(2013年12月議会参考資料一部より)

 

 

1. 子ども実年齢見合っていない早期老化  

2.若年性白内障歯と口の異常血液,リンパ,心臓,

消化器, 泌尿器および皮膚の疾患

   3.染色体異常細胞率は精神病理学的症
   状
を患う人に高く,染色分体異常
   細胞率は
無力症強迫恐怖症候群を患
   う人に高い

  染色体切断率は,甲状腺機能低下や,
   奇形と相関がある


染色体切断
  率は,新生児における免疫制御系失調の発生
  率と符合する。

先天性奇形の発
  生率は,汚染値が15 Ci/km^[=55万5,000 Bq/
  m^]以上の地域で高い

染色体異常数,小核数,および点突然変異
  の率は,甲状腺がんを患う子どもにおい
  て高い

汚染地域に住む人は,腫瘍細胞ばか
  りでなく「正常な」組織でも染色体異常細胞
 率が高い。

精子の構造異常の発生率と,染色体異常の
  発生頻度には相関がある
。 ゲノム構成における変化が,チェルノブイリ大惨事の最初
の危険な兆候だったことだ。数々の変化が放射線
の放出後数日のあいだに起こり,さまざまな疾患
の発生率を上昇させた。

  広島や長崎で放出され
たものより遺伝学的にはるかに危険である。なぜ
なら,チェルノブイリのメルトダウンで放出され
た放射性核種は量において数百倍も膨大で,種類
も多いからだ。


 遺伝的影響は何億人に
も及ぶ。曝された人びとストロンチウム90[Sr-90]やセシウム137は放射線量が環境放射線の値にまで下がるのに少なくとも300年を要するところ,
プルトニウムやアメリシウム[Am]は,そのきわめて危険な放射能が完全に減衰するのに1,000年単位の時間を要する。被曝した親から子へと7世代にもまたがる人びと
内分泌系の
  甲状腺は,成人では体内に入
った放射性ヨウ素全量の最大40%を,子どもで
は最大70%を集積する。また,脳下垂体はヨウ素を通常の非
放射性ヨウ素の5倍から12倍の水準で能動的に
取り込む。内分
泌系のこれら2つの重要な構成器官が,事
故後から数週間の「ヨウ素期」に放射
線に曝露した。

 あらゆる生
理機能は複合的な機能を司る内分泌器(膵臓,副
甲状腺,甲状腺,副腎,卵巣,精巣)に依存して
おり
  身体および知能の正常な発達には
甲状腺が適
切かつ適時に働く必要がある。
胎児や新生児が甲
状腺に損傷を負うと,
知的能力が抑えられたまま
一生を送ることになる
かもしれない。

   4.急速な変化見舞われた結核菌肝炎ウイルスヘルペスウイルス

タバコモザイクウイルス,サイトメガロウイルスおよび土壌細菌

,さまざまな場面で活発になった微生物個体群の病原性が強まった   

5.265集落(都市および村落)における40万人の子どもの測定
   結果が掲載されている。

 各集落における測定結果の分析には,共通する社会的・人口動態的データセシウム
  
137の内部被曝検査が実施された全日程,検査した子ども全員とリスク群に分類された子
   どもにおけるセシウム137の比放射能の平均値と最高値,子ども全員とリスク群の中央
   値,観察期間ごとの蓄積量の分布を示すグラフなどが
含まれる。この分析でリスク群に分
   類されているのは,比放射能がもっとも高かった都市部の学童30人と農村部の学童15
   人である。  多くの集落における測定は数年にわたり, また定期的に実施されたため,セシウム137
の内部被曝量の変化を追跡できており,蓄積量と季節,年齢,性別などとの関係が明らかになっている。

   6.安全を確保するもっとも簡単 な方法は,食物に取りまれた放射性核種をモニ タリングすること。ベラルーシの多くの場所で,
体内に取り込んだガンマ線放出核種の量を ホールボディカウンターによって測定した結果を 分析するとともに地元産の食物を対象に放射能 モニタリングを行ったところ,セシウム137に よる食物の汚染と,人間が体内に取り込む放射性核種の量とのあいだに高い相関が見られること, とりわけ子どもたちにそれがいえることが明らか
になっている。子どもと成人の食事内容が同じ場合,子どもは体重が軽く,また新陳代謝が活発なので,地元産の食材から受ける集積線量は成人の5倍に達する。農村に暮らす子どもが受ける集積線量は,都市部の同年齢の子どもより5倍から6倍も多い。
   

7.ペクチン含有腸内吸着剤に よる体外排出の成果
  ペクチンは消化器の中でセシウムのような陽イ オンと化学的に結合し,排便を通してセシウム137
排出量を増やすことが知られている。
「ゾステリ
  ン・ウルトラ[Zosterin-UltraR]」の商品名で知
  られる製剤は,ロシアの原子力産業で集団予
  防に用いられていた。非吸収性ペクチンであ
  るゾステリンの血液注射は,栄養摂取や新陳
  代謝その他の機能には害を及ぽざない。液状
  経口薬「ゾステリン・ウルトラ」は腸内吸着
  性および血液吸着性があり,生物学的に即効
  性の(言いかえれば治療効果のある)食品添加
  物として,ウクライナ保健省(1998年)およ
  びロシア保健省(1999年)により認可された。
 1996年,ペルラド研究所はセシウム137
  の排泄を促進するためにペクチン含有食品
  (フランスの「メデトベクドMedetopectR」」
  およびウクライナの「ヤブロペクト
  [YablopectR]」)にもとづく腸内吸着療法を開
  始した。 1999年,同研究所はヘルメス社(本
  社:ドイツ,ミュンヘン市)と共同で,「ビタ
  ヘクト
[VitapectR]」の商品名で知られるリン
  ゴペクチン含有の合成食品を開発した。ビタ
  ヘクトは粉末状で,ビタミンBi,B2,B6,Bi2,
  C,E,およびベータカロチン,葉酸を補った
  濃縮ペクチン(18〜20%)と,カリウム,亜鉛,
  鉄,カルシウムなどの微量元素,および香料
  からできている。
  

8.農作物に残留する放射性核種の濃度を下げ
  るためには‥ストロンチウム90の措抗体と
  して石灰/カルシウム肥料,セシウム137
  の措抗体としてカリウム肥料,水溶性の硬質
  リン酸塩を形成しストロンチウム90を沈殿
  させるリン酸肥料・,さらにゼオライト,水面
  下の腐植質堆積土壌(gyttja)その他,天然の
  措抗体や吸着体を用いることが有効である
 
  

9. その程度を 問わず,あらゆる生物の体細胞および生殖細胞に影響を及ぼす。 診療録の組織的隠蔽と是正不能な改
   ざん。[免疫系など]への影響。
チェルノブイリ事故に由来する死者数は
大惨事後の15年間で23万7,000人近くに達した。
  1987年から2004年にかけてのチェルノブイ
  リ事故による死者数は,前回の3国以外の
  ヨーロッパ諸国とアジア,アフリカで計46
  万2,000人近く,北米では33万1,000人近
  くにのぼったと仮定してまず間違いなく,全
  世界ではほぼ100万人に達していたことに
  なる。
チェルノブイリの犠牲者は今後,数世代に
  わたって増え続けるだろう。

10.

二次的放射能汚染

が起きている

(さらに今後も起き続ける)。

放射性核種は再循環するため,

 

[消滅や崩壊には]

予測より

ずっと長い時間

がかかっている。

 

安全とみなされるレベル

(年間1 mSv)まで

下げるためには,
 

以下を実践するとよい。
 

・菜園,牧場,干草用の草場など,

すべての農地に

無機肥料を年3回以上施肥する。
 

・地元産食材として

重要なキノコ類,ナッツ
   類,ペリ一類に含まれる

セシウム137を
効果的に減らすため

集落から半径10 km
   範囲内の森林に

カリウム[K]と

溶解性リグニン

施用する。
 

放射性核種の排泄を促進

するため,

少なくとも年4回,

天然ペクチン性

腸内吸着剤
)を支給し, 1
ヵ月のあいだ各自で規則的に摂取してもら

う。

 

幼稚園や学校に

通う子どもには

ペクチン入りジュースを

毎日飲ませるようにする。

 

牛乳,肉類,魚介類,野菜,その他の地元産食品における

放射性核種含有量を

減らす

防護対策

をとる。

 

・食肉用家畜の肥育に

腸内吸着剤

(フェロシアン化物など)

を利用する。


  疾病水準を下げ,

保養を促進するためには,
汚染地域において

以下を提供するとよい。

年に3度(子供),

年に1度(大人),

ホールボディカウンター

[人間の体内に

取り込まれ,

沈着した

放射性物質の量を

体外から測定する装置]

を用いて

1人ひとりの

体内放射性核種の

蓄積量を

実測すること

(子どもは3ヵ月ごとの実施が必要)。

・EPR線量測定

[電子スピン共鳴(EPR)線量測定]

染色体異常数の測定

などにより,

大惨事当初からの

各自の外部被曝線量を

再現すること。

 

放射能による

微生物相への

悪影響

 

調査対象となった

数種の微生物すべてが

急速な変化

見舞われた

 

結核菌

肝炎ウイルス

ヘルペスウイルス

タバコモザイクウイルス

サイトメガロウイルス

および土壌細菌

,さまざまな場面で

活発になった

 

チェルノブイリ微生物相の

長期的

かつ

究極的な帰趨

(きすう:おちつくところ)は,

われわれが

いま,

もっている知見より

悪いかもしれない。

 

人類をはじめとする

哺乳動物に比べ

世代交代が

速いこれらの微生物

表れている重大な変化は,

他の生物種の

健康と生存にとって

吉兆
ではない


土壌1g中には

25億個ほどの微生物

(細菌,微小菌類,原生動物)

がいる。

 

一方,

成人1人の

体重のうち

最大3 kg

細菌とウイルスと微小菌類
が占
めている。

 

これら微生物やウイルスが

それほど重要で,

本質的に生きている

生態系の代表である

という事実にもかかわらず,

チェルノブイリ大惨事が

微生物の世界に

及ぼしたさまざまな影響に
関しては,

ごくわずかなデータしかない。
  ある種の感染症による罹病率

[凡例を参照]

上昇の一部は,

チェルノブイリ事故由来の

被曝が原因となって,

さまざまな微生物個体群の

病原性が

強まったことに

帰せられるだろう。
 

 

1.大惨事後まもなくの調査で,レトロウイル
   スの活性化が観察された
(Kavsan et al., 1992)。
  2.ブリャンスク州(ロシア)

ノヴォズィプコフ地区

の汚染地域では,

子どもたちの

免疫系が
 抑制された

ために

ニューモシスチス・カリニ
   [Pneumocystis carini。宿主の免疫力が弱まると

日和見感染症を発症させる真菌の一種]

サイトメガロウイルス

[ほとんどの成人は保菌者で免疫があ
   るが,妊娠中にはじめて感染すると流産のリスクが高まる
]

への感受性が高まっている明らかな
   徴候がある


第3部 結 論
 1986年のチェルノブイリ原発事故に由来する
放射性降下物は,北半球全域の動物相と植物相に
甚大な影響を与えた。ヨーロッパ西部,北米,北
極圏,アジア東部の動植物(微生物を含む)におい
て放射能の体内蓄積量増加が記録され,その数値
は事故前に「正常値」とされていた自然のバック
グラウンド放射線[環境放射線]量の何百倍にも達
することが多かった。こうした高線量放射能の大
規模な放出は,それに続く持続的な低線量被曝と
相まって,植物類,哺乳類,鳥類,両生類,魚類,
無脊椎動物,それに細菌やウイルスも含むすべて
の生物に形態的,生理的,遺伝的障害をもたら
した。研究対象となったあらゆる動植物が例外な
く,明らかに悪影響を受けていた。
  放射能の影響を受けた生物集団には, 大惨事以
前には非常にまれだったか,あるいは知られてい
なかった多種多様な形態異常が現れた。二十数年
を経てもなお,ウクライナから遠く離れたデエル
ノブイリ事故による汚染地域では,狩猟鳥獣や家
畜が危険な量の放射性核種を取り込んだままであ
る。
  チェルノブイリに由来する放射能が水系,大気,
土壌に及ぼす総体的影響は,放射性核種の崩壊の
点から動的であるばかりでなく,生物学的,地質
学的,化学的にも,さらには多様な食物連鎖への
移入をけじめ,生態系全体における放射性核種の
移動や濃縮などの生態学的な過程という観点から
も動的である。ストロンチウム90[Sr-90],セシ
ウム137[Cs-137],プルトニウム[Pu],アメリシ
ウム[Am]その他の同位体の活発な移動がもたら
す生物濃縮により,今後何十年,いや何世紀にも
わたって不測の事態が数多く出現するだろう。
240
第3部で紹介した幅広いデータは,チェルノ
ブイリ大惨事が動植物相に多種多様な悪影響を与
えたこと,また今後も与え続けるだろうことを物
語る。
  重度汚染地域において,工業や農業など人間活
動から野生生物への圧力が軽減するやいなや,野
生生物は復活を始め,繁栄の様相さえ見せた。大
型哺乳類のオオカミ,ヘラジカ,イノシシ,シカ。
およびワシを含む鳥類がチェルノブイリの汚染ゾ
ーンに生息しているが,野生動物のこうした繁栄
は見かけ倒しである。鳥類の研究が示唆するのは。
汚染地域で見られる種の一部は,非汚染地域から
の移入の結果にすぎないかもしれないことだ
(MoUer and Moussaeu, 2007)。植物,魚類,両生
類および哺乳類の生物群集に関する形態学的, 紙
胞学的および免疫学的研究により,詳細に調査さ
れたすべての生物において機能低下が確認された
(総説としてGrodzinsky, 2006とZakharov and
Krysanov, 1996 を参照)。
  チェルノブイリの汚染地域に生息する動植物お
よび微生物の突然変異荷重[突然変異による集団の
平均適応度の低下]と突然変異率は,他の場所とは
比べものにならないほど高い。チェルノブイリ由
来の放射線照射による慢性的な低線量被曝は,ゲ
ノム*6の不安定性を世代をまたいで蓄積させる結
果を招き,その影響は細胞性および全身性の異常
として表れている。事故当初の数世代のあいたに
被曝した動物のゲノムに比べ,??? M.い将来の世代の
ゲノムはごく微量の放射線にも感受性が高まって
いくので,このような世代を超えた長期的影響は
有害だ(Goncharova, 2000; Pelevyna etぶ。, 2006)。
  一方,汚染地域では,より放射線感受吽の低い
第3部 チェルノブイリ大惨事が環境に及ぼした影響
  
個体の生き残りに向けた積極的な自然選択(自然
淘汰),すなわち放射線適応の過程も進行してい
る。持続的な汚染状況下に置かれた生物群集の放
射線適応は,多くの世代を重ねるうちに放射線感
受性を低下させるだろう。これは進化論が予測す
るとおり,感受性の高い遺伝子型の排除と,遺伝
子プールの貧相化E集団内における遺伝子数の減少]
を伴う特殊な適応の結果である。チェルノブイリ
ゾーンには,先祖返りした原始型の遺伝系への回
帰を示す植物や動物が見られる(Glazko et a/,
1996)。こうした事実から,環境放射線値が上昇
したままの地域では農業に有害な昆虫の数と種類
の増加が予測される(Mosse, 2002)。微生物の1
世代が短寿命であることを考えると,この急速な
小進化の過程はより原始的な型の生物を活性化さ
せるとともに,新型のウイルス,細菌類および真
菌類を出現させる可能性がある。
第3部で提示した資料は,チェルノブイリの
放射能汚染ゾーンを,動植物が成育し繁栄する自
然保護区とみなすことが危険かつ近視眼的である
ことを裏づけている。チェルノブイリの汚染ゾー
ンで現在進行中の数多くの過程をより深く理解す
るためには,生物の研究を(ベラルーシ,ウクラ
イナ,ロシアで起こっているように)縮小したり
中止したりしてはならない。むしろ,予期せざる
危険な事態の連鎖を理解し,予見し,回避するた
めに,[そうした研究を1支援,拡大,強化すべき
である。
  汚染地域の動物の研究には,もう1つのいっ
そう重大な面がある。われわれ人類は動物界に属
し,ネズミやラットなど他の動物と同じ臓器と生
物体系を有する。第3部の資料は,急激に上昇
する突然変異荷重,高まる罹病率[凡例を参照],
そして,がんの発生を示している。チェルノブイ
リ事故による汚染条件下で飼育された実験用ラッ
トの70% 以上が2,3年のうちにがんを発症し,
さらに複数の疾病と免疫障害を患った。チェルノ
ブイリ周辺で事故後5年から7年のあいだに生
じたこれらすべての経過は,その後,被曝した人
間集団に起きたことの明らかな前兆だった。
  チェルノブイリは,一方では小進化の孵化器と
して,遺伝子プールを盛んに変容させながら予測
不能の結果をもたらし,もう一方ではブラックホ
ールとして,大型動物を加速された遺伝的退化へ
と呑み込みつつある。こうした知見を無視するな
ら,われわれは危機に陥るだろう。
?
第3部 結 論
241
?
放射線防護
?
?
チェルノブイリ大惨事以来,数百万人が放射能
汚染地域に住み続けている。その大半はベラルー
シ,ウクライナ,およびロシアの汚染地域の住民
だが,スウェーデン,フィンランド,ノルウェー,
スコットランドなど,他の国々にも汚染された地
域がある(詳細は第1章を参照)。これらの地域
に住む人びと全員に放射線防護が必要だ。
  大惨事のあと,ベラルーシ,ウクライナ,およ
びロシアでは,数十万人の移住と放射能汚染によ
る被曝の軽減に向けて多大な努力が払われた。講
じられた対策には,食物の摂取制限や調理法の変
更のほか,適格な科学者の指導による農林漁業の
方法の転換などがある(Bar'yakhtaぐ1995;Alek-
sakhin et 詞。, 2006)。
  汚染地域における放射線防護をめぐる状況は,
住民の健康を第一に考える立場の人間を窮地に立
たせる。当局は復旧や災害管理に充てる財源をで
きる限り抑えようとする一方で,住民や食物,環
境にとって危険なほどの放射能汚染に関するデー
タを認めたがらないからである。実際,役人はど
こでもこういう姿勢をとる。
  チェルノブイリ原発事故の影響について官僚側
か真実を認めたがらないので,状況を危惧した市
民らは,別の情報源を探し出し,苦境にある人び
との救済手段を考えようと組織的な取り組みを始
めた。こうして,ベラルーシ,ウクライナ,ロシ
アのほか,ドイツ,オーストリア,フランス,ス
イス,カナダ,米国,イスラエルを含む多くの
国々に数百にのぼる地域的・全国的・国際的な
市民団体が設立された。「チェルノブイリの子ど
もたち[Children of Chernobyl]],「チェルノブイリ
の医師たち[Physicians of Chernobyl]」,「チェルノ
ブイリの寡婦たち[Widows of Chernobyl]」,そして
リクビダートル[事故処理作業員]の組合などであ
る。
  1987年には,物理学者で人道主義者のアンド
レイ・サハロフ,ベラルーシの著名作家アレー
シ・アダモヴィッチ,チェスの世界王者アナトリ
ー・カルポフの主導のもと,ベラルーシの子ども
たち(チェルノブイリ原発事故による壊滅的な放
射能汚染の最大の被害者)の支援に特化した独立
公共機関として,ベラルーシ放射線安全研究所
(BELRAD[以下,[ベルラド研究所]])が創設され
た。以来25年間,このベルラド研究所は放射線
防護の分野で広範なデータベースを築き上げ,科
学的にも実践的にも有用な情報を提供する非政府
のチェルノブイリ関連情報拠点として,独自の活
動を続けてきた。
  第4部は主としてベルラド研究所の資料にも
とづいている。第12章では,チェルノブイリ事
故による食物と人体の放射能汚染について多くの
国のデータを紹介し,第13章では,腸内吸着物
質の使用など,体内に取り込んだ放射性核種の量
を減らすためにベラルーシで行われている有効な
対策について報告する。そして第14章では,? 農
業と林業における放射能汚染への一般的な対策を
総説する。

?
?
食物と人体の放射能汚染
?
?
大惨事の発生直後,ヨーロッパの多くの国々で,牛乳,乳製品,野菜,穀物,肉,および魚介類に含まれ
るヨウ素131[1-131],セシウム134[Cs-134]と137[Cs-137],ストロンチウム90[Sr-90]やその他の放射性
核種の量が急激に増加した(場合によっては1,000倍にも及んだ)。 1991年に至るまで,米国がおもにト
ルコ,イタリア,オースト')ア,西ドイツ,ギリシャ,ユーゴスラビア,ハンガ')ー,スウェーデン,デ
ンマークから輸入した食品に,チェルノブイリ由来の放射能によるかなりの汚染が認められた。これらの
食品には,?? ジュース,チーズ,パスタ,キノコ,ヘーゼルナッツ,セージ,イチジク,茶葉, タイム,ジ
ュニパー[セイヨウネズ],ギャラウェイシード[ヒメウイキョウ],アプリコットなどがある。ベラルーシの
ゴメリ州,モギリョフ州,ブレスト州では,近くは2005年から2007年にも,小規模農場の牛乳の7%
から8%と,その他の食物の13%から16%において,セシウム137が許容値を超えた。 2000年にも,ウ
クライナのロヴノ州およびジトーミル州では,野生のベリ一類とキノコ類の最大90%がセシウム137の
許容値を超えていた。子どもは成人より体重が軽く代謝も異なるため,子どもの放射線被曝は,同じ食事
を摂った成人の3倍から5倍にもなる。
1995年以降2007年までに,ベラルーシの重度汚染地域に暮らす
子どもの最大90%に,体重1kgあたりIS〜20 Bqを超えるセシウム137の蓄積があり,なかでもゴメリ
州ナロヴリャ市では最高7,300 Bq/kg に達する最大値を示した。ベラルーシ,ウクライナ,およびヨーロ
ッパ側ロシアの重度汚染地域において,体内に取り込まれたセシウム137とストロンチウム90の平均値
は,?? 1991年以降2005年までに減少するどころか, むしろ増加した。
現存する放射性降下物の90% 以上
力陥ツウム137であり,その半減期*3が約30年であるところから,ニれらの汚染地域は今後およそ3世
紀にわたって放射能の危険に曝され続けることがわかる。
 
?
放射線防護のために政府がどれほど予算を割い
ても(たとえば,ベラルーシでは2006年,農業
生産における放射能汚染を低減するために3億
ドル近い予算が割り当てられた),汚染地域に住
み,放射性核種に汚染された地元産の野菜,林産
物,魚介類,狩猟鳥獣肉を食べている人びとに
放射能からの完全な防護を提供できる国などどこ
にもない。
 
?
だからこそ,地域レベルで放射能モニタリング
=監視)の力をつけ,市民が必要な情報や手段にア
クセスしたり,みずから地元産の食物をチェック
して放射線防護の取り組みに積極的に参加したり
できるようにすることが,何にも増して重要だ。
中央主導のデータ監視収集機関は,情報を得るべ
き各地の人びとに確実に知らせるという意識を欠
いているケースがあまりにも多い。

?
食物の放射能モニタリング(監視)
?
?
?
?
?
?
12.1.1.ベラル―シ
?
 1993年末,食物の放射能汚染を監視する目的
で,BELRAD[以下,「ベルラド研究所」]はベラル
ーシ国家チェルノブイリ対策委員会[the State
Committee ft]r Dealing with the Consequences of the Ca-
tastrophe at Chernobyl Nuclear Power Plant (Comcher-
nobyl)]の支援を受け,汚染地域の食材を測定でき
る公共の地域放射線管理センター(LCRC)を370
力所に設立した。今日,ペルラド研究所が提供す
る汚染された食材の総合データベースには,11
万1,000件あまりに及ぶ牛乳サンプルの検査結果
など,?? 34万件を超える測定データが登録されて
第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染
245
?

いる。
  1.ペルラド研究所のデータベースによると,
   1992年,ベラルーシの3州では,小規模農
   場産牛乳の最大15%とその他の食品の最大
   80%が,許容値を超えるセシウム137に汚
   染されていた(表12.1)。
  2.公式の許容値を上回る放射能汚染が認めら
   れる食品の割合は, 大惨事後14年経っても
?
 減らなかった。それどころか,ゴメリ州とブ
  レスト州で,?? 1997年にはその割合が増加傾
  向に転じた(表12. 2)。
3.??? 1996年にブレスト州で検査した全牛乳廿
  ンプルの最大34.3%が許容値より高い放射
  能量を示した。危険値を示した牛乳サンプル
  数は,モギリョフ州よりもゴメリ州とプレス
  ト州で有意に多かった。 1993年から2006年
                                       ―¶-|||--
246
第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
  ベラルーシのゴメリ州,モギリョフ州,プレスト州においてセシウム137が許容値を超えた食品の割合(%)
1993〜2007年(BELRAD database)。
?
'ゴメリ州における1995年以降のデータは過小評価の可能性あり(重度汚染地域のレ|リテツィ地区内にある24ヵ所の地域放射線管理センタ
ー(LCRC)が,ベルラド研究所の管轄下から国家チェルノブイU対策委員会(コムチェルノブイリ)内の機関である放射線医学研究所に移管
されたため)。
表12.3 ベラルーシのゴメリ州,モギリョフ州,ブレスト州においてセシウム137が許容値を超えた牛乳サンプルの割
    合,?? 1993〜2007年(BELRAD database)。
?
 にかけて,許容値を超える牛乳サンプル数に
  若干の減少が認められた(表12.3)。
4.一部の地域では,セシウム137が危険値を
  示す牛乳サンプルの割合が平均よりも有意に
  高かった。たとえば,ブレスト州ルニネツ地
  区ルーギ村では2006年のサンプルの90.7%
  が許容値を超え,測定値は州平均の16倍に
  も達しか。
5.各地の食品の放射能汚染程度には季節ごと
  の変動がある(図12.8)。通常は例年,第3お
  よび第4四半期に高濃度に汚染された食
  材(キノコ類,ベリ一類,狩猟鳥獣肉,セシ
  ウム137を多く含む冬期飼料によって汚染
  された牛乳)の割合が増える傾向にある。
6.公式データでも,食材が放射能の許容値を
  超える事例が明らかになっている。記録によ
  ると,ミンスク州では2008年にベリ一類
  (全サンプルの4.5%),キノコ類(同11.3%),
  狩猟鳥獣肉(同17.6%),薬用植物(同5.8%)
  に含まれるセシウム137が許容値を上回っ
  た(Minsk Regional Centre of Hygiene, Epide-
?
miology and Public Health[ミンスク州衛生学疫
学公衆衛生センター],2009)。ゴメリ州では
2008年に民間生産品2,576サンプルのう
ち435点(16.9%)から許容値を超えるセシウ
ム137が検出されている。たとえば,キノ
コ類(生,瓶詰め)におけるセシウム137の
比放射能*2は最大3万5,820 Bq/kg(基準値
370 Bq/kg),乾燥キノコは11万8,600 Bq/kg
(同2,500 Bq/kg),狩猟鳥獣肉は8,279 Bq/kg
胴500 Bq/kg),ペリー類性,瓶詰め)は
659 Bq/kg胴185 Bq/kg)だった(Gomd Re-
gional Centre of Hygiene, Epidemiology and
Public Health[ゴメリ州衛生学疫学公衆衛生セン
ター],?? 2008)。
?
12.1. 2.ウクライナ
1.?? 2000年になっても,食材に含まれるセシ
  ウム137は許容値を超えたままだった。た
  とえば,許容値を超えたベリ一類とキノコ類
  の割合はロヴノ州で80%,ジトーミル州で
?
第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染
247

  90%,森林ステップ帯のヅインニッツア州お
  よびチェルカースイ州で24%,ヴォルイニ
  州で15%だった(Orlov, 2001)。
2.ウクライナ保健省の2000年のデータによ
  れば,ヴォルイニ,ジトーミル,キエフ,ロ
  ヅノ,チェルニゴフ各州における民間生産の
  牛乳と食肉のうち, 1.1%から最大70.8%が
  許容値を超えるセシウム137を含んでいた
  (Omelyanets,2001)。
12.1. 3.その他の国と地域
 旧ソ連以外の国々にも,チェルノブイリ事故に
よる食物汚染に関して相当量のデータがある。

100
 
フィンランド:大惨事直後に,牛乳,牛肉,
?
?
?
図12.1 フィンランドの食肉および牛乳におけるセシウ
     ム13フ濃度の全国平均(UNSCEAR[原子放射線の
     影響に関する国連科学委員会], 1988)。
表12.4 1986年のフィンランド産魚類におけるセシウム
    137の汚染状況(Saxen and Rantavaara, 1987)。
   魚 の 種 類
パーテ[淡水魚]
牛タカワカマス[淡水魚]
ホワイトフィッシュ[淡水魚]
ブU−ム[淡水魚]
シロマス[淡水魚]
    放射能濃度
(1 kgあたりのBq値り
    1万6,000
    1万
       フ,100
       4,500
       2,000
゛食用天然淡水魚におけるセシウム137の巳U域内摂取制限値は
3,000 Bq/kg.
248
第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
 
?
豚肉のセシウム137含有量が急激に増加し
  た(図12.1)。 1995年以降は毎年,採取され
  たおよそ7.71のキノコ(ほとんどがチチタケ
  属[Lactarius sp.])に約16億Bqものセシウム
  137が含まれており,これは,国民1人あ
  たり約300 Bq に相当する
(Rantavaara and
  Markkula, 1999)。
2.バルト海沿岸:バルト海の魚介類にセシ
  ウム137による汚染の有意な増加が認めら
  れ(図12. 2),淡水魚ではさらに大幅な増加が
  あった(表12.4)。狩猟鳥獣はすべて重度に汚
  染されており,セシウム137とセシウム134
  の合計値は,たとえばホオジロガモで肴
  6,700 Bq/kg,その他の水鳥で約1万500 Bq
  kgに達した
(Rantavaara et al, 1987)。
3.クロアチア:大惨事後,コムギのセシウム
  137濃度が100倍以上に上昇した
(図12. 3) ,
4.フランス:1997年,ヅオージュ県の野生
  イノシシと天然キノコにおいて,セシウム
  137による汚染が基準値を最大40倍も上回った
(Chykin, 1997)。
5.英国:1986年5月,チェルノブイリ由来
  の放射能による牛乳の汚染がピークに達し
  ヨウ素131とセシウム137の濃度は,?? 19S5
  年に報告された平均値の最大1,000倍,スト
  ロンチウム90は最大4倍の値を示した
  (Jackson etal.,Y)%l)。英国保健省によれば。
  19万頭を超えるヒツジを擁する国内369 -
  所の農場で,大惨事から23年を経ても,エ
  エルノブイリ由来のセシウム137による汚
  染が依然として危険値を示していた
(Macali-
  ster and Carter, 2009)。
6.イタリア:1988年6月に原子力安全健豪
  保護総局が得た放射能測定結果によると.?? 肉。
  パスタ,パン,牛乳,およびチーズが,チニ
  ルノブイリ由来の放射性核種に依然として著
  しく汚染されていた(WでISE[世界エネルギー情
  報サービス],
1988a)。
7.メキシコ:1988年,メキシコはチェルメ
  ブイリ原発事故による放射能汚染を理由に

図12.2 1984年から2004年までに(1)7tt'スニア海で漁獲されたタイセイヨウニシン
     [Clupea harengus]と,(2)ボーンホルム島[デンマーク領]およびバルト海南部で漁
     獲されたカレイ(ヨーロッパヌマガレイ)[Pleuronectes])とヒラメ(ヨーロッパプレ
     イス[Platicht仰s flesus]における,セシウム137濃度(年間平均l kgあたりのBq
     値)。チェルノブイリ事故以前(1984〜1985年)の濃度は,タイセイヨウニシンでは
     2.5 Bq/kg, カレイとヒラメでは2.9 Bq/kg だった(HELCOM[ヘルシンキ委員会] In-
     dicator Fact Sheets, 2006(http://www.he!com.fi/BSAP_assessment/ifs/archive/
     ifs2006/Cs137fish/#))。
?
図12.3 クロアチア産コムギに含まれたセシウム137濃度の推移,?? 1965〜2003年(Franic
    et a/., 2006)。
?

粉ミルク3,000 tを北アイルランドに返送し
  た(WISE, 1988b)。
8.ポーランド:1987年6月,ポーランドか
  らバングラデシュに出荷された1,600 tの粉
  ミルクから許容値を超える高濃度の放射能が
  検出された
(Mydans, 1987)。
9.スウェーデン:チェルノブイリ事故のあと,
  ヘラジカレikes ale詞の肉に含まれるセシウム
  137の平均濃度が9倍から14倍も上昇した。
  大惨事前の平均濃度33 Bq/kg に対し,事故
  後はヘラジカの子で470 Bq/kg, 成獣で300
  Bq/kgたった(Danellど≪/., 1989)。
10.トルコ:1986年から1987年にかけて,
  およそ4万5,000 tの茶葉がチェルノブイリ
  由来の放射能に汚染され,?? 1986年の収穫量
  の3分の1以上が使用不可能となった
  (WISE, 1988c)。
11.米国:米国におけるチェルノブイリ原発
第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染  249
表12.5 米国産牛乳におけるチェルノブイU由来の放射|生核種の濃度(1 literあたりのpCi値[Bq/liter]],?? 1986年(RAD
    NETの複数資料による,?? 2008)。
?
事故による食品汚染は,汚染の地理的規模の
大きさと汚染品目が多岐にわたる点から特に
注目される。当局の隠蔽体制にもかかわらず
(詳細は第2章を参照),チェルノブイリ事
故による米国での食品汚染の全容がしだいに
明らかになりつつある。輸入食品におけるチ
ェルノブイリ由来のヨウ素131による汚染
は1986年5月から6月にかけてがピークで,
セシウム134とセシウム137については,
大惨事のおよそ10ヵ月後から16ヵ月後に
ピークが見られた(RADNET[人為的放射性核
種の生物圏への拡散に関する情報の収集・管理を
目的とした米国の民間団体], 2008, Section 9,
Part 4)。
1986年5月5日から1988年12月22日ま
でにFDA(米国食品医薬品局)は1,749点
の輸入食品サンプルについて,ヨウ素131,
セシウム134,セシウム137による汚染を検
査した。これらの検査結果は機密事項とされ
ていたが,近年にようやく情報公開請求を通
じて人手された(RADNET,2008)。チェル
ノブイリ由来の放射能に汚染された食品のう
ち最初に米国に輸入されたのはノルウェー産
の魚で,検出可能な値のセシウム137に汚
?
染されていた。この放射能汚染がわかったの
は1986年5月ら日で,大惨事の11日後だ
った。 1986年5月から6月にかけて,輸入
食品15サンプル(大半はイタリア産のキノ
コとチーズだったが,西ドイツ産とデンマー
ク産のチーズもあった)において1,000 pCi
[ピコキュリー]/kg[=37 Bq/kg]を超えるヨウ素
131が検出された。 1987年2月1日から同
年10月4日までに,こうした食品サンプル
のおよそ44%に100 pCi/kg[ = 3.7Bq/kg]を超
えるセシウム137が含まれ,5%は5,000
pCi/kgト185 Bq/kg]を上回っていた。 1987
年2月5日から6月24日にかけては,?? 50呪
を超える食品サンプルでセシウム137の濃
度が100 pCi/kg を超え,サンプルの約7%
には5,000 pCi/kg 以上が残留していた。
  別のデータによれば,1989年に抜き取り
検査した輸入食品の最大24%が明らかに放
射能に汚染されていた(Cunningham et al..
1994)。 1990年には25%,?? 1991年には8%,
1992年には2%に汚染が認められた。「汚染
された食品の件数は総じて減少したが。
1991年度および1992年度にも,依然として
時々汚染が判明することがあった。実際。
1991年度に回収されたヘラジカ肉のセシウ
ム137汚染はチェルノブイリ事故発生以来
の最高値」,すなわち8万1,000 pCi/kg[=
2,997 Bq/kg]を示していた(Cunningham ば≪/.,
1994, P. 1426. RADNET,2008より重引)。米
国連邦規制によって,セシウム134とセシ
ウム137の合計値が1万pCi/kgレ370 Bq/
kg]を超える輸入食品は差し押さえられ,廃
棄処分の対象となる(米国食品医薬品局の
1986年5月16日付けガイドライン,RAD
NET, 2008による)。 RADNETの請求を通
じて人手された公文書(Section 9)によると,
1986年から1988年までに差し押さえと廃
棄処分になった事例は12件あった。
 
1986年から1988年にかけて米国に輸入さ
れた,チェルノブイリ事故で汚染された食品
の原産国は,トルコ,イタリア,オーストリ
ア,西ドイツ,ギリシャ,ユーゴスラビア,
ハンガリー,スウェーデン,デンマーク,エ
ジプト,フランス,オランダ,スペイン,ス
イス(件数の多い順)だった。汚染された品目
は,リンゴジュース,チーズ,パスタ,オレ
ガノ,ペリージュース,キノコ,野生のヘー
ゼルナッツと栽培種のフイルバート(ハシバ
ミ属[Corylus sp且 セージ(サルビア属[Sa/via
sp乱 イチジク,月桂樹の葉,茶葉,タイム,
赤レンズ豆(レンズマメ属[Lens sp]),ジュニ
パー,ギャラウェイシード(ヒメウイキョウ
?
第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染
251
  属「Carum sp」),エンダイブ(キクニガナ属
  [Cichorium sp.]),アプリコット(件数の多い
  順)で,スイス産のチョコレートからも汚染
  が検出されている。
   表12.5は, 大惨事後の全米各地の牛乳に
  おける放射能汚染の程度を示している。すべ
  ての測定値が公式の介人基準値(DIL)を下回
  ってはいるものの,チェルノブイリ由来の降
  下物によって北米全域に有害な放射性同位体
  が沈着したことは事実である。
   ヘラジカ肉に蓄積したチェルノブイリ由来
  のセシウム134と137の合計濃度は,最大
  3,000 Bq/kg に達した(RADNET, 2008)。コ
  ゴミ[クサソテツの芽]におけるルテニウム106
  [Ru-106]とセシウム137の濃度はそれぞれ
  261pCi/kgト9.7Bq/kg]と328pCi/kgト
  12.1 Bq/kg],キノコにおけるセシウム137濃
  度は3,750 pCi/kg[ = 138.8 Bq/kg]たった(RAD
  NET, 2008)。
12.その他の国々における食品の放射能汚染
  例を表12.6にまとめた。セシウム137,ス
  トロンチウム90,プルトニウム[Pu],アメ
  リシウム[Am]は植物の根の部分に濃縮され
  るが,これらの核種は今後,数十年から数百
  年にわたって移動し,チェルノブイリ事故に
  よって汚染された北半球のすべての国々の農
  産物に残留し続けるだろう。