(2013年12月議会参考資料一部より)

 

 

1. 子ども実年齢見合っていない早期老化  

2.若年性白内障歯と口の異常血液,リンパ,心臓,

消化器, 泌尿器および皮膚の疾患

   3.染色体異常細胞率は精神病理学的症
   状
を患う人に高く,染色分体異常
   細胞率は
無力症強迫恐怖症候群を患
   う人に高い

  染色体切断率は,甲状腺機能低下や,
   奇形と相関がある


染色体切断
  率は,新生児における免疫制御系失調の発生
  率と符合する。

先天性奇形の発
  生率は,汚染値が15 Ci/km^[=55万5,000 Bq/
  m^]以上の地域で高い

染色体異常数,小核数,および点突然変異
  の率は,甲状腺がんを患う子どもにおい
  て高い

汚染地域に住む人は,腫瘍細胞ばか
  りでなく「正常な」組織でも染色体異常細胞
 率が高い。

精子の構造異常の発生率と,染色体異常の
  発生頻度には相関がある
。 ゲノム構成における変化が,チェルノブイリ大惨事の最初
の危険な兆候だったことだ。数々の変化が放射線
の放出後数日のあいだに起こり,さまざまな疾患
の発生率を上昇させた。

  広島や長崎で放出され
たものより遺伝学的にはるかに危険である。なぜ
なら,チェルノブイリのメルトダウンで放出され
た放射性核種は量において数百倍も膨大で,種類
も多いからだ。


 遺伝的影響は何億人に
も及ぶ。曝された人びとストロンチウム90[Sr-90]やセシウム137は放射線量が環境放射線の値にまで下がるのに少なくとも300年を要するところ,
プルトニウムやアメリシウム[Am]は,そのきわめて危険な放射能が完全に減衰するのに1,000年単位の時間を要する。被曝した親から子へと7世代にもまたがる人びと
内分泌系の
  甲状腺は,成人では体内に入
った放射性ヨウ素全量の最大40%を,子どもで
は最大70%を集積する。また,脳下垂体はヨウ素を通常の非
放射性ヨウ素の5倍から12倍の水準で能動的に
取り込む。内分
泌系のこれら2つの重要な構成器官が,事
故後から数週間の「ヨウ素期」に放射
線に曝露した。

 あらゆる生
理機能は複合的な機能を司る内分泌器(膵臓,副
甲状腺,甲状腺,副腎,卵巣,精巣)に依存して
おり
  身体および知能の正常な発達には
甲状腺が適
切かつ適時に働く必要がある。
胎児や新生児が甲
状腺に損傷を負うと,
知的能力が抑えられたまま
一生を送ることになる
かもしれない。

   4.急速な変化見舞われた結核菌肝炎ウイルスヘルペスウイルス

タバコモザイクウイルス,サイトメガロウイルスおよび土壌細菌

,さまざまな場面で活発になった微生物個体群の病原性が強まった   

5.265集落(都市および村落)における40万人の子どもの測定
   結果が掲載されている。

 各集落における測定結果の分析には,共通する社会的・人口動態的データセシウム
  
137の内部被曝検査が実施された全日程,検査した子ども全員とリスク群に分類された子
   どもにおけるセシウム137の比放射能の平均値と最高値,子ども全員とリスク群の中央
   値,観察期間ごとの蓄積量の分布を示すグラフなどが
含まれる。この分析でリスク群に分
   類されているのは,比放射能がもっとも高かった都市部の学童30人と農村部の学童15
   人である。  多くの集落における測定は数年にわたり, また定期的に実施されたため,セシウム137
の内部被曝量の変化を追跡できており,蓄積量と季節,年齢,性別などとの関係が明らかになっている。

   6.安全を確保するもっとも簡単 な方法は,食物に取りまれた放射性核種をモニ タリングすること。ベラルーシの多くの場所で,
体内に取り込んだガンマ線放出核種の量を ホールボディカウンターによって測定した結果を 分析するとともに地元産の食物を対象に放射能 モニタリングを行ったところ,セシウム137に よる食物の汚染と,人間が体内に取り込む放射性核種の量とのあいだに高い相関が見られること, とりわけ子どもたちにそれがいえることが明らか
になっている。子どもと成人の食事内容が同じ場合,子どもは体重が軽く,また新陳代謝が活発なので,地元産の食材から受ける集積線量は成人の5倍に達する。農村に暮らす子どもが受ける集積線量は,都市部の同年齢の子どもより5倍から6倍も多い。
   

7.ペクチン含有腸内吸着剤に よる体外排出の成果
  ペクチンは消化器の中でセシウムのような陽イ オンと化学的に結合し,排便を通してセシウム137
排出量を増やすことが知られている。
「ゾステリ
  ン・ウルトラ[Zosterin-UltraR]」の商品名で知
  られる製剤は,ロシアの原子力産業で集団予
  防に用いられていた。非吸収性ペクチンであ
  るゾステリンの血液注射は,栄養摂取や新陳
  代謝その他の機能には害を及ぽざない。液状
  経口薬「ゾステリン・ウルトラ」は腸内吸着
  性および血液吸着性があり,生物学的に即効
  性の(言いかえれば治療効果のある)食品添加
  物として,ウクライナ保健省(1998年)およ
  びロシア保健省(1999年)により認可された。
 1996年,ペルラド研究所はセシウム137
  の排泄を促進するためにペクチン含有食品
  (フランスの「メデトベクドMedetopectR」」
  およびウクライナの「ヤブロペクト
  [YablopectR]」)にもとづく腸内吸着療法を開
  始した。 1999年,同研究所はヘルメス社(本
  社:ドイツ,ミュンヘン市)と共同で,「ビタ
  ヘクト
[VitapectR]」の商品名で知られるリン
  ゴペクチン含有の合成食品を開発した。ビタ
  ヘクトは粉末状で,ビタミンBi,B2,B6,Bi2,
  C,E,およびベータカロチン,葉酸を補った
  濃縮ペクチン(18〜20%)と,カリウム,亜鉛,
  鉄,カルシウムなどの微量元素,および香料
  からできている。
  

8.農作物に残留する放射性核種の濃度を下げ
  るためには‥ストロンチウム90の措抗体と
  して石灰/カルシウム肥料,セシウム137
  の措抗体としてカリウム肥料,水溶性の硬質
  リン酸塩を形成しストロンチウム90を沈殿
  させるリン酸肥料・,さらにゼオライト,水面
  下の腐植質堆積土壌(gyttja)その他,天然の
  措抗体や吸着体を用いることが有効である
 
  

9. その程度を 問わず,あらゆる生物の体細胞および生殖細胞に影響を及ぼす。 診療録の組織的隠蔽と是正不能な改
   ざん。[免疫系など]への影響。
チェルノブイリ事故に由来する死者数は
大惨事後の15年間で23万7,000人近くに達した。
  1987年から2004年にかけてのチェルノブイ
  リ事故による死者数は,前回の3国以外の
  ヨーロッパ諸国とアジア,アフリカで計46
  万2,000人近く,北米では33万1,000人近
  くにのぼったと仮定してまず間違いなく,全
  世界ではほぼ100万人に達していたことに
  なる。
チェルノブイリの犠牲者は今後,数世代に
  わたって増え続けるだろう。

10.

二次的放射能汚染

が起きている

(さらに今後も起き続ける)。

放射性核種は再循環するため,

 

[消滅や崩壊には]

予測より

ずっと長い時間

がかかっている。

 

安全とみなされるレベル

(年間1 mSv)まで

下げるためには,
 

以下を実践するとよい。
 

・菜園,牧場,干草用の草場など,

すべての農地に

無機肥料を年3回以上施肥する。
 

・地元産食材として

重要なキノコ類,ナッツ
   類,ペリ一類に含まれる

セシウム137を
効果的に減らすため

集落から半径10 km
   範囲内の森林に

カリウム[K]と

溶解性リグニン

施用する。
 

放射性核種の排泄を促進

するため,

少なくとも年4回,

天然ペクチン性

腸内吸着剤
)を支給し, 1
ヵ月のあいだ各自で規則的に摂取してもら

う。

 

幼稚園や学校に

通う子どもには

ペクチン入りジュースを

毎日飲ませるようにする。

 

牛乳,肉類,魚介類,野菜,その他の地元産食品における

放射性核種含有量を

減らす

防護対策

をとる。

 

・食肉用家畜の肥育に

腸内吸着剤

(フェロシアン化物など)

を利用する。


  疾病水準を下げ,

保養を促進するためには,
汚染地域において

以下を提供するとよい。

年に3度(子供),

年に1度(大人),

ホールボディカウンター

[人間の体内に

取り込まれ,

沈着した

放射性物質の量を

体外から測定する装置]

を用いて

1人ひとりの

体内放射性核種の

蓄積量を

実測すること

(子どもは3ヵ月ごとの実施が必要)。

・EPR線量測定

[電子スピン共鳴(EPR)線量測定]

染色体異常数の測定

などにより,

大惨事当初からの

各自の外部被曝線量を

再現すること。

 

 

 

5。2.6.

健康状態の指標としての
染色体異常

 

大惨事が引き起こした

染色体変異の発生について,

国際原子力機関(IAEA)

世界保健機関(WHO)

(チェルノブイリ・フォーラム2005で),

これらの変異は

いかなる点に

おいても

健康状態に

影響を与えない

としたが,

 

それは

科学的に見て

真実ではない

 

末梢血中の

細胞で

観察される

染色体の変異

は,

遺伝的

および

個体発生的な

過程
に対する

総合的な損傷

の反映

とみなせるからだ。


染色体異常発生率

数多くの病態

のあいだには
相関

がある。

 

チェルノブイリの汚染地域にはそう
した関連を示す例が数多く認められる。以下にそ
の一部を挙げる。        
 

1.リクビダートルの88%に見られる染色体
   異常細胞の出現率は,精神病理学的疾病や続
   発性免疫抑制の重症度と符合する
(Kut'ko et
   al.,1996)。
  2.染色体異常細胞の出現率は精神病理学的症
   状
を患う人に目に見えて高く,染色分体異常
   細胞の出現率は
無力症強迫恐怖症候群を患
   う人に明らかに高い
(Kut'ko et al., 1996)。
  3.二動原体染色体および染色分体交換の出現
   率と,
先天性発生異常とのあいだには相関が
   ある
(Kulakov et al., 1997)。
  4.染色体切断の発生率は,甲状腺機能低下や,
   胚発生に関係する多くの奇形と相関がある
  (Kulakov et al.,2001)。
表5.20 染色体異常細胞の出現率別,ロシア人リクビダートル群における抗酸化特性の平均値一覧(Baleva era/., 2001 a)。
  
GT:糖転移酵素:? SOD :超酸化物不均化酵素;Hem 1, Hem 2:造血たんぱく質: MDA 1 :赤血球中のマロンジアルデヒド:? MDA2:ポ
リメラーゼ転写開始後の赤血球中のマロンジアルデヒド: ti :赤血球膜におけるスピン・プローブN1の回転相関時間; CP :セルロプラス
ミン;? FR : g因子2.0をもつフリーラジカル*5
*p<0.05.?
5。染色体異常のある細胞,対断片(断片が2
  個),環状染色体,および染色体切断の出現
  率は,新生児における免疫制御系失調の発生
  率と符合する
(Kulakov et al.,1997)。
6.新生変異で定義づけられる先天性奇形の発
  生率は,汚染値が15 Ci/km^[=55万5,000 Bq/
  m^]以上の地域で有意に高い
(Lazjuk et al.,1998)。
7.染色体異常数,小核数,および点突然変異
  の出現率は,甲状腺がんを患う子どもにおい
  てかなり高い
(Mel'nov et al.,1999; Derzhits-
  kaya et? al.,1997)・
8.放射能汚染地域に住む人は,腫瘍細胞ばか
  りでなく「正常な」組織でも染色体異常細胞
  の出現率が高い。
9.精子の構造異常の発生率と,染色体異常の
  発生頻度には相関がある
(Kurilo et al.,1993;
  Vozylova?et al., 1997; Domrachova et al.,1997;
  Evdokymov et al., 2001)。
10.染色体異常の発生状態が異なるリクビダ
  ートル群において,抗酸化物質の活性度と染
  色体異常細胞の出現率に相関が見られる
(表
  5.20)。
11.熱性感染症の罹病率と染色体異常の発生
  率には相関がある
(Degutene, 2002)。
70
 12.ブリャンスク州およびトゥーラ州の汚染
   地域において,異常細胞および多重異常細胞
   の出現率と子宮筋腫の発達に相関が見られる
  (Ivanova et al., 2006)。
  13.リクビダートルに見られる心血管および
   胃腸疾患の発生率は,染色体異常細胞の出現
   率と相関がある
(Vorobtsova and Semenov,
   2006)。
  これまでに述べた相関関係のすべてが染色体損
傷の増加を裏づけるものであり,こうした相関が
汚染地域のいたるところで観察できる。これは遺
伝的リスクの増大とともに多くの疾病の発生リ
スクの尺度にもなる

 
5. 2. 7.結 論?

 体細胞染色体の突然変異や先天性奇形を引き起
こす突然変異,たんぱく質の遺伝的多型,またミ
ニサテライトDNAの突然変異は,チェルノブイ
リから放出された放射性核種によって起こる遺伝
的変化のごく一部である。
チェルノブイリに起因
する遺伝的変化の圧倒的大多数は,何世代も先ま
で表出しないだろう。科学的手法が進歩すれば,
他の遺伝的変化についてさらに詳細な評価がなさ
れるだろう。いま明らかなのは,細胞のゲノム構成における変化が,チェルノブイリ大惨事の最初
の危険な兆候だったことだ。数々の変化が放射線
の放出後数日のあいだに起こり,さまざまな疾患
の発生率を上昇させた。
  たとえチェルノブイリ事故による放射線が(広
島や長崎でのように)短期間しか続かなかったと
しても,集団遺伝学の法則に従えば,その影響は
何世代にも及ぶことになる
(Shevchenko, 2002)。
チェルノブイリによる影響として予測された遺伝
的損傷は,被曝第1世代においてわずか10%し
か表出しなかった
(Pflugbeil et al., 2006)oチェル
ノブイリ由来の放射線は,広島や長崎で放出され
たものより遺伝学的にはるかに危険である。なぜ
なら,チェルノブイリのメルトダウンで放出され
た放射性核種は量において数百倍も膨大で,種類
も多いからだ。

 チェルノブイリ大惨事の遺伝的影響は何億人に
も及ぶだろう。
?そうした影響を受けるのはーー
(a)1986年の爆発当初に放出され,世界中にまき散らされた半減期*3の短い放射性核種に曝された人びと(詳細は第1章を参照),
?(b)ストロンチウム90[Sr-90]やセシウム137は放射線量が環境放射線の値にまで下がるのに少なくとも300年を要するところ,それらに汚染された地域に現在住み,これからも住み続ける人びと?(c)プルトニウムやアメリシウム[Am]は,そのきわめて危険な放射能が完全に減衰するのに1,000年単位の時間を要するところ,それらに汚染された地域に今後住むであろう人びと,?(d)被曝した親から子へと7世代にもまたがる人びと(たとえチェルノブイリ由来の放射性降下物のない地域に住んだとしても),などである。
?
5。3.内分泌系の疾患
  チェルノブイリ由来の放射性降下物は,被曝し
た人びとの内分泌系のあらゆる部位に深刻な悪影
響を及ぼしている。甲状腺は,成人では体内に入
った放射性ヨウ素全量の最大40%を,子どもで
は最大70%を集積する(Il'in et al.,1989; Dedov et al.,1993)。また,脳下垂体はヨウ素を通常の非
放射性ヨウ素の5倍から12倍の水準で能動的に
取り込む(Zubovsky and Tararukhina, 1991)。内分
泌系のこれら2つの重要な構成器官が,大惨事
発生直後から数週間の「ヨウ素期」に過度の放射
線に曝露した。
  思春期の発来や骨端線の閉鎖など,あらゆる生
理機能は複合的な機能を司る内分泌器(膵臓,副
甲状腺,甲状腺,副腎,卵巣,精巣)に依存して
おり,正常な心身の発達を維持するためにはこれ
らが協調して働かなければならない。チェルノブ
イリ由来の放射能汚染が内分泌系全体の働きに悪
影響を及ぼしてきたのは,このような相互作用に
よるものである。
  身体および知能の正常な発達には,
甲状腺が適
切かつ適時に働く必要がある。
胎児や新生児が甲
状腺に損傷を負うと,
知的能力が抑えられたまま
一生を送ることになる
かもしれない。妊婦の場合,
副腎皮質ホルモンの一種であるコルチゾールとテ
ストステロンの生合成は,内部被曝の量と相関が
あった(Duda and Kharkevich, 1996)。汚染地域の
子どもは血中コルチゾール値が有意に低かった
(Petrenko et al.,1993)。自己免疫性甲状腺炎(橋
本病)を患う子どもたち(十代を含む)の自己抗体
の測定値と,環境の放射能汚染値には相関が認め
られた(Kuchinskaya,200l)。
  同様の例を数多く検討したところ,チェルノブ
イリ由来の放射線が内分泌系に危険な影響を及ぼ
したことは明らかだ。しかし,その影響はどれほ
ど大きいのだろう。本節では,そうした問いのい
くつかに答える具体的な例を提示する。まず内分
泌系疾患に関する研究データを手短に検討し
(5. 3.1を参照),その後,チェルノブイリ大惨事
に関連する内分泌疾患の中心的な問題である甲状
腺の機能障害を取り上げる(5.3.2を参照)。