(2013年12月議会参考資料一部より)

 

 

1. 子ども実年齢見合っていない早期老化  

2.若年性白内障歯と口の異常血液,リンパ,心臓,

消化器, 泌尿器および皮膚の疾患

   3.染色体異常細胞率は精神病理学的症
   状
を患う人に高く,染色分体異常
   細胞率は
無力症強迫恐怖症候群を患
   う人に高い

  染色体切断率は,甲状腺機能低下や,
   奇形と相関がある


染色体切断
  率は,新生児における免疫制御系失調の発生
  率と符合する。

先天性奇形の発
  生率は,汚染値が15 Ci/km^[=55万5,000 Bq/
  m^]以上の地域で高い

染色体異常数,小核数,および点突然変異
  の率は,甲状腺がんを患う子どもにおい
  て高い

汚染地域に住む人は,腫瘍細胞ばか
  りでなく「正常な」組織でも染色体異常細胞
 率が高い。

精子の構造異常の発生率と,染色体異常の
  発生頻度には相関がある
。 ゲノム構成における変化が,チェルノブイリ大惨事の最初
の危険な兆候だったことだ。数々の変化が放射線
の放出後数日のあいだに起こり,さまざまな疾患
の発生率を上昇させた。

  広島や長崎で放出され
たものより遺伝学的にはるかに危険である。なぜ
なら,チェルノブイリのメルトダウンで放出され
た放射性核種は量において数百倍も膨大で,種類
も多いからだ。


 遺伝的影響は何億人に
も及ぶ。曝された人びとストロンチウム90[Sr-90]やセシウム137は放射線量が環境放射線の値にまで下がるのに少なくとも300年を要するところ,
プルトニウムやアメリシウム[Am]は,そのきわめて危険な放射能が完全に減衰するのに1,000年単位の時間を要する。被曝した親から子へと7世代にもまたがる人びと
内分泌系の
  甲状腺は,成人では体内に入
った放射性ヨウ素全量の最大40%を,子どもで
は最大70%を集積する。また,脳下垂体はヨウ素を通常の非
放射性ヨウ素の5倍から12倍の水準で能動的に
取り込む。内分
泌系のこれら2つの重要な構成器官が,事
故後から数週間の「ヨウ素期」に放射
線に曝露した。

 あらゆる生
理機能は複合的な機能を司る内分泌器(膵臓,副
甲状腺,甲状腺,副腎,卵巣,精巣)に依存して
おり
  身体および知能の正常な発達には
甲状腺が適
切かつ適時に働く必要がある。
胎児や新生児が甲
状腺に損傷を負うと,
知的能力が抑えられたまま
一生を送ることになる
かもしれない。

   4.急速な変化見舞われた結核菌肝炎ウイルスヘルペスウイルス

タバコモザイクウイルス,サイトメガロウイルスおよび土壌細菌

,さまざまな場面で活発になった微生物個体群の病原性が強まった   

5.265集落(都市および村落)における40万人の子どもの測定
   結果が掲載されている。

 各集落における測定結果の分析には,共通する社会的・人口動態的データセシウム
  
137の内部被曝検査が実施された全日程,検査した子ども全員とリスク群に分類された子
   どもにおけるセシウム137の比放射能の平均値と最高値,子ども全員とリスク群の中央
   値,観察期間ごとの蓄積量の分布を示すグラフなどが
含まれる。この分析でリスク群に分
   類されているのは,比放射能がもっとも高かった都市部の学童30人と農村部の学童15
   人である。  多くの集落における測定は数年にわたり, また定期的に実施されたため,セシウム137
の内部被曝量の変化を追跡できており,蓄積量と季節,年齢,性別などとの関係が明らかになっている。

   6.安全を確保するもっとも簡単 な方法は,食物に取りまれた放射性核種をモニ タリングすること。ベラルーシの多くの場所で,
体内に取り込んだガンマ線放出核種の量を ホールボディカウンターによって測定した結果を 分析するとともに地元産の食物を対象に放射能 モニタリングを行ったところ,セシウム137に よる食物の汚染と,人間が体内に取り込む放射性核種の量とのあいだに高い相関が見られること, とりわけ子どもたちにそれがいえることが明らか
になっている。子どもと成人の食事内容が同じ場合,子どもは体重が軽く,また新陳代謝が活発なので,地元産の食材から受ける集積線量は成人の5倍に達する。農村に暮らす子どもが受ける集積線量は,都市部の同年齢の子どもより5倍から6倍も多い。
   

7.ペクチン含有腸内吸着剤に よる体外排出の成果
  ペクチンは消化器の中でセシウムのような陽イ オンと化学的に結合し,排便を通してセシウム137
排出量を増やすことが知られている。
「ゾステリ
  ン・ウルトラ[Zosterin-UltraR]」の商品名で知
  られる製剤は,ロシアの原子力産業で集団予
  防に用いられていた。非吸収性ペクチンであ
  るゾステリンの血液注射は,栄養摂取や新陳
  代謝その他の機能には害を及ぽざない。液状
  経口薬「ゾステリン・ウルトラ」は腸内吸着
  性および血液吸着性があり,生物学的に即効
  性の(言いかえれば治療効果のある)食品添加
  物として,ウクライナ保健省(1998年)およ
  びロシア保健省(1999年)により認可された。
 1996年,ペルラド研究所はセシウム137
  の排泄を促進するためにペクチン含有食品
  (フランスの「メデトベクドMedetopectR」」
  およびウクライナの「ヤブロペクト
  [YablopectR]」)にもとづく腸内吸着療法を開
  始した。 1999年,同研究所はヘルメス社(本
  社:ドイツ,ミュンヘン市)と共同で,「ビタ
  ヘクト
[VitapectR]」の商品名で知られるリン
  ゴペクチン含有の合成食品を開発した。ビタ
  ヘクトは粉末状で,ビタミンBi,B2,B6,Bi2,
  C,E,およびベータカロチン,葉酸を補った
  濃縮ペクチン(18〜20%)と,カリウム,亜鉛,
  鉄,カルシウムなどの微量元素,および香料
  からできている。
  

8.農作物に残留する放射性核種の濃度を下げ
  るためには‥ストロンチウム90の措抗体と
  して石灰/カルシウム肥料,セシウム137
  の措抗体としてカリウム肥料,水溶性の硬質
  リン酸塩を形成しストロンチウム90を沈殿
  させるリン酸肥料・,さらにゼオライト,水面
  下の腐植質堆積土壌(gyttja)その他,天然の
  措抗体や吸着体を用いることが有効である
 
  

9. その程度を 問わず,あらゆる生物の体細胞および生殖細胞に影響を及ぼす。 診療録の組織的隠蔽と是正不能な改
   ざん。[免疫系など]への影響。
チェルノブイリ事故に由来する死者数は
大惨事後の15年間で23万7,000人近くに達した。
  1987年から2004年にかけてのチェルノブイ
  リ事故による死者数は,前回の3国以外の
  ヨーロッパ諸国とアジア,アフリカで計46
  万2,000人近く,北米では33万1,000人近
  くにのぼったと仮定してまず間違いなく,全
  世界ではほぼ100万人に達していたことに
  なる。
チェルノブイリの犠牲者は今後,数世代に
  わたって増え続けるだろう。

10.

二次的放射能汚染

が起きている

(さらに今後も起き続ける)。

放射性核種は再循環するため,

 

[消滅や崩壊には]

予測より

ずっと長い時間

がかかっている。

 

安全とみなされるレベル

(年間1 mSv)まで

下げるためには,
 

以下を実践するとよい。
 

・菜園,牧場,干草用の草場など,

すべての農地に

無機肥料を年3回以上施肥する。
 

・地元産食材として

重要なキノコ類,ナッツ
   類,ペリ一類に含まれる

セシウム137を
効果的に減らすため

集落から半径10 km
   範囲内の森林に

カリウム[K]と

溶解性リグニン

施用する。
 

放射性核種の排泄を促進

するため,

少なくとも年4回,

天然ペクチン性

腸内吸着剤
)を支給し, 1
ヵ月のあいだ各自で規則的に摂取してもら

う。

 

幼稚園や学校に

通う子どもには

ペクチン入りジュースを

毎日飲ませるようにする。

 

牛乳,肉類,魚介類,野菜,その他の地元産食品における

放射性核種含有量を

減らす

防護対策

をとる。

 

・食肉用家畜の肥育に

腸内吸着剤

(フェロシアン化物など)

を利用する。


  疾病水準を下げ,

保養を促進するためには,
汚染地域において

以下を提供するとよい。

年に3度(子供),

年に1度(大人),

ホールボディカウンター

[人間の体内に

取り込まれ,

沈着した

放射性物質の量を

体外から測定する装置]

を用いて

1人ひとりの

体内放射性核種の

蓄積量を

実測すること

(子どもは3ヵ月ごとの実施が必要)。

・EPR線量測定

[電子スピン共鳴(EPR)線量測定]

染色体異常数の測定

などにより,

大惨事当初からの

各自の外部被曝線量を

再現すること。

 

 

 

 

被曝した人びとに

見られるがん

以外のさまざまな疾患を

取り上げ,

そのスペクトル

[疾患の種類や症状]

スケール

[発症規模]

について述べる。

 

チェルノブイリ事故による

被曝の結果

引き起こされた

悪影響が,

調査対象としている全集団に

認められた。

 

脳の損傷が

リクビダートル[事故処理作業員]や

汚染地域の

住民とその子どもだち

など,

放射線に

直接曝された人びとに

見られた。

 

若年性白内障

歯と口の異常
血液,

リンパ

心臓

消化器,

泌尿器

および

皮膚

の疾患によって,

人々は老若を問わず

苦しめられ,

健康を損なわれている。

 

内分泌系

の機能障害,

とりわけ

甲状腺疾患

の広がりは

予想をはるかに超え,
甲状腺がんが

1例あれば

甲状腺の機能障害は

約1,000例

あるというほど,

大惨事後に

著しく増加している。

遺伝的損傷

先天性異常

が,

特に

リクビダートル(作業員)の子どもや,

放射性同位体によって

高濃度に汚染された
地域で生まれた子どもに

認められる。

 

免疫異常

と,

ウイルス,細菌,および寄生虫による疾患が,

重度汚染地域に

蔓延している。

 

チェルノブイリ事故によって

放出された

放射線に

被曝した人びとの

総罹病率

[凡例を参照]

は,

20年以上にわたり

依然として高い。

 

これらの数値の変化が

もっぱら社会経済学的な

要因によるとする

説明は

信憑性がない。

 

本章では大惨事がもたらした

健康に対する負の影響を

数多く例示するが,
それは何百万人という人びとに関わるものだ。


1.血液・リンパ系の疾患
1.1.血液および造血器の疾患
原因の1
つが,血管(の内側を被う)内皮の放射線による破
壊にある
ことは明らかだ。

 

 

5.2.遺伝的変化

 生殖細胞も体細胞も,そのゲノムに生じる変化
によってさまざまな疾病

の出現が決定され,

特徴づけられる。

 

電離放射線

ゲノム構成

を損なう

原因

となる。

 

 

チェルノブイリ大惨事による

膨大な集団被曝線量

(1億2,700万〜1億5,000万人・ラド)

がもたらす悪影響は,

この先

何世代にも及ぶだろう。

これによって

ゲノム構成が変更

され,
種々の突然変異

たとえば

ゲノム変異(染色体の数の変化),

染色体突然変異

(転座,欠失,挿入, 逆位など染色体構造の損傷)

そして

小さな突然変異(点突然変異)が生じている。

 

 

 

5。2.1.突然変異発生率の変化
 

過去25年間に

チェルノブイリの

放射性降下物によって

被曝した染色体

構造や数の変化

など,
染色体やゲノム

における

突然変異

発生率上昇

を示す

説得力ある研究

数多く公に

なっている。

 

蓄積されたデータは,

たんぱく質の遺伝的多型

サテライトDNAの変化

を示す。
 

5.2.1.1.染色体突然変異
 

電離放射線

染色体の構造全般

さまざまな変化

生じさせる。

 

このうち,

不安定型染色体異常
(二動原体染色体,環状染色体,無動原体染色体断片)

新しい細胞の産生に伴って

比較的早く消滅する

一方,

安定型染色体異常

(個々の染色体の部位で起こる異なる種類の転座)

何年にもわたって保持される。

 

リンパ球を調べることで得られる,

体細胞における

染色体異常の

発生率は,

ある生物の染色体が

総じて

どのような状態にあるかを
よく反映するものだ。

 

これは,

汚染地域の

母親

新生児に

二動原体染色体

環状染色体

出現率上昇が

見られることによっても

裏づけられる
(Matsko, 1998)。
 

 

末梢血中の

リンパ球を

組織学的に

分析すると,
染色体の
構造

染色体数の異常

明らかになる。

複数の異常

をもつ

細胞(多重異常細胞)

の存在は,
プルトニウム[Pu]

による影響の

大きさを示す

と考えてよいだろう

(Il'inskikh et al.,2002)。

 

遺伝的多様性

表す

もう1つの

パラメータとして,

いわゆる有糸分裂指数,

すなわち細胞100個あたり
の有糸分裂数がある。
 

染色体異常が

発生しても

必ず疾患に

発展するわけではないが,

これにより

さまざまな型の

腫瘍発生のリスク

高まったり、 

体細胞

(たとえば血液細胞)

だけでなく

生殖細胞も

損傷されたりする
可能性がある。

 

精子と卵子にある)

生殖細胞の染色体構造に

見られる異変は

次世代において

各種疾患の

遺伝的素因

「親から子へと受け継がれる

遺伝的因子。

特に疾病の起こりやすさ」

となりやすい。

 

 

5.2.1.1.4.その他の国々

1.ユーゴスラビア:

大惨事後

数カ月間以内の
  妊娠によって

誕生した新生児において

染色体異常細胞の

出現率が上昇

し,

事故前

の4.5%
  (1976〜1985年までの平均値)

から

7.1%に
  なった(Lukic et al.,1988)。

 

2.オーストリア:

大惨事発生前と

事故の1年後(1987年)に

検査を受けた17人の成人にお
いて,染色体異常細胞の出現率が事故前の4倍から6倍に上昇し,同じく大惨事の前後
  に検査を受けた2人は11倍にも増えていた
 (Pohl-Ruling et al.,1991)。
3.  ノルウェー(北部):

1991年に

検査を受けた

56人の成人に

対照群と比べて

10倍も
  の染色体異常の増加
が認められた
(Brogger et
  al.,1996. Schmitz-Feuerhake, 2006より重引)。

 

 

 

5.2.1.2.ゲノム突然変異
 

13番, 18番,21番トリソミー

[通常は2本1組の染色体が

3本になること,またそれによる疾患。

数字は染色体番号]

いずれも染色体数が

増加する突然変異で,

放射能汚染地域で多く認められる。
 

 

5.2.1.2.1.   21トリソミー(ダウン症候群)
 

1.ベラルーシ:

1981年以降1999年までに

発生したダウン症候群

(総数2,786例)

の年間および月間発生率を

分析したところ, 1987年
   のベラルーシ全土における年間発生率の上昇
   と,

1987年1月のミンスク市,

ゴメリ州,ミンスク州における

月間発生率の上昇が

明らかになった

(Lazjuk et al., 2002)。

 

もっとも汚染のひどかった

17地区で

1987年から1988年にかけて

49%の上昇が見られ(表5.16),
  全国的には

1987年から1994年にかけて
  17%上昇した

(Lazjuk et al.,1997)。

 

さらに

詳細な分析によって,

ダウン症候群の

発生率は

1986年12月に急上昇を見せ,

ピークは
  1987年1月だった

ことが判明した(図5.2)。

 


2.ドイツ:

西ベルリン[事故当時は西ドイツ領]

 では,1986年5月の妊娠によって

生まれた子どもにおいて,

ダウン症候群をもった

新生児数が

2.5倍に増加した

(Wals and Dolk,
  1990: Sperling et al., 1991,1994;他;図5.3)。

 


  ドイツ南部では,

21トリソミーの発生数増加が

羊水検査によって確定された

(Sperling et al.,1991;Schmitz-Feuerhake,2006)

 

 

3。スウェーデン:

チェルノブイリの放射性核種

によって

もっとも汚染された北東部で,

ダウン症候群をもつ

新生児数に

30%の増加

があった

(Ericson and Kallen, 1994)。

 

4.英国:

チェルノブイリによる

汚染地域の1つ,

スコットランドのロジアン州において,
  ダウン症候群をもつ新生児数が

倍増した
 (Ramsey et al.,1991)。

 

 

5.2.1.2.2.

13トリソミーと,その他のゲノム
       突然変異
1.ベラルーシとウクライナ

の汚染地域で

撮影された写真

を見ると,

パトー症候群

(13トリソミー)

の特徴をもつ

新生児の事例が

多数あることがわかる。

それらの異常には,

多指症
  (多趾症),

眼の発生異常

(小眼球症,先天性
  白内障,虹彩欠損),

三角頭蓋,口唇口蓋裂,
  鼻の形成異常

などがあった。

こうした事例に
  ついての統計は

存在しない。

 

2.放射能汚染地域で生まれた

子どもの臨床記録には,

ほかにも

以下のようなゲノム突然変異として

知られる事例が

見られる。

たとえば,
  エドワーズ症候群(18トリソミー),

クラインフェルター症候群(過剰X染色体),

ターナー症候群(X染色体欠如),

女性におけるXXX染色体,

男性におけるXYY染色体

などである。

こうした事例について

の統計も

存在しない。

5。2.2.たんぱく質の遺伝的多型と
     その他の遺伝性疾患
 

たんぱく質の遺伝的多型は,

個体群内の

遺伝的変異性を

見る重要なパラメータ

である。

 

チェルノブイリ事故によって

子宮内で被曝し

誕生した

子どもは,

 

大惨事前に

生まれた子どもに比べ,

たんぱく質の遺伝的多型の

パーセンテージが

低い。

 

構造たんぱく質における

遺伝的多型の

 

このような低い数値は,

先天性奇形や

アレルギーの発生率と

負の相関があり,

 

それは現在,

貧血症,

リンパ節腫脹,

感染症の発生が持続して

なかなか収まらない一因
かもしれない(Kulakov et al., 1993,1997)。


  また被曝した子ども群は,

大惨事後の

短期ないし長期の

DNA修復力も

有意に低かった

(Bonda-renko et al.,2004)。
 

30キロメートルゾーン内では,

爆発の6日後に

ヒーラ細胞培養の増殖が

急激に弱まり

(総被曝量0.08 Gy より発現),

この影響は被曝後7細胞
世代にわたって続いた。

多量の大細胞発生は

被曝後

20細胞世代以上に

わたって持続し,

細胞増殖性は

24世代も低いままだった

(Nazarov et al., 2007)。
 

セシウム137の汚染値が

5 Ci/km^

[=18万5,000Bq/m^]

を超える地域で

大惨事後に

生まれた子どもは,

(種痘ウイルスの再活性化と

その結果生じた
突然変異生成

の検査によると)

DNA修復活性が
損なわれていた

(Unzhakov et al.,1995)。


 

5.2.3.サテライトDNAの変化
 

チェルノブイリ由来の放射線による

突然変異は,
体細胞だけでなく

生殖細胞でも

増加している。

 

被曝した親のもとに

生まれた子どもが

ベラルーシや
ウクライナの

汚染地域に

居住し続けている場合,
ミニサテライトDNAにおける

 

小さな突然変異の
発生率は

英国の子どものほぼ2倍である

(Dubro-va, 2003)。
 

5. 2. 4.遺伝性の先天性発生異常
 

先天性奇形と先天性発生異常全体の50%から90%

突然変異によって

生ずると推定されている。

したがって

異常をもった

新生児の誕生は,

チェルノブイリ事故による

追加被曝の影響

など,

遺伝性疾患の存在を

明らかにする

可能性がある。

遺伝性による発生異常は

6,000種類以上が

知られている

(McKusick, 1998)

が,

医療統計では,

もっともよく見られる

約30種の

先天性発生異常

しか

考慮されていない。

 

なかには,

新生変異として

個体群に

新たに

出現した

先天性発生異常

もある。

 

新生変異は,

多指症のような

先天性発生異常や

腕や脚のサイズの変化,

また,

いわゆる

多重先天性発生異常

を決定づける。

 

こうした

先天性発生異常は,
汚染濃度が

15 Ci/km^

[=55万5,000 Bq/u]

を超える値で

重度に汚染された

ベラルーシ国内で

より多く発生している

(Lazjuk et al., 1999a)。


新生児に生じる

遺伝性の先天性発生異常は

氷山の一角にすぎない。

それらは,

配偶子

(精子と卵子)

個々の発生

という前段階や,

受精した卵子が
着床するまでの期間,

また,

胚発生の過程でも

死滅しなかった

突然変異の

証左である。

 


 ほとんどの突然変異は

初期段階で

胚発生を

終わらせる

(Nykytin,2005)。

 

したがって,

遺伝による
先天性発生異常の

発生率上昇は,

配偶子段階における

(数百倍ではないとしても)

数十倍の

突然変異の

発生率上昇を

反映する

との仮定は

理にかなう。

以上のような過程

[胚発生の初期段階での死滅]

放射能汚染地域で

起きていることは,

以下に挙げる
事実によって証明される。

 

(a)異常のある精子の増加,

 

(b)胎児の死亡率上昇を反映する

自然流産
発生率の上昇,

 

(c)[流産により]

妊娠を中絶した胎児

および

先天性発生異常をもつ胎児

見られる新生変異の増加,

(d)もっとも汚染度の高い地域で
発生する,

新生変異と定義されるような

先天性発生異常の

高い比率

(Lazjuk et al., 1999a,b)

などである。
 

5.2.5.被曝した人びとの子どもたち

 

 

 被曝した親のもとに生まれた

子どもたちの健康状態に

比較的問題が多いことを示す

データは,

ますます増えている。
 

 

1. 1986年と1987年の事故処理作業で

50mSv 以上

被曝したベラルーシ人

男性リクビダートルの

子どもは,

被曝量

50 mSv 未満の

男性の

子どもより罹病率と先天性発生異常の
   発生率が高く

(図5.4),

生まれつき

病気をもつ

新生児の数も

多い

(Lyaginskaya et al., 2002, 2007)。
 

 

 

 

図5.4??? (1986年と1987年に作業に従事した)リクビダ
    一トルのうち.?? 1988年から1994年までの期間に
    ロシアの原子力[核]産業に勤務した男性の家庭に生
    まれた乳児における先天性発生異常の発生率(1,000
    人あたり) (Lyaginskaya et a/。, 2007)。破線はUN
    SCEARL原子放射線の影響に関する国連科学委員
    会](1988)で示された先天性発生異常の発生率基準
    値。
 

 

 

2. 1986年に被曝したベラルーシ人

リクビダートル家庭の

子どものうち,

1987年生まれ

 

の11歳児群を対象とした調査で,血液疾患
  の発生率と免疫状態における

有意な差が

明らかになった

(表5.17)。


3.被曝した男性のもとに生まれた

ウクライナ
  の子どもの

年間総罹病率が,

2000年から2005年にかけての

調査期間中,

全国平均

より高かった

(ウクライナの全国平均

1万人あたり

960〜1,200人に対し

1,135〜1,367人)。
  これらの子どものうち

「健康といえる状態」
  とみなせるのは

わずか2.6%から9.2%

である一方,

対照群は

18.6%から24.6%

だった
  (National Ukrainian Report

[ウクライナ公式報告書],

2006)。

4.被曝した男性のもとに

生まれた子どもには,
  より多くの先天性奇形と

発生異常が認められる

(National Ukrainian Report, 2006)・
5.子宮内で被曝した

カルーガ州の子どもは,
  甲状腺疾患

(州平均の6倍)

や先天性発生異常

(同4倍)ばかりでなく,

泌尿生殖器系,
  血液循環系,

消化器系疾患

などさまざまな
  疾病全般の

罹病率が有意に高い

(Tsyb et al., 2006a)。

 

6.リャザン州に住む

リクビダートルの子どもにおいて,

生まれつき病気のある新生児

先天性発生異常

2,500 g 未満の低出生体重,
  子宮内での発育遅延

など

の発生率が上昇し,
  罹病率が高まるとともに免疫不全も増加した
  (Lyaginskaya et al., 2002,2007)。

 

7.カルーガ州に住む

10歳までのリクビダールの子どもにおいて,甲状腺疾患が

州平均の5倍,

先天性発生異常は

3倍,

精神疾患は

4倍,

循環器系疾患は

2倍に

まで発生率
  が上昇し,慢性疾患の発生率も高かった
  (Tsyb et al.,2006a)。

8.リクビダートルの子どもは

慢性喉頭疾患,
  赤血球の変形,中枢神経系機能障害の発生率が高く,

複数の白歯

[虫歯]

慢性カタル性歯肉炎,

歯の形態異常も多い

(Marapova and
  Khytrov, 2001)・

 

9.リクビダートルの子どもは,

染色体異常 

(欠失,

逆位,

環状染色体,

同腕染色分体,
  単一断片,

ギャップ)

倍数体細胞の出現率
  が相対的に高い

(Ibragymova, 2003)。

「……
(トウーラ州に住む)

事故処理作業員たちの

家族には,

チェルノブイリ大惨事以降

473人の子どもが

生まれた。

 

その子たちは

とても興奮しやすく,

ひと目で

他の子どもと

違っていた。

理由もなく泣き,

なかなか

じっとしていることができない……」(Khvorostenko, 1999)。

 

10.リクビダートルの子どもは

消化器系,

呼吸器系,

神経系,

および内分泌系疾患

の罹病率が高く,

先天性発生異常

や遺伝性疾患

も相対的に多い。

また,感染症の発生率も

上昇している

(Ponomarenko et al., 2002)。

 

11. 1987年以降1999年までに

生まれた

ブリャンスク州の

リクビダートルの子ども455人で.

1988年から2000年にかけて

総罹病率の上昇が認められた

(表5.18)。

この一覧を見ると,

血液と造血器における疾患の

発生率が下がる一方で,

その他の

全疾病の発生率が
   有意に上昇している

ことは一目瞭然だ。

 

ブリヤンスク州の

リクビダートルの子どもの

罹病率を,

同地域の

他の子どもと

比べると

その違いは

もっと明白になる。

 

表5.19に

ブリャンスク地域の

子ども全体とリクビダートルの子
   どもとの疾病発生率比較を示す。
 

 

12.ロシア人リクビダートルの子どもには

細胞性免疫の低下があり,

低下は絶対的

および相対的な

細胞パラメータの下降によって

裏づけられる。

 

子どもたちは

細胞性免疫が

相対的に増加している

(Th2細胞数が相対的に多く,
   免疫グロブリンA濃度がやや低い。

また,基礎的好中球活性は増加している(Kholodo-va et al.,2001)

[江免疫系については5.4を参照]。
 

 

13.リクビダートルの子どもや

子宮内で被曝した子ども

安定型染色体異常の

発生率が

相対的に高く,

修復能力が

低く,

 

個々の

異型接合が

減少している

(Sypyagyna, 2002)。
 

1945年に2発の原爆で被曝した日本人の2世代目,3世代目の子どもたちは,

循環器系疾患と
肝機能不全は

対照群の

10倍,

 

呼吸器系疾病は
3.3倍

も多く罹患した

(Furitsu et al.,1992)。

 

チェルノブイリ事故で

被曝した

人びとの子どもたちが
経験している

数々の健康問題も,

後々の

世代にまで

尾を引くだろう。