(2013年12月議会参考資料一部より)

 

1. 子ども実年齢見合っていない早期老化  

2.若年性白内障歯と口の異常血液,リンパ,心臓,

消化器, 泌尿器および皮膚の疾患

   3.染色体異常細胞率は精神病理学的症
   状
を患う人に高く,染色分体異常
   細胞率は
無力症強迫恐怖症候群を患
   う人に高い

  染色体切断率は,甲状腺機能低下や,
   奇形と相関がある


染色体切断
  率は,新生児における免疫制御系失調の発生
  率と符合する。

先天性奇形の発
  生率は,汚染値が15 Ci/km^[=55万5,000 Bq/
  m^]以上の地域で高い

染色体異常数,小核数,および点突然変異
  の率は,甲状腺がんを患う子どもにおい
  て高い

汚染地域に住む人は,腫瘍細胞ばか
  りでなく「正常な」組織でも染色体異常細胞
 率が高い。

精子の構造異常の発生率と,染色体異常の
  発生頻度には相関がある
。 ゲノム構成における変化が,チェルノブイリ大惨事の最初
の危険な兆候だったことだ。数々の変化が放射線
の放出後数日のあいだに起こり,さまざまな疾患
の発生率を上昇させた。

  広島や長崎で放出され
たものより遺伝学的にはるかに危険である。なぜ
なら,チェルノブイリのメルトダウンで放出され
た放射性核種は量において数百倍も膨大で,種類
も多いからだ。


 遺伝的影響は何億人に
も及ぶ。曝された人びとストロンチウム90[Sr-90]やセシウム137は放射線量が環境放射線の値にまで下がるのに少なくとも300年を要するところ,
プルトニウムやアメリシウム[Am]は,そのきわめて危険な放射能が完全に減衰するのに1,000年単位の時間を要する。被曝した親から子へと7世代にもまたがる人びと
内分泌系の
  甲状腺は,成人では体内に入
った放射性ヨウ素全量の最大40%を,子どもで
は最大70%を集積する。また,脳下垂体はヨウ素を通常の非
放射性ヨウ素の5倍から12倍の水準で能動的に
取り込む。内分
泌系のこれら2つの重要な構成器官が,事
故後から数週間の「ヨウ素期」に放射
線に曝露した。

 あらゆる生
理機能は複合的な機能を司る内分泌器(膵臓,副
甲状腺,甲状腺,副腎,卵巣,精巣)に依存して
おり
  身体および知能の正常な発達には
甲状腺が適
切かつ適時に働く必要がある。
胎児や新生児が甲
状腺に損傷を負うと,
知的能力が抑えられたまま
一生を送ることになる
かもしれない。

   4.急速な変化見舞われた結核菌肝炎ウイルスヘルペスウイルス

タバコモザイクウイルス,サイトメガロウイルスおよび土壌細菌

,さまざまな場面で活発になった微生物個体群の病原性が強まった   

5.265集落(都市および村落)における40万人の子どもの測定
   結果が掲載されている。

 各集落における測定結果の分析には,共通する社会的・人口動態的データセシウム
  
137の内部被曝検査が実施された全日程,検査した子ども全員とリスク群に分類された子
   どもにおけるセシウム137の比放射能の平均値と最高値,子ども全員とリスク群の中央
   値,観察期間ごとの蓄積量の分布を示すグラフなどが
含まれる。この分析でリスク群に分
   類されているのは,比放射能がもっとも高かった都市部の学童30人と農村部の学童15
   人である。  多くの集落における測定は数年にわたり, また定期的に実施されたため,セシウム137
の内部被曝量の変化を追跡できており,蓄積量と季節,年齢,性別などとの関係が明らかになっている。

   6.安全を確保するもっとも簡単 な方法は,食物に取りまれた放射性核種をモニ タリングすること。ベラルーシの多くの場所で,
体内に取り込んだガンマ線放出核種の量を ホールボディカウンターによって測定した結果を 分析するとともに地元産の食物を対象に放射能 モニタリングを行ったところ,セシウム137に よる食物の汚染と,人間が体内に取り込む放射性核種の量とのあいだに高い相関が見られること, とりわけ子どもたちにそれがいえることが明らか
になっている。子どもと成人の食事内容が同じ場合,子どもは体重が軽く,また新陳代謝が活発なので,地元産の食材から受ける集積線量は成人の5倍に達する。農村に暮らす子どもが受ける集積線量は,都市部の同年齢の子どもより5倍から6倍も多い。
   

7.ペクチン含有腸内吸着剤に よる体外排出の成果
  ペクチンは消化器の中でセシウムのような陽イ オンと化学的に結合し,排便を通してセシウム137
排出量を増やすことが知られている。
「ゾステリ
  ン・ウルトラ[Zosterin-UltraR]」の商品名で知
  られる製剤は,ロシアの原子力産業で集団予
  防に用いられていた。非吸収性ペクチンであ
  るゾステリンの血液注射は,栄養摂取や新陳
  代謝その他の機能には害を及ぽざない。液状
  経口薬「ゾステリン・ウルトラ」は腸内吸着
  性および血液吸着性があり,生物学的に即効
  性の(言いかえれば治療効果のある)食品添加
  物として,ウクライナ保健省(1998年)およ
  びロシア保健省(1999年)により認可された。
 1996年,ペルラド研究所はセシウム137
  の排泄を促進するためにペクチン含有食品
  (フランスの「メデトベクドMedetopectR」」
  およびウクライナの「ヤブロペクト
  [YablopectR]」)にもとづく腸内吸着療法を開
  始した。 1999年,同研究所はヘルメス社(本
  社:ドイツ,ミュンヘン市)と共同で,「ビタ
  ヘクト
[VitapectR]」の商品名で知られるリン
  ゴペクチン含有の合成食品を開発した。ビタ
  ヘクトは粉末状で,ビタミンBi,B2,B6,Bi2,
  C,E,およびベータカロチン,葉酸を補った
  濃縮ペクチン(18〜20%)と,カリウム,亜鉛,
  鉄,カルシウムなどの微量元素,および香料
  からできている。
  

8.農作物に残留する放射性核種の濃度を下げ
  るためには‥ストロンチウム90の措抗体と
  して石灰/カルシウム肥料,セシウム137
  の措抗体としてカリウム肥料,水溶性の硬質
  リン酸塩を形成しストロンチウム90を沈殿
  させるリン酸肥料・,さらにゼオライト,水面
  下の腐植質堆積土壌(gyttja)その他,天然の
  措抗体や吸着体を用いることが有効である
 
  

9. その程度を 問わず,あらゆる生物の体細胞および生殖細胞に影響を及ぼす。 診療録の組織的隠蔽と是正不能な改
   ざん。[免疫系など]への影響。
チェルノブイリ事故に由来する死者数は
大惨事後の15年間で23万7,000人近くに達した。
  1987年から2004年にかけてのチェルノブイ
  リ事故による死者数は,前回の3国以外の
  ヨーロッパ諸国とアジア,アフリカで計46
  万2,000人近く,北米では33万1,000人近
  くにのぼったと仮定してまず間違いなく,全
  世界ではほぼ100万人に達していたことに
  なる。
チェルノブイリの犠牲者は今後,数世代に
  わたって増え続けるだろう。

10.

二次的放射能汚染

が起きている

(さらに今後も起き続ける)。

放射性核種は再循環するため,

 

[消滅や崩壊には]

予測より

ずっと長い時間

がかかっている。

 

安全とみなされるレベル

(年間1 mSv)まで

下げるためには,
 

以下を実践するとよい。
 

・菜園,牧場,干草用の草場など,

すべての農地に

無機肥料を年3回以上施肥する。
 

・地元産食材として

重要なキノコ類,ナッツ
   類,ペリ一類に含まれる

セシウム137を
効果的に減らすため

集落から半径10 km
   範囲内の森林に

カリウム[K]と

溶解性リグニン

施用する。
 

放射性核種の排泄を促進

するため,

少なくとも年4回,

天然ペクチン性

腸内吸着剤
)を支給し, 1
ヵ月のあいだ各自で規則的に摂取してもら

う。

 

幼稚園や学校に

通う子どもには

ペクチン入りジュースを

毎日飲ませるようにする。

 

牛乳,肉類,魚介類,野菜,その他の地元産食品における

放射性核種含有量を

減らす

防護対策

をとる。

 

・食肉用家畜の肥育に

腸内吸着剤

(フェロシアン化物など)

を利用する。


  疾病水準を下げ,

保養を促進するためには,
汚染地域において

以下を提供するとよい。

年に3度(子供),

年に1度(大人),

ホールボディカウンター

[人間の体内に

取り込まれ,

沈着した

放射性物質の量を

体外から測定する装置]

を用いて

1人ひとりの

体内放射性核種の

蓄積量を

実測すること

(子どもは3ヵ月ごとの実施が必要)。

・EPR線量測定

[電子スピン共鳴(EPR)線量測定]

染色体異常数の測定

などにより,

大惨事当初からの

各自の外部被曝線量を

再現すること。

 

15.5.チェルノブイリの放出物と
   

環境影響

1. 半減期の長い

チェルノブイリ由来の

放射性核種が

水,風,季節の渡りをする動物

によって移動することで,

ウクライナの

チェルノブイリ原子力発電所から

何百km,何千km

も離れた場所に

二次的放射能汚染

が起きている

(さらに今後も起き続ける)。

 

2.チェルノブイリ由来の放射性核種が

急速に
  消滅ないし崩壊し,

生態系から

取り除かれる

とした

当初の予測は

すべて誤っていた。

 

 チェルノブイリ大惨事の25年後における住民の健康と環境への影響


 放射性核種は再循環するため,

 

[消滅や崩壊には]

 

予測より

ずっと長い時間

がかかっている。
 

 

水,人気,土壌における

汚染の全容は

振れ幅の大きな変動

を見せ,

ストロンチウム90,
  セシウム137,

プルトニウム,

アメリシウム
  の汚染の動態には

いまだに想定外が

待ち受けている。

3.土壌の根圏層に

セシウム137.

ストロンチウム90,

プルトニウム,

アメリシウム

が蓄積した結果,

放射性核種は

ここ数年のあいだも

引き続き

植物の内部に

取り込まれている。

 


  放射性核種

(すでに地表から姿を消していたもの)

は水とともに

植物の地上部分へ

移動し,
  食用部位に

濃縮する。

 

そのため,

放射性核種
  の総量は

自然崩壊によって

徐々に減りつつある

にもかかわらず,

人びとの内部被曝線量と
  線量率は

増すことになる。

 

4.動植物やキノコ類に

含まれる

放射性核種の濃度は,

生物濃縮によって

水や土壌中の濃度の

1,000倍にも

跳ね上がる場合がある。
 

蓄積係数ないし

移行係数は,

同一種でも

季節によって

かなり変動する。

 

 

このため,

安全に
  食べられるように

見える

動植物に

危険な量の
  放射性核種が

含まれていても,

その判別が

難しい。

 

 

実際の

汚染度を

確かめるには

直接測定
  するしかない。

 

5. 1986年には,

ヨーロッパ西部,

北米,

北極圏,

アジア東部

における

動植物の

被曝線量

許容値の

数百倍

ないし

数千倍

達する

ことさえあった。

 

当初の

高線量の

放射線照射に
 

放射線量の

低い緩照射が

続いた結果,

 

調査対象となった

汚染地域の全生物

.......植物,

哺乳類,

鳥類,

両生類,

魚類,

無脊椎動物,

細菌,

ウイルス

‥‥−に

形態学的,

生理学的,

遺伝的
  障害

をもたらしている。

 

6.大惨事から25年経った

ベラルーシ,ウク
  ライナ,ヨーロッパ側ロシアの

汚染地域では,
  狩猟対象

鳥獣のすべてに

チェルノブイリの

放射性核種が

高濃度に

蓄積している。

オーストリア,

スウェーデン,

フィンランド,

ドイツ,
 スイス,

ノルウェー,

その他数力国でも,

危険なほど汚染された

ヘラジカや

イノシシ,

ノロジカが

いまだに見つかる。

7. 綿密な調査の対象

となった

被災動植物の

個体群すべてに

惨事以前には

まれだったり,
  聞いたこともなかったりした

さまざまな

形態異常が

現れている。

 

8.調査対象となった

汚染地域の植物,魚類,
  両生類,鳥類,哺乳類の

すべてにおいて,

個体発生の安定性

(発生上の不安定性を

検出する特殊な方法で,

左右対称性のゆらぎ

の度合いによって

割り出される)

が低下していた。

 

9.チェルノブイリの放射能汚染土壌

に含まれる

遺伝的異常

ないし

未熟な花粉粒や

胞子の数は,

植物地理学的な

攪乱が生じたことを

示している。

 

10.チェルノブイリの汚染地域で

調査対象となった

動植物と微生物の

すべてに

比較的汚染の少なかった地域より

有意に

高頻度で

突然変異が

生じている。

 

チェルノブイリ地域での
 

恒常的な低線量被曝は

 

ゲノム不安定性の

継代的蓄積を

招いており,

これが

細胞や個体レベルの作用として

表れている。

過去二十数年のあいだに

生息地域の

放射能汚染度が

下がっている

にもかかわらず,

一部の生物において

突然変異率は

上昇している。

 


11.チェルノブイリの

重度汚染ゾーン内の

野生生物は

ときとして繁栄している

かのように見えるが,

これは見かけ倒しである。

 

形態形成学的,

細胞遺伝学的,

免疫学的検査

によれば,

 

調査対象となった

重度汚染ゾーン内の

植物,魚類,両生類,哺乳類の

個体群はいずれも

生息数が

わずかである。

 

このゾーンは

「ブラックホール」

になぞらえられ、

一部の生物種は

非汚染地域から

移入してきた場合に

のみ
  ここで生きのびている

と見てよい。

 

チェルノブイリの重度汚染ゾーンは

ミクロ進化の

「るつぼ」

と化しており,

そこでは

生き物ごとの
  遺伝子プールが

激しく変化しながら

予期せぬ結果を

生み出している。

12.チェルノブイリの

重度汚染ゾーン内の

ノネズミとカエルに

突然変異率の上昇,

罹病率および死亡率の上昇,

平均余命の短縮,

生殖能力の低下,

雌雄の性別比率の変化

が見られた。

 

今後生まれてくるヒトにも

幾世代にわたり

同じことが

起こりうる。

 

13.チェルノブイリの

汚染地域における

野生生物の

変異過程について

理解を深めるために
  放射線生物学的調査や

その他の学術調査は

中止すべきでない。

 

ベラルーシ,ウクライナ,
  ロシア全土では

こうした調査が

止められてきているが,

想定内および想定外の

影響を理解し,

軽減するためには,

むしろさらに

調査を
  拡大・強化して

いかなければならない。

 

今後

アメリシウム241

の問題

プルトニウム241の

自然崩壊によって

形成される

アメリシウム241は,

チェルノブイリ原発から

1,000 km

までの

多くの地域において

汚染値を上昇

させる。

 

将来

プルトニウム241がアメリシウム241へ

崩壊すると

その結果,

数百年後でさえも

再び危険になることが

予想される。

 

数十年後には,

アメリシウムの放射線量が

現在の6倍になり

プルトニウム同位元素の

総放射線量

超える。

そのうえ,

アメリシウム241は

プルトニウムに比べて

可溶性が高く,

結果として

生態系への

移行

高まる危険が

加わる。

 

放出された

放射性核種には

,塩素36
(半減期約3万年)と

テクネチウム99(同約2万3,000年)を

含む。

 

プルトニウムは

20万年以上,

アメリシウム241は

数千年。

深刻さを増している。

 

ストロンチウム90と

アメリシウム241は

水溶性のため,

食物連鎖を通じ

予想より早い

 

汚染以前の

最大100万倍になることも。

放射性核種の濃度が

起こる生物濃縮

によって

数千倍

上昇する現象

見えにくくする

 

つまり

一見無害な

放射性核種


生物が

甚大な影響

受ける。

 

微生物への悪影響。

土壌1g中には

25億個ほどの微生物

(細菌,微小菌類,原生動物)

がいる。

 

一方,

成人1人の体重のうち

最大3 kg

細菌とウイルスと微小菌類が

占めている

 

これら微生物やウイルスが

それほど重要で,

本質的に

生きている生態系の

代表である

という事実にもかかわらず

病原性が

強まったことに帰せられる。

 

慢性的な低線量被曝

ゲノム

世代を

超えた悪影響

 

15.6.大惨事の影響を
    最小化するための,
    社会面,環境面での取り組み

1.何十万人もの人びとにとって

(まず筆頭は ベラルーシ.さらにはウクライナやロシアの広範な地域.そして他の国々の一部地域に暮らす人びとにとって).

チェルノブイリ事故による

追加被曝量は、

いわゆる「安全」とみなされる

年間1 mSv を

いまなお超えている。

 

2.現在.ベラルーシ.ウクライナ,ロシアの
  汚染地域に暮らす人びとにとって,

被曝線量の90%

汚染された

地元産食品の

摂取によ
  るものである。

 

そのため.

体内に取り込んだ
  放射性核種

排出する対策

取れるよう

手立てが

提供されなければならない。

 

3.汚染されていない食物を生産

するために
  また

ベラルーシ.ウクライナ,ヨーロッパ側
  ロシアの人びとの療養のために

多角的な対策が

講じられている,

たとえば,

特定肥料の
  増量施肥.

 

農場生産物や食肉の

放射性核種含有量を

下げるための

特別プログラム,

 

学校や
  幼稚園用の

放射性核種を含まない

給食の手配,
 

子どもたちを

定期的に

非汚染地域に

滞在させる特別な保養プログラム

などが行われている。


  しかし,

食を自家菜園や

地域の森林,

水源に
  頼る人びとにとっては,

残念ながら

こうした対策だけでは

十分ではない。

4.汚染地域の

住民の体内に

蓄積したセシウム137

を減らす対策

の案出がどうしても必要だ。
 

 

体内に取り込まれた

放射性核種の

人体への影響について

現在入手可能な

データによれば,
  セシウム137の
濃度は

子どもで30〜50 Bq/kg

成人で70〜75 Bq/kg

となっている。
 

2006年に

ベラルーシの一部の集落では,
  2,500 Bq/kg

に達する子どもも

いたのである!

 

5.ベラルーシのベルラド研究所の

経験によると,

体内のセシウム137濃度が

25〜28 Bq/kg以上になったら,

積極的な体外排出対策
  を導入すべきである。

 

これは年間被曝量

0.1mSvに相当し,

汚染地域に暮らす場合に

避けようのない

外部被曝量として

UNSCEAR
  が定めているのと同程度だ。

6.個人や家庭で消費する

食物の量が異なり,
  地域ごとに入手できる

食物にばらつきがある
  ことから,

子どもを最優先した

1人ひとり
  の放射性核種の測定

と合わせて,

地元産食品の

恒久的な放射能モニタリングが

必要である。

地元産の食物における

放射性核種の許容量は,
全般的に

もっと厳しくしなければならない

7.ベラルーシ,ウクライナ,ロシアの

汚染地域に暮らす人の被曝線量を,

安全とみなされるレベル

(年間1 mSv)まで

下げるためには,
 

以下を実践するとよい。
 

・菜園,牧場,干草用の草場など,

すべての農地に

無機肥料を年3回以上施肥する。
 

・地元産食材として

重要なキノコ類,ナッツ
   類,ペリ一類に含まれる

セシウム137を
効果的に減らすため

集落から半径10 km
   範囲内の森林に

カリウム[K]と

溶解性リグニン

施用する。
 

放射性核種の排泄を促進

するため,

少なくとも年4回,

天然ペクチン性

腸内吸着剤
)を支給し, 1
ヵ月のあいだ各自で規則的に摂取してもら

う。

 

幼稚園や学校に

通う子どもには

ペクチン入りジュースを

毎日飲ませるようにする。

 

牛乳,肉類,魚介類,野菜,その他の地元産食品における

放射性核種含有量を

減らす

防護対策

をとる。

 

・食肉用家畜の肥育に

腸内吸着剤

(フェロシアン化物など)

を利用する。


  疾病水準を下げ,

保養を促進するためには,
汚染地域において

以下を提供するとよい。

年に1度,

ホールボディカウンター

[人間の体内に

取り込まれ,

沈着した

放射性物質の量を

体外から測定する装置]

を用いて

1人ひとりの

体内放射性核種の

蓄積量を

実測すること

(子どもは3ヵ月ごとの実施が必要)。

・EPR線量測定

[電子スピン共鳴(EPR)線量測定]

染色体異常数の測定

などにより,

大惨事当初からの

各自の外部被曝線量を

再現すること。

 

これは,

リクビダートル,

避難者,

自主移住者,

およびその子どもだちなど,

汚染地域を離れた人を含む

全被災者を対象に

行うべきである。


・子どもの

重度先天性奇形のリスクに

関する遺伝相談を

汚染地域内で

義務化すること
 

(出産年齢にある全国民も希望により受けられるようにする)。

 

重度の先天性奇形を
  もった子どもが

生まれるリスクは,

親となる人の血液や

骨髄に見られる

突然変異の

特徴やスペクトルから

推定することが可能で,
  これによって

家族的な

悲劇を

避けることができる。

・ベラルーシ,ウクライナ,ロシアの

汚染地域に暮らす家族

を対象に

重度の先天性奇形に関する

出生前診断と,

医療中絶プログラムを

支援すること。
 

 

・汚染地域の住民向けに

腫瘍の定期検診と
   予防的・予見的医療対策を

実施すること。

9.チェルノブイリ大惨事は,

国家の資力だけでは

人びとを

放射性降下物から

守りきれないことを

はっきりと示している。

 

事故後の

20年間における

ベラルーシ,ウクライナ,ロシアの

直接的経済損失は

5,000億ドル(50兆円)

を超えている。

 

ベラルーシで

年間国家予算の

およそ20%,

ウクライナでは

最大6%,

ロシアでは
  最大1%

を事故の影響の緩和に

充てている。


  放射性核種が

土壌の根圏層に残る

ベラルーシでは

特に今後

少なくとも

25年から30年間にわたって,

子どもを守るための

広範な

国際支援が

必要となるだろう。

 

10.1986年4月に

汚染地域の人びとに

安定ヨウ素剤を

支給しそこなったことが,

犠牲者の
  大幅な増加

を招いてしまった。

 

甲状腺疾患は
  原子力発電所の

故障時に

最初に発生する

健康被害

の1つであるため,

放射性降下物の

経路にあたる

すべての人に、

 この単純な化合物を

行き渡らせる

確実なシステムが

必要不可欠である。

 

今後,

万一の

原発大惨事に

そなえ,
  原子力発電所を

保有するすべての国は,

各国が

ヨウ化カリウムを

備蓄する

のを当然のごとく

支援して

いかなければならない。

 

11.チェルノブイリの悲劇

によって明らかなのは,

あらゆる社会

(とりわけ日本,フラン
  ス,インド,中国,米国,ドイツ)

で,

危険を軽減し

余分の被害を

避けるために

食品と人の

被曝量

独立の立場から

モニタリング
 
[監視]

することの

重要性に

目を向けるべきだ
 という点である。

12.すべての原子力発電所の

周辺地域で

体内
  に取り込んだ

放射性核種の

モニタリングが

必要であり,

とりわけ

子どもたちには

欠かせない。

 

このモニタリングは

原子力産業から

独立したもの

でなければならず,

一般市民

測定結果に

アクセスできなければならない。

 

15.7.原子力産業の関連組織は
    一般市民よりも業界を
    守ることを優先する
1.チェルノブイリの経験によって

得られた重要な教訓は,

原子力産業と

結びついた専門家
  や組織が,

大惨事の影響を

軽んじ,

無視して
  きたことである。

 

2.大惨事から

わずか8年か9年のうちに

広範囲にわたる

白内障の増加

(子供の)

医療当局が

認めた。

甲状腺がん

白血病

中枢神経系の器質性障害

についても同じことが起きた。

被曝予防

被害軽減

遅れが生じたのは

何も知らず

何の非もないのに

苦境に立たされた

何百万もの人びとを

救い出すより

現状維持

関心を寄せる

原子力推進派が,

明らかに

問題が起きているのに

それを

なかなか認めようと

しなかったためだ。

 

原子力産業にとって

都合の悪い情報を

一般市民から

隠蔽できる。

 

WHO
  とIAEA

のあいだの

協定(WHO, 1959)は
 
変更必要である。

 

15.8.チェルノブイリを
    忘れることなどできない

1.チェルノブイリ大惨事が

人びとの健康と環境

に及ぼした

悪影響に

関するデータは

現在も
  増え続けており,

楽観を許すような

状況ではない。

 

国内および国際的に

展開される

大規模な

特別プログラムがなければ,

汚染地域の

罹病率

および

死亡率は

上昇していくだろう。

原子力産業に

関わりをもつ

専門家たちの

唱える
  「そろそろチェルノブイリを忘れよう」

という主張は,

倫理的に

筋が通らない。

2.チェルノブイリ事故による

影響の緩和と

最小化に向けた,

健全で

有効な

国際的ならびに
  国内的政策は,

「この恐ろしい大惨事の

影響を理解し

被害を最小限に

抑えることが

必要」

という原則に

もとづいたもの

でなければならない。

15.9.結 論
  1963年7月,ジョン・F・ケネデヤ米国大統領は

大気圏内

核実験廃止の必要性

を説く演説で

こう
述べた。
   「………骨ががん

に侵され,血液が

白血病

を病み,

肺に毒物を取り込むことになる

子どもた

孫たち

数は,

普通の健康被害に比べて
   統計的に少ないように思う人もいるでしょう。
   しかしこれは

普通の健康被害でも,

統計上の問題でも

ないのです。

失われるのが

たった1人の命

であっても,

私たちが

死んだ

ずっと

後に

生まれてくるかもしれないのが,

たった1人の

奇形をもった

赤ん坊であっても,

それは
   私たち全員にとって

懸念すべきことです。

私たちの

子どもたちや

孫たちは,

単なる統計上の

数字などでは

ありませんから,

無関心で

いるわけには

いかないのです」。

 


チェルノブイリからフクシマヘ
  本書のロシア語版第3版の印刷中に 日本の東京電力福島第1原子力発電所で大事故が起きた。

地震と津波が発生して

4つの原子炉と

使用済み燃料プールを損傷し,

大量の放射性核種が

大気中と海に
放出されたのだ。

数万人の住民が

避難を余儀なくされ,

命がけで

復旧作業にあたった

日本人

リクビダートル

[事故処理作業員]

に最初の犠牲者が出た。

 

チェルノブイリ大惨事から今日までに

ベラルーシ,ウクライナ,ロシアが

経験した多くの試練が

,今後の日本を

待ち受けているであろうことが,

しだいに明ら
かになってきている。
 

本書の著者一同,

日本国民に

心からお見舞いを申し上げると

同時に 

その苦しみを少しでも回避し,
軽減し,

放射能汚染の被害を

可能な限り抑え込むために

 日本が一刻も早く,

確実にチェルノブイリの教訓から

学ぶことが

重要だと確信している。

 

チェルノブイリの悲劇から

25年のあいだに

ベラルーシ,

ウクライナ,

ロシアには

放射能汚染地域の被災者に対する

支援や生活・経済の再建について,

非常に多くの経験が

(良いものも悪いものも含めて)

蓄積されてきた。

この経験が

日本で

役立つかもしれない。 

チェルノブイリの経験は,

高濃度の

放射能に汚染された地域で,

近い将来に

元の暮らしに戻ることは

不可能だと

教えている。

 

その地で

安全な生活を送るためには,

常生活や

農業・漁業・狩猟において

特別な安全対策を

講じなければならない。

必要不可欠な安全策には

以下のようなものが

ある。

・土壌中で,植物の根圏層から長寿命の放射性核種の除去を促す方策を案出すること。

・安全な(放射性核種を含まない)食品の生産技術や,工芸作物など食用以外の農作物の生産技術を
  開発すること。

・福島第1原発事故由来の放射性核種による影響を避けるため,体内に放射性核種を入れないた
  め,そして取り込んだ放射性核種を排出するために 人びとが積極的に行動すること(放射能の
  防護や吸着の手立てを広めること)。

・政府と地方自治体は,大規模な医療支援や社会的施策など,汚染地域における生活再建計画を策
  定すること。
 

被災した地域における放射線防護の徹底や,社会的・経済的な復興支援には,十分な資金と決定権を
もつ国の全権機関を特別に創設することが必要だろう。
 

チェルノブイリのもう1つの教訓は,日本のような発展した大国でさえ国際的な支援が不可欠であ
ることだ。

 

チェルノブイリで実施された被災者支援のための(国の役割を補完する)大規模な人道的協力
の経験や、

放射能のモニタリング[監視]と放射線防護を行う非政府の民間組織(NGO)による経験が生
かされるだろう,

(岩波書店発行「調査報告:チェルノブイリ被害の全貌」からの引用より)