわるもの・・・それは温泉である。名湯川湯温泉が呼んでいる。さっそく行かねば・・・と向かったのはいいがどこかで道を間違えたのか3時過ぎには釧路に直行してしまった(笑)硫黄山を楽しみにしていた彼女は物凄くがっかりした様子だったが3時過ぎでもあたりは夕方の情景だった。「こんな暗い時間では面白くないよ」と慰めつつ、温泉を裏切られた自分の心もケアしつつ・・・
さて、目的地釧路に着いたはよいが宿も決めていない。
釧路の夜は海鮮モノやら居酒屋やら行きたい場所もたくさんあるが、その前に黒魔術のカリーも食べたい。黒魔術は休み坂に存在する民宿兼の怪しい(失礼^^;)カリー屋さん。とても美味しいので釧路に行ったなら是非訪れる事をお勧めしたい。
黒魔術店内ではヒゲ面の店主がネットサーフに勤しんでいた。同店の発行する「酔いどれマップ」なる地図をもらい、今夜訪れるであろう「赤天狗」という居酒屋についての話で盛り上がる。うわさの「摩周湖の水をブレンドしたカクテル」というものを飲んだ人物がどういう末路を辿るのか・・・映像付きで見せて頂いて彼女はちょっと恐怖していたようだ(笑)なにせその画像というのは幣舞橋に立つ裸婦像に抱き着いて喜ぶ男の姿であったのだから正気の沙汰ではない。それは我々の今宵を暗示するかのようであった・・・。
黒魔術店内においてある楽器をひと通り遊び尽くすと店を後にした。とりあえず宿を探す。昨日のように即チェックの宿でも良かったが心おきなく釧路の夜を楽しみたかった我々は一流ビジネスホテル「パコ釧路」に宿を取った。駐車場込みでツイン一泊12000円にちょっと足す位であった。
車と荷物から解放され、軽装になった我々は部屋で30分ほどくつろいだ後、一次会の炉端の店「阿部商店」へと向かう。店についたのは18時丁度だったが予約でびっしりらしく、2名でもちょっと何分待つかわからないと言われたので名前を書き記しつつ30分後くらいに来ますと言い残して「moo」(釧路フィッシャーマンズワーフ)を散策することに。
mooは外観こそ異質な近代建築だが中は意外に普通の観光物産館である。特にみるものもなく時間は過ぎ、阿部商店にもどると丁度席の用意が整ったと店員が席へと案内してくれた。
焼きガキ、めんめ、タラバにホタテと旅行の開放感からかバシバシ注文してガツガツと食べるが「あまり忙しく食べないで」と彼女から釘(笑)。まったく熱いものを熱いウチに食べないでどうするんだよぉ〜と思いつつも、今日は彼女優先。楽しませてやりたい。地酒の福司(ふくつかさ)も素材の味を引き立てる・・・あ〜海の街はこれだからたまらない。まさに「堪能」という言葉が似つかわしい。むちゃくちゃ満足して店を後にした時はすでに千鳥足だった(?)
さて、釧路在住のN.A氏とその後合流。目指すは今回のメインイベントともいえる「赤天狗」である。ちょっと不安の表情をみせる彼女おかまいなしでN.A氏とともにずんずん末広の歓楽街を突き進む。そして赤天狗の暖簾をくぐるとそこには変わらないあのオヤジが座っていた。
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赤天狗の中での出来事をこの場で書く事は敢えてしません。どうぞ御自分の足で行って確かめてください。そして赤天狗に存在する伝説の数々を実感してきてください。ココに書く事でこれから訪れる人達の新鮮な感動を奪うことはしたくないのもので。
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そして赤天狗の雰囲気にすっかり満足した私だったが、店を出た瞬間からの記憶が殆どない。気付くと明け方で自分はビジネスホテルのベッドの上に横たわっていた。
<1999.12.13(日)>
とりあえずトイレに起きてみるが随分頭が痛い。バスルームのトビラを空けてびっくり。「・・・あ〜やっちまったのか・・」といって流し忘れたらしい便器に水を流した・・・が、その汚物はなんと逆流して溢れ出してきたのだ!!なんとそのトイレは詰まっていた(爆)!!
記憶をなくしてのたうちまわる私によって散乱した吐瀉物を片付けるためにティッシュペーパーを使い、それを便器に流そうとして詰まらせてしまったと彼女。その後素手で便器の中に手を突っ込んで詰まりを直そうとしたり、なんとも壮絶な格闘を繰り広げていたらしい。・・・汚物を越えた彼女の愛に涙が出た。
私はさっさとアルコールを飛ばそうとグラグラする世界を無理矢理矯正しつつ浴槽にお湯をためて入浴した。・・・しかしこれが逆効果だった。世界は突然歪みを生じ具合は最悪、吐き気も復活してもうこの世の終焉が来るのかと思えて来た。思わず口を突いて出る苦悶の呻きに再び彼女が起き出してきて冷たいタオルを絞ったりして世話してくれた。彼女の看護の甲斐あって1時間も過ぎたろうか・・・序々にめまいはおさまり心に平穏が戻って来た。その間彼女はずっと私に額を寄せて祈っていてくれた。自分はなんと幸せものなのだろう。胸が熱くなった。
ホテルの冷蔵庫を開けると、なぜか「雪見大福」が入っていた・・・。後に彼女に聞いた話では、赤天狗の帰り道の私の弾けようは物凄いモノがあったらしい。「俺がお前を愛していることを教えてやんなくちゃなんねぇー!」と叫び、入った事もないスナックに片っ端から入っていこうとしては「わ〜かったから!!わかったから!」と彼女に止められながらも、街頭の至る所でキスしまくりの、セイコーマートに入っては「雪見大福に教えてやんなきゃなんねぇんだ!」「ジーマに教えてやんなきゃなんねぇんだ!」と謎の叫びを繰り返したという。まったくどーしようもないな^^;)
平穏を取り戻してからチェックアウトまでの時間もう一寝入りしたら、体調はウソのように回復した。朝食はmooでトーストとココアを注文。暖かい日差しに包まれながら多少ボーっとした頭にトーストの焼ける匂いが香しい。そんな瞬間には柄でもなく彼女の存在を神様に感謝したい気持ちになるのだった。
車をゆっくり川湯に向けて走らせる。途中釧路湿原が観たいと彼女が言い出した。・・・釧路にきて湿原観光に気付かなかったとは・・・と我ながらうっかり。とくにだだっぴろい平原が広がるだけだが、それでも広大な道東の自然は満喫できる。丹頂鶴でもいないかと目を凝らしてみたが見えるはずもなく、われわれは「スルメ千本」を奪い合っていた(笑)
しばらく走ると鶴公園があったのだが、ふと見るとなんと丹頂の群れがいるではないか!こんな時期からもういるんだ〜とラッキーさをかみしめてパチパチ写真を撮る。いつみても美しい鳥だ。まったく世界一美しい鳥だと思う。雪の上というシチュエーションがまたたまらない。我々にも序々にツキが回復してきたらしい。
摩周湖は霧ひとつ掛からない快晴。湖面もくっきり伺える。しかし観光客が殆ど居なくて逆に寂しくなる程だった。川湯温泉では彼女の大好きな(?)硫黄山で硫化水素ガスの洗礼を受ける。真面目に彼女は恐怖するらしく私のそばを決して離れない。泣きそうな顔で写っている写真があるので是非探して見て欲しい。東家のおいしいソバをすすり、やっと待望の温泉へ。今回はKKRかわゆをセレクトしてみた。露天風呂の作りもなかなか風流だがちょっと泉温の低さが気になるところか。やはり今の所No.1は大平洋炭坑保養所の風呂であろうか。
川湯から札幌まで早くとも5時間は見なくてはならない。ましてや冬なればどのくらいかかることやら。川湯を出た時点で午後3時。6時間みたとしても札幌着は9時ということになる。帰りは猛吹雪の日勝峠をノロノロ走り高速道路を利用できるところは全て利用してそれでも札幌に着いたのは10時30分位だった。早く帯広まで一本の高速道路で結ばれないものか。
今回の旅行は行く前までは仕事の忙しさもあってか気乗りしない面もあったが、いざ腰をあげてみれば何かとても大切なものが得られたようだ。釧路の街も人もとても暖かく感動した。やはり道東は素晴らしい。
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