どうじんようごのきそちしき・どうじんしのつくりかた

■ オフセット本の作り方 ■

おふせっとほんのつくりかた

同人用語の基礎知識  / 同人誌の作り方 / オフセット本の作り方


 ここでは「同人誌の印刷をオフセット印刷所に依頼する」場合の作り方・注意点などを紹介します。


手順。

 大体以下のような流れでしょうか…。

1・印刷所の選定・予約

(1'・印刷所の探し方・選び方)
2・原稿制作 (本文全般)
3・入稿
 参考→印刷所に発注する方法
4・引き取り (イベント会場or家or印刷所に取りに行く)

表紙の描き方については別コーナーを設けましたのでそちらを御覧下さい。


1・印刷所の選定・予約

 はじめから「この印刷所に依頼する!」と決めている場合は別として、原稿制作の早いうちに印刷所の選定をしておく必要があります(印刷所によっては指定の原稿用紙を使わなければいけない場合もあるので…)。
 印刷所選択の基準なのですが、これはもう、それぞれの好みや都合に合う所を選ぶしかないです。

一応、

  • 印刷がキレイ(上手)
  • 印刷費などが安い
  • 締切が遅い
  • 直接入稿/印刷物の引き取りができる
  • わがままを聞いてくれる
  • 同人誌世界で名前が通っている印刷所
…といった条件を(その人の主観的に)満たしている印刷所を選ぶケースが多いようですね。

印刷所への予約

 これ…実際は原稿がある程度できてからでいいんですが、先にやっておいた方がよりいいと思います。
 まず、一部印刷所では、コミケ等の大型イベントあわせの場合、早めに予約を入れておけば遅めの締切が設定されます。ただ、予約受け付け初日に電話がつながりにくくなるくらい集中するそうですが(苦笑)。また、印刷所にもポテンシャルがあり、ある一定量以上の依頼は受け付けられないので、直前になって問いあわせても「印刷できない」といわれてしまうことがあります。かなりへこむのであらかじめ早いうちに予約を入れておきましょう。
 その他、「せっかく印刷所に予約を入れたんだからっ!絶対にそれまでに完成させるっ!」という気合を入れるためにもオススメです(笑)。もし間に合わなかった場合でも普通は違約金などは取られないので予約は入れておきましょう。


1’印刷所の探し方・選び方

 印刷所を選ぶ時、それぞれの印刷所の「マニュアル」ないし「料金表」を入手して、色々比較検討して利用する印刷所を決定するのが一番いい方法だと思います。ただし印刷所のマニュアルを集めるだけでもその送料などに結構お金がかかります(苦笑)。まぁ、ネット上でもいくつかの印刷所のマニュアルは読めますが…。
 そんなわけで、割と印刷所を選ぶのに「口コミ」が利用されるわけです。身近に同人誌を作っている人間が他にいれば、その人から色々聞くのがいいかと思います。後はイベント会場などで隣になったサークルさんに強引に聞くとか(苦笑)。
 又は同人作家が集まるネット上の掲示板で色々聞くのもイイかも知れません。(でも一番は身近な人に相談するコトだと思いますが)


 印刷所を決め、締切日などが大体分かったら実際の原稿制作に入ります。もちろん印刷所選定の前に原稿が出来ていてもいいのですが…。

本文原稿制作について。

 本文原稿制作上の注意点です。守って下さいね。

粗悪な原稿用紙は使わない。

 市販されている漫画原稿用紙はマンガ描くのにとても便利です。(「原稿用紙の使い方」も参考にしてね)
 しかし…某メーカーの原稿用紙は枠線の色に「スミ」が若干混じっているようで、印刷に出てしまいます…。(コピーでも出ますね…^^;)原稿用紙を選ぶ時注意して下さい。
 ついでですが、手製の原稿用紙は微妙にサイズが違うので、印刷所に入稿する原稿にはできるだけ使わないようにして下さいね。(面付が面倒なのです。自力コピー本でならいいんですけどね…)

できるだけ、全ページ同じ原稿用紙を使用する。

 印刷所によってはこのように指定しているところがあります。これは面付け上の都合など色々な理由があるからなのですが、細かいことは省きます。そのように指定している印刷所以外でも、原稿用紙のメーカーは統一した方が無難です。(その方が作業がやりやすいのです)
 ゲスト原稿を依頼するときも、できるだけゲストさんに白紙原稿用紙を送るようにして下さい。

描線には墨汁を使う

 他に比べ、細い描線でもかすれにくいです。そんなわけで多くの印刷所が推奨しています。ただ墨汁、多少扱いにくいですけど…^^;
 ただし、ベタ部分で重ね塗りをしててかっている場合はそれはもはやベタじゃないです。印刷でキレイに出ません。墨汁愛用者は気を付けて下さい。(経験有り………)

ベタは多用しない

 別料金取られる場合もありますし、印刷もしにくいです。特に全面ベタページはどうしても…という場合以外は避けて下さい。

グレーやセピア色の筆記用具、薄墨、えんぴつ、ボールペンは使わない。

 これらは普通の本文では再現不可能です(…でも出る時は出ます。出て欲しくないような下書きの消しゴムかけ忘れなんか特に出ます…)。
 カラー印刷ならば確実に出ますが…。(だから余談ですが、カラー原稿の下書きはちゃんと消しましょう…)
 また、どうしても使いたい場合は「網掛け」をして下さい。(スキャナやFAXがあれば擬似的に出来ますね)

トーンはできるだけ高級なものを使う

 当たりハズレありますが(汗)一般的には安価なトーンよりも高価なトーンの方が印刷にはキレイに出ます。
 これはトーン自体が印刷物だからで、その印刷の品質が値段によってもにょもにょ…だからです。
 さらに重ね貼りした時やベタの上に貼った時に印刷結果が変わります。これはトーンに使われている「糊」の品質が(以下略)。
 ただし…どんなにいいトーン使ったとしても3重貼り以上はあまり良くないです。潰れます。

ピグマ(ミリペン)よりロットリング。

 ミリペンを使うならばできるだけ新品を使うようにしましょう。ただし基本的にはロットリングがいいらしいです。アレ、高いですが…。

印刷所の得意不得意を見極める。

 印刷所にはそれぞれ製版・印刷のクセがあって、例えば「濃いトーンは潰れることが多いけど薄いトーンが出る」印刷所や、その逆の所もあります(指定すればどちらかに決めてくれるところもありますがその手の指定は殆ど無視するところもあるそうです)。
 故に頼む印刷所の特性にあわせてトーンを決めるのもキレイな本作りのコツだったりします。これについてはある程度以上の同人誌経験者に聞くのがいいでしょう…^^;

 なお、「どんなトーンもキレイに出したい」場合はお金がかかりますが、「シルバー製版」や「フィルム製版」にチャレンジ、でしょう。限界はありますがフィルム製版だとかなりキレイなようです。

 もちろん表紙のカラー印刷についても同様です。色分解のクセというのが印刷所によって違います。…そこら辺についても詳しい人に訊いてみて下さい(印刷所のパンフレットにはいいことしか書いてないからね)。

感熱紙・薄い色の印字のワープロ・プリントアウトはコピーしてから貼り込む

 ネームなど、プリントアウトしたワープロ文字を張り込むことがあると思いますが注意点がいくつかあります。
 まず、感熱紙は貼り込みののりで紙そのものが変色することが多いです。コピーしてそちらを張り込んで下さい。
 また、プリンタでプリントアウトしたものでも、インクが多少灰色になっているものがあります。それも一度コピーしてから使って下さい。もちろん、そのコピーもトナーが真っ黒である必要がありますが…(苦笑)。

切り貼りにはペーパーセメントがオススメ

 これはカラーでも同様です。基本的には「ペーパーセメント」(画材屋さんか大きめの文具店には売っています)を使って下さい。貼った後の修正が簡単でオススメです。または強めのスティック糊を使用して下さい。水性のヤ●ト糊などは紙が歪んでしまうので原稿では使わないようにして下さいね。
 なお「ペーパーセメダイン」は大丈夫ですがそれとよく似た「写真用セメダイン」はダメです……2度とはがれなくなります…(経験アリ)。
 もちろんどちらを使うにしても、貼がれないように注意してくださいね。

「トンボ」は入れよう

 トンボを入れなくてもいい印刷所もありますが、基本的にはトンボは入れておくべきです。特に忘れがちなのがセンタートンボなので気をつけてくださいね。(ワタシもよく忘れてました……)

トーンやベタの塗り過ぎでトンボを消さないで

 「原稿用紙の使い方」でも述べましたがもう一度…。
 タチキリの場合ははみ出して描く…というのが原稿制作上のセオリーとなってますが、やりすぎてトンボが見えなくなると逆に印刷所が困ってしまいます(入れ忘れよりも困るんです)。延ばすのも「ここまで延ばしてかく」という所までにしてください。

ノンブルは全ページに入れる

 これも入れなくても大丈夫な印刷所もありますが、落丁乱丁防止の為に基本的に全ページに入れるようにして下さい。「隠しノンブル」という方法もありますが、基本的には「きちんと印刷に出るところ」に入れるのが良いでしょう。


原稿全般の注意点

 本文・表紙に関係なく注意したいことを挙げます。

マンガの原稿用紙には薄い紙は使わない

 特に印刷所が大丈夫、と明記している場合以外は、マンガ同人誌の原稿用紙には薄い紙は使わないで下さい。面付ができないです。110kgか130kgが丁度いいですね。プリントアウトしたものを原稿に使用する場合注意して下さいね。

クレヨン・パステル・コンテ・えんぴつ原稿には定着液を。

 網掛け用や表紙原稿に上のような画材を使用した際にはしっかりと定着液を書けておいて下さい。他の原稿を(自分のも他の人のも)汚してしまうおそれがあります。

トーンなどの指定は青の色鉛筆ではなく黄色の色鉛筆(蛍光ペン)で。

 ペン入れのあとトーンを貼る位置などに薄い青の色鉛筆で指定を描くのはマンガの描き方本などで広く知られた手法ですが、同人誌印刷、特に小部数では印刷に出てしまうことも多いので(製版方法によるものです)、できれば薄い黄色の色鉛筆又は黄色の蛍光ペンを使うことをお薦めします。

トーンの下のゴミや鉛筆線は印刷に出るので注意しよう

 出ないだろうと思ってると出ます(笑)。キレイに原稿を制作することを心がけていれば大丈夫なんですけどね…。

インレタや小さいトーンははがれないように…

 本文原稿で特にはがれそうなものには上からメンディングテープを貼るといいでしょう。

細かいアミ、線、グラデーショントーンは飛んだりつぶれたりします。

 例えばカゲトーンならば51番、61番程度が妥当です。81番以上は多分飛びます…。また、グラデーションでも、90%以上の濃い部分は大体潰れます。
 特に重ね貼りはトーンが潰れることが殆どです。また、原稿の扱い方によってははがれてしまったりするので、避けた方がいいです。

線のかすれ、トーンの「浮き」に気を付けよう。

 どちらも印刷に綺麗に出ません。トーンははがれないためにもきっちりこすって張り付けておきましょう。

原稿用紙のウラには氏名・本のタイトルを書きましょう。

 他の人の原稿と混じったりしないために、面倒でも表紙本文・全ページに書いておくといいと思います。(パソコンでシールなどで作って貼れば楽かも)
 ただしコレはコピー本ではやらない方がいいと思います。コンビニなどに原稿を忘れた時に恥ずかしい思いします…。


4・印刷物を引き取る

 できた印刷物を引き取る方法を簡単に紹介しておきます。

イベント直接搬入・発送

 イベント合わせにした本はイベント会場で引き取ることが多いと思います。
 この場合、印刷所がイベント会場に運ぶ「直接搬入」と、印刷所から宅配便会社を使って会場に送る「発送」とがあり、料金など違いが出てきます。
 一般的には、コミケなど大きなイベントの場合は「直接搬入」、オンリーイベントなどでは「発送」してもらう場合が多いですね。
 直接搬入の場合、印刷物や搬入内容にミスがあった場合、会場でその印刷所と直接交渉できることが多いですね…。

自宅に発送

 オンリーイベント合わせなどで、会場に印刷所から直接宅配便で発送できない場合など、できた印刷物を自宅に発送してもらうことも多いです。
 この場合、家で確実に受け取れるように、日時や宅配便会社の確認などを入稿時に行って下さい。

印刷所に取りに行く

 一番確実な方法です…が、大部数や大ページ数の場合はムリですね。
 取りに行く際には、家を出る頃に印刷所に電話連絡を入れておくと良いでしょう。


その他。

 基本的には同人誌の原稿なんて好きに作ればいいと思いますし、ワタシがとやかく言えたことじゃないんですが、絵を描いたり小説などのレイアウトを考える段階で「これは印刷にどう出るのか」ということをある程度考えて描く必要があると思います。(これは同人誌に限らず印刷物を作る上で必要でしょうね)
 例えばB5の原稿(版下)を縮小してA5サイズの本にする場合、縮小されるわけですから、トーンがツブレたりとんだりします。また、小さい文字を書いた場合、読みにくくなることもあるでしょう。
 更にノンブルが入れられないようなコマ割りのマンガだと、印刷所のミスがあると乱丁が生じたり(隠しノンブル不可の印刷所も多いです)、何重にも重ね貼りしたトーンはしっかり止めておかないとはがれたりします(そもそも3重貼り以上はキレイに印刷できない…)。

 結局マンガは「原稿を見てもらう」わけじゃなくて、「印刷されたものを見てもらう」ってことを頭の片隅において原稿制作するべきなのでしょう。いくら汚い原稿でも印刷さえキレイにできればいいわけですし、逆は逆で悲しいものです…。