(2013年12月議会参考資料一部より)

 

 

1. 子ども実年齢見合っていない早期老化  

2.若年性白内障歯と口の異常血液,リンパ,心臓,

消化器, 泌尿器および皮膚の疾患

   3.染色体異常細胞率は精神病理学的症
   状
を患う人に高く,染色分体異常
   細胞率は
無力症強迫恐怖症候群を患
   う人に高い

  染色体切断率は,甲状腺機能低下や,
   奇形と相関がある


染色体切断
  率は,新生児における免疫制御系失調の発生
  率と符合する。

先天性奇形の発
  生率は,汚染値が15 Ci/km^[=55万5,000 Bq/
  m^]以上の地域で高い

染色体異常数,小核数,および点突然変異
  の率は,甲状腺がんを患う子どもにおい
  て高い

汚染地域に住む人は,腫瘍細胞ばか
  りでなく「正常な」組織でも染色体異常細胞
 率が高い。

精子の構造異常の発生率と,染色体異常の
  発生頻度には相関がある
。 ゲノム構成における変化が,チェルノブイリ大惨事の最初
の危険な兆候だったことだ。数々の変化が放射線
の放出後数日のあいだに起こり,さまざまな疾患
の発生率を上昇させた。

  広島や長崎で放出され
たものより遺伝学的にはるかに危険である。なぜ
なら,チェルノブイリのメルトダウンで放出され
た放射性核種は量において数百倍も膨大で,種類
も多いからだ。


 遺伝的影響は何億人に
も及ぶ。曝された人びとストロンチウム90[Sr-90]やセシウム137は放射線量が環境放射線の値にまで下がるのに少なくとも300年を要するところ,
プルトニウムやアメリシウム[Am]は,そのきわめて危険な放射能が完全に減衰するのに1,000年単位の時間を要する。被曝した親から子へと7世代にもまたがる人びと
内分泌系の
  甲状腺は,成人では体内に入
った放射性ヨウ素全量の最大40%を,子どもで
は最大70%を集積する。また,脳下垂体はヨウ素を通常の非
放射性ヨウ素の5倍から12倍の水準で能動的に
取り込む。内分
泌系のこれら2つの重要な構成器官が,事
故後から数週間の「ヨウ素期」に放射
線に曝露した。

 あらゆる生
理機能は複合的な機能を司る内分泌器(膵臓,副
甲状腺,甲状腺,副腎,卵巣,精巣)に依存して
おり
  身体および知能の正常な発達には
甲状腺が適
切かつ適時に働く必要がある。
胎児や新生児が甲
状腺に損傷を負うと,
知的能力が抑えられたまま
一生を送ることになる
かもしれない。

   4.急速な変化見舞われた結核菌肝炎ウイルスヘルペスウイルス

タバコモザイクウイルス,サイトメガロウイルスおよび土壌細菌

,さまざまな場面で活発になった微生物個体群の病原性が強まった   

5.265集落(都市および村落)における40万人の子どもの測定
   結果が掲載されている。

 各集落における測定結果の分析には,共通する社会的・人口動態的データセシウム
  
137の内部被曝検査が実施された全日程,検査した子ども全員とリスク群に分類された子
   どもにおけるセシウム137の比放射能の平均値と最高値,子ども全員とリスク群の中央
   値,観察期間ごとの蓄積量の分布を示すグラフなどが
含まれる。この分析でリスク群に分
   類されているのは,比放射能がもっとも高かった都市部の学童30人と農村部の学童15
   人である。  多くの集落における測定は数年にわたり, また定期的に実施されたため,セシウム137
の内部被曝量の変化を追跡できており,蓄積量と季節,年齢,性別などとの関係が明らかになっている。

   6.安全を確保するもっとも簡単 な方法は,食物に取りまれた放射性核種をモニ タリングすること。ベラルーシの多くの場所で,
体内に取り込んだガンマ線放出核種の量を ホールボディカウンターによって測定した結果を 分析するとともに地元産の食物を対象に放射能 モニタリングを行ったところ,セシウム137に よる食物の汚染と,人間が体内に取り込む放射性核種の量とのあいだに高い相関が見られること, とりわけ子どもたちにそれがいえることが明らか
になっている。子どもと成人の食事内容が同じ場合,子どもは体重が軽く,また新陳代謝が活発なので,地元産の食材から受ける集積線量は成人の5倍に達する。農村に暮らす子どもが受ける集積線量は,都市部の同年齢の子どもより5倍から6倍も多い。
   

7.ペクチン含有腸内吸着剤に よる体外排出の成果
  ペクチンは消化器の中でセシウムのような陽イ オンと化学的に結合し,排便を通してセシウム137
排出量を増やすことが知られている。
「ゾステリ
  ン・ウルトラ[Zosterin-UltraR]」の商品名で知
  られる製剤は,ロシアの原子力産業で集団予
  防に用いられていた。非吸収性ペクチンであ
  るゾステリンの血液注射は,栄養摂取や新陳
  代謝その他の機能には害を及ぽざない。液状
  経口薬「ゾステリン・ウルトラ」は腸内吸着
  性および血液吸着性があり,生物学的に即効
  性の(言いかえれば治療効果のある)食品添加
  物として,ウクライナ保健省(1998年)およ
  びロシア保健省(1999年)により認可された。
 1996年,ペルラド研究所はセシウム137
  の排泄を促進するためにペクチン含有食品
  (フランスの「メデトベクドMedetopectR」」
  およびウクライナの「ヤブロペクト
  [YablopectR]」)にもとづく腸内吸着療法を開
  始した。 1999年,同研究所はヘルメス社(本
  社:ドイツ,ミュンヘン市)と共同で,「ビタ
  ヘクト
[VitapectR]」の商品名で知られるリン
  ゴペクチン含有の合成食品を開発した。ビタ
  ヘクトは粉末状で,ビタミンBi,B2,B6,Bi2,
  C,E,およびベータカロチン,葉酸を補った
  濃縮ペクチン(18〜20%)と,カリウム,亜鉛,
  鉄,カルシウムなどの微量元素,および香料
  からできている。
  

8.農作物に残留する放射性核種の濃度を下げ
  るためには‥ストロンチウム90の措抗体と
  して石灰/カルシウム肥料,セシウム137
  の措抗体としてカリウム肥料,水溶性の硬質
  リン酸塩を形成しストロンチウム90を沈殿
  させるリン酸肥料・,さらにゼオライト,水面
  下の腐植質堆積土壌(gyttja)その他,天然の
  措抗体や吸着体を用いることが有効である
 
  

9. その程度を 問わず,あらゆる生物の体細胞および生殖細胞に影響を及ぼす。 診療録の組織的隠蔽と是正不能な改
   ざん。[免疫系など]への影響。
チェルノブイリ事故に由来する死者数は
大惨事後の15年間で23万7,000人近くに達した。
  1987年から2004年にかけてのチェルノブイ
  リ事故による死者数は,前回の3国以外の
  ヨーロッパ諸国とアジア,アフリカで計46
  万2,000人近く,北米では33万1,000人近
  くにのぼったと仮定してまず間違いなく,全
  世界ではほぼ100万人に達していたことに
  なる。
チェルノブイリの犠牲者は今後,数世代に
  わたって増え続けるだろう。

10.

二次的放射能汚染

が起きている

(さらに今後も起き続ける)。

放射性核種は再循環するため,

 

[消滅や崩壊には]

予測より

ずっと長い時間

がかかっている。

 

安全とみなされるレベル

(年間1 mSv)まで

下げるためには,
 

以下を実践するとよい。
 

・菜園,牧場,干草用の草場など,

すべての農地に

無機肥料を年3回以上施肥する。
 

・地元産食材として

重要なキノコ類,ナッツ
   類,ペリ一類に含まれる

セシウム137を
効果的に減らすため

集落から半径10 km
   範囲内の森林に

カリウム[K]と

溶解性リグニン

施用する。
 

放射性核種の排泄を促進

するため,

少なくとも年4回,

天然ペクチン性

腸内吸着剤
)を支給し, 1
ヵ月のあいだ各自で規則的に摂取してもら

う。

 

幼稚園や学校に

通う子どもには

ペクチン入りジュースを

毎日飲ませるようにする。

 

牛乳,肉類,魚介類,野菜,その他の地元産食品における

放射性核種含有量を

減らす

防護対策

をとる。

 

・食肉用家畜の肥育に

腸内吸着剤

(フェロシアン化物など)

を利用する。


  疾病水準を下げ,

保養を促進するためには,
汚染地域において

以下を提供するとよい。

年に3度(子供),

年に1度(大人),

ホールボディカウンター

[人間の体内に

取り込まれ,

沈着した

放射性物質の量を

体外から測定する装置]

を用いて

1人ひとりの

体内放射性核種の

蓄積量を

実測すること

(子どもは3ヵ月ごとの実施が必要)。

・EPR線量測定

[電子スピン共鳴(EPR)線量測定]

染色体異常数の測定

などにより,

大惨事当初からの

各自の外部被曝線量を

再現すること。

 

 

 

12.2 

体内に取り込まれた

放射性核種

のモニタリング(監視)
 放射線防護を効果的に行うには,とりわけ子ど
もについて,食物のモニタリングだけでなく,体
に取り込まれた放射性核種を直接監視する必要が
ある。このようなモニタリングを行うことで,汚
染地域内における個別の場所ごとの,また放射性
核種を多く取り込んでいる集団ごとの汚染値を特
定できるため,適切な放射線防護が可能になる。

 チェルノブイリ大惨事後の

放射線防護
 

12.2.1.ベラルーシ
  食物の放射能汚染と, (放射能汚染の影響を受
けるリスクがもっとも高い)

子どもが取り込んだ
放射性核種

とのあいだの

相関関係

を判定するため,
ベルラド研究所は,

年度半ばの実効線量

地域の食物の汚染程度

から,

もっとも汚染のひどい地域を

[調査対象に]

選び出した。
 ベルラド研究所が収集する,

ホールボディカウンター

[人間の体内に取り込まれ,

沈着した放射性物質の量を

体外から測定する装置]

による

2001年から 2007年までの

子どもの

(体内における)

セシウム137蓄積量

の測定結果は,

ペルラド研究所の

ニュースレターNo. 31

『住民と食事の放射能モニタリング』

に掲載されている

(Nesterenko, 2008)。


  1.一連のニュースレターには2011年までに
   3州(ブレスト州,ゴメリ州,モギリョフ奸)
   の19地区,すなわちブラーギン,ブダ・コ
   シェリョヴォ,ヴェトカ,ドブルシ,エリス
   ク,ジトコヴィチ,カリンコヴィチ,コルマ。
   クラスノポーリエ,レリチツィ,ロエフ,ル
   ニネツ,ナロヴリヤ,レチツア,ロガチョフ。
   スヴェトロゴルスク,ホイニキ,チェチェル
   スク,ストーリン各地区の265集落(都市お
   よび村落)における40万人の子どもの測定
   結果が掲載されている。
 2.各集落における測定結果の分析には,共通
   する社会的・人口動態的データ,セシウム
   137の内部被曝検査が実施された全日程,検
   査した子ども全員とリスク群に分類された子
   どもにおけるセシウム137の比放射能の平
   均値と最高値,子ども全員とリスク群の中央
   値,観察期間ごとの蓄積量の分布を示すグラ
   フなどが
含まれる。この分析でリスク群に分
   類されているのは,比放射能がもっとも高か
   った都市部の学童30人と農村部の学童15
   人である。
  3.多くの集落における測定は数年にわたり,
   また定期的に実施されたため,セシウム137

強制退避区域
●立ち退きになった村
図12.4 コメリ州ナロヴリヤ地区の子どもにおけるセシウム137による内部被曝量,?? 201)
    年(BELRAD database)。
 

?
の内部被曝量の変化を追跡できており,蓄積
  量と季節,年齢,性別などとの関係が明らか
  になっている。
4.ベラルーシ国内の,チェルノブイリに由来
  する放射性物質に汚染された地域で,子ども
  の体内におけるセシウム137の蓄積量を左
  右する因子には次のようなものが挙げられる。
  ・セシウム137による環境の汚染程度。
  ・個人の体質。
  ・居住地が都市か農村か(都市部の住民は工
   場で生産された食品を食べることが多いが,
   農村部の住民は地元で収穫したものを食べ
 
る傾向がある)o
・家庭の特徴(一人親家庭や低所得家庭。子
  だくさんの家庭の子どもは放射性物質の体
  内蓄積が多い傾向がある)。
・居住地の近辺に森林地帯や,雪解け時にど
  水する牧草地などがあるか。
・家事や調理の仕方(放射性核種を減ら寸二二
  めの調理法の習熟度)。
・農業で使用する肥料の量(・たとえば。カヅ
  ウム[K]肥料が不十分だとセシウム137が
  食物に移行しやすい)。
・林産物の収穫量(キノコ類が豊作だった
?

第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染
254
セシウム137の
体内蓄積量(Bq/kg)
浪浪so〜20
>ニゾ20〜100
朧類題100〜400
■■■400超
0   5  10 km
Liiii←!i
セシウム137による
土壌の汚染度(Bq/イ)
    3万7,000〜18万5,000
卜卜言18万5,000〜55万5,000
諾諾朧55万5,000〜148万
言願I? 148万超

  N

  S
20未満
20〜50
100〜500
500超
図12.5 ゴメリ州チェチェルスク地区の子どもにおけるセシウム137による内部被曝量,
    2010年(BELRAD database)。
 
2001年,2004年,2008年には,セシウ
  ム137の蓄積量が目に見えて増加した)。
・汚染度の高い森林でのキノコ類やベリ一類
  の採取制限に関する行政の指導。
・季節(蓄積量が最大になるのはキノコ類や
  ベリ一類の採れる10月と11月だが,乳
  牛が牧草地に放牧されるために5月にも
  蓄積量が増加することがある)。
・家族に猟師がいる場合(狩猟鳥獣肉の汚染
  は許容値の数百倍にもなる)。
・住民への的確な情報提供。
?
・放射線防護剤や排出剤の使用(第13章と
  第14章を参照)。
・子どもを健康に育てようとする親の意欲。
 子どもの体内におけるセシウム137の蓄
積量の変化によって, (条件的に)居住地を
つのグループ
に分けることができる。
・調査対象とした集落の65%で放射性核種
  の蓄積量が着実に減少している
(たとえば,
  ポレーシエ村[チェチェルスク地区]の2001
  年のリスク群とそれ以外の子どもにおける
  セシウム137蓄積量の平均値はそれぞれ

図12.6 ゴメリ州|レリチツィ地区の子どもにおけるセシウム137による内部被曝量,?? 2008
    年(BELRAD database)。
  
346 Bq/kg と103 Bq/kg, 2010年は34 Bq/
   kgと26 Bq/kg だった)。
  ・調査対象とした集落の35%では,セシウ
   ム137蓄積量に変化が見られないか,ま
   たは変化の度合いが少ない
(10%未満)。
  ・調査対象とした集落の5%では,セシウム
   137蓄積量が増加している。
5.子どもの体内のセシウム137蓄積量が過去
  10年間,目立って減少したおもな理由とし
  て,学校での汚染されていない無料の食事の
  提供と,子どもを対象に毎年実施される保養
  施設滞在
(ベラルーシ国内と国外)が挙げられ
  る。
6.子どもの体内のセシウム137蓄積量が増加
  した事例では,
汚染された食品の摂取量増加
  (たとえばキノコ類が大量に採れたとき)や,
  学校当局または保護者による放射線防護対策
  が不十分だったこと
などが関係していた。
7.ペルラド研究所による子どもの比放射能モ
  ニタリング結果の分析によると,子どもの体
?
第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染
255

図12.7 ゴメU州工Uスク地区の子どもにおけるセシウム137による内部被曝量,?? 2007
    年(BELRAD database)。
 
内におけるセシウム137蓄積量を左右する
  おもな食材
は林産物(野生動物の肉[狩猟鳥獣
  肉],ベリ一類,キノコ類)
と,これより例は
  少ないが牛乳が挙げられる。
8.ベルラド研究所が1995年から2010年にか
  けて実施しtzAQ万人の子どもの検査結果か
  ら,相対的に汚染度の高い升|に住む子どもの
  70%から90%で,体内に取り込まれたセシ
  ウム137蓄積量が15〜20 Bq/kg(年間外部被
  曝線量0.1 mSv に相当)を超えていることが
  明らかになった。多くの集落で子どものセシ
256
?
 ウム137蓄積量は200〜400 Bq/kg に達して
  おり,ゴメリ州,ブレスト州には2,000 Bq/
  kgを超える蓄積量の子どももいた。
9.セシウム137による最大級の内部被曝量
  (6,700〜7,300 Bq/kg)が,ナロヴリヤ地区Lゴ
  メリ州]のかなりの割合の子どもに認められ
  た。この地区の集落では, 1年間の外部被曝
  線量が1 mSv を超える子どもが全体の10%
  から33%に達していた(図12.4〜図12.7,表
  12.7)。
10.測定が実施されたゴメリ州エリスク地区

図12.8 ゴメリ州ヴァラフスク村において2000〜2005年にセシウム137が許容値を超え
    た食材の割合(BELRAD database)。横軸は各年を四半期に分けた目盛りを示し,縦
    軸は濃度が許容値を超えた食材の割合(%)を示す。
?
図12.9 ゴメリ州ヴァラフスク村の子どもにおける2000〜2005年までのセシウム137の
    比放射能平均値(1 kgあたりのBq値)(BELRAD database)。
 
ヴァラフスク村は人口800人,うち子ども
  は159人であるよこの村はセシウム137の
  汚染値が8.3 Ci/km^ト30万7,000 Bq/m^]の区
  域内にある。 2004年のデータによれば,実
  効線量は年間2.39 mSv で,内部被曝線量は
  年間1.3 mSv だった。
11.地域の食物汚染値(図12.8)と,子どもの
  身体に取り込まれた放射性核種の量(図12.9)
  とのあいたに相関が認められた。
   図12.8および図12.9は,汚染された食
  物の摂取に見られる(年ごとの)季節変化を反
  映し,それに伴う子どもの体内におけるセシ
  ウム137の蓄積も表している。パターンと
  しては,秋と冬(第3四半期と第4四半期)
  にとりわけ汚染度の高い食物(キノコ類,ベ
  リ一類,野生動物の肉[狩猟鳥獣肉Dの摂取が
  増加するため,汚染値が上がった。また
牛乳
  の汚染からは,冬期の餌として用意されたま
?
258
第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
 
ぐさに残留する高濃度のセシウム137がう
  かがえる。
12.??? 1995年以降2007年までにベルラド研究
  所が検査を実施したベラルーシの重度汚染地
  域に住む子ども約30万人のうち,およそ
  70%から90%が15 Bq/kg から20 Bq/kg(内
  部被曝線量年間0.1 mSv に該当)以上のセシ
  ウム蓄積量を示した。多くの村でセシウム
  137の蓄積量が200 Bq/kg から400 Bq/kg に
  及び,ゴメリ州およびブレスト州の一部の子
  どもでは2,000 Bq/kg(年間最大100 mSv)に
  も達した(表12.7)。
13.ベラルーシとウクライナにおいて,55万
  5,000 Bq/m^ のセシウム137に汚染された地
  域では,体内に取り込まれた核種の量が50
  Bq/kgという場合も珍しくなく,さまざまな
  疾患の罹病率呪例を参照]と死亡率が上昇す
  る一方,健康な子どもが減少した(Resolu-

 
tion[国際医学会議大会決議],2006;第2部も参
  照)。
?
14.放射性核種の取り込み量は臓器によって
  大きな違いがある(表12.8)。
15.ゴメリ州の住民におけるストロンチウム
  90の平均体内濃度が,?? 1991年から2000年
  にかけて目に見えて上昇した(Borysevich and
  Poplyko, 2002)。
16.チェルノブイリ事故に続く4,5年間,ゴ
  メリ州の住民におけるプルトニウムの内部被
  曝量は,総じて世界平均より3倍から判音
  高かった(Uohryakovetal.,1994)。
?

12. 2. 2.ウクライナとロシア
?
1.ジトーミル州(ウクライナ)の高汚染地域に
  住み続けていた5歳から16歳の1万4,500
  人におけるチェルノブイリ大惨事の10年後
  から14年後のセシウム137による内部被曝
  量は,検査対象の69.8〜72.0%が50 Bq/kg
  未満で,?? 30.2〜28.0%が50 Bq/kg 以上だっ
  た(高い数値を示したのは村に住む子ども)
  (Sorokman, 1999)。
2.ジトーミル州北部諸地区のうち,もっとも
  汚染された地域に住み続けていた3,737人の
  子どもを対象にセシウム137による内部
  被曝量を1991年から1996年にかけて測定
  したところ,最大値を示しだのはナロジチ地
  区,オレフスク地区,コロステニ地区,オヴ
  ルチ地区の子どもだった(土壌や食物の汚染
  程度とのあいたに相関が見られた戸Dubey,
  2001)。
3.??? 1年のうち,セシウム137による内部被曝
  量がもっとも高くなるのは6月である。セ
  シウム137による内部被曝量の平均値は
  1992年に下降が見られたが,1993年から
  1994年にかけて上昇した。セシウム137の
  蓄積量は,絶対量も相対量(体重1kgあたり
  のBq値)も加齢とともに増加する巾ubey,
  2001)。
?
表12.8 ゴメリ州の解剖臓器旧ウ素131に
    よる汚染のない1987年以降に生まれ
    た10歳以下の小児52体)におけるセ
    シウム137の濃度(1 kgあたりのBq
    値),?? 1997年(Bandazhevsky, 2003)。
?
4.カルーガ州(ロシア)における1992年以降
  2001年までの集団測定データによると,体
  内に取り込まれたセシウム137の比放射能
  が基準値を超える子どもが多かっか。 1996
  年には,?? 40.9%の子どもの比放射能が体重
  1kgあたり0.4 nCi[ナノキュリー][=14.8Bq]
  未満で,? 59.1%が0.4 nCi 以上だった(Tsyb
  etぼ/。, 2006b)。
5.ブリャンスク州ズルインカ地区(ロシア)で
  は,セシウム137による内部被曝量が住民
  の6%において2万5,000 Bq/kg 以上だった
  (Komogortseva, 2006)。
12.2.3.その他の国々
?
1.デンマーク:ストロンチウム90とセシウ
  ム137による人間への汚染が生じ,ストロ
  ンチウムはカルシウム[Ca]とともに セシウ
  ムはカリウムとともに同じ体内組織に濃縮さ
  れた。 1992年の成人の椎骨におけるストロ
  ンチウムの平均含有量は,?? 18 Bq(kg Ca)-i[カ
  ルシウム1kgあたり18 Bq]たった。チェルノ
  ブイリ事故後,セシウム137の全身測定が
  再開された。 1990年におけるセシウム137
  の平均測定値は,?? 359 Bq(kgK)-'[カリウム1
  kgあたり359 Bq]たった(Aarkrog et a/。, 1995)。
2.フィンランド:[事故が発生した]1986年末
?
第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染
259
      
図12.10 セシウム137の身体負荷量(単位はBq)。ミュンヘン(ドイツ)の(A)男性,?? (B)
     女性と,(C)グルノーブル(フランス)の成人(UNSCEAR, 1988)。
 
の時点ではセシウム134による身体負荷量*2
  の平均値は730 Bq で,セシウム137の平均
  値は同年6月から12月にかけて150 Bqか
  ら1,500 Bq まで上昇した。同年のセシウム
  134と137の身体負荷量のピーク値は,それ
  ぞれ6,300 Bq と1万3,000 Bq だった(Raho-
  la et a/。,1987)。
3.日本:チェルノブイリ事故前のセシウム
  137による身体負荷量は約30 Bq だったが,
  1986年に50 Bqを超え,1987年5月に至っ
  ても上昇し続けた。一方,英国では同時期の
  身体負荷量が250〜450 Bq だった(Uchiyama
  and Kobayashい988)。ヨウ素131の尿中ピ
  ーク濃度は成人男性で3.3 Bq/ml まで上昇し
  た(Kawamura et al。,1988)。
4.イタリア:1986年5月3日から6月16日
  までの期間,成人51人の甲状腺に取り込ま
  れたヨウ素131の平均値は6.5 Bq/g だった
  (Orlando ぬ高1986)。セシウム137の尿中
  排泄量のピークは,放射性降下物を含む主要
  な雲の1つが1986年5月5日に通過した
  300日から425日後に生じ, 1日あたり15
  〜20 Bqたった(Capra et a/。,1989)。
5.ドイツとフランス:旧ソビエト連邦の外側
  で生じた,チェルノブイ丿由来の放射性核種
  による人間への汚染についてのデータがある。
  図12.10はドイツとフランスにおけるセシ
260
第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
 
? ウム137の身体負荷量を示す。
6.英国:1986年の大惨事後,スコットラン
  ドの成人におけるセシウム134およびセシ
  ウム137の平均身体負荷量は,セシウム134
  が172 Bq,セシウム137が363 Bq.カリウ
  ム40[K-40]が4,430 Bq だった。またピーク
  濃度は,セシウム134が285 Bq,セシウム
  137が663 Bq だった(Watson, 1986)。 1987
  年のイングランドにおけるセシウム137の
  身体負荷量は250〜450 Bq だった(Uchiyama
  and Kobayashi, 1988)。英国において,頚部
  で測定した甲状腺へのヨウ素131蓄積量は,
  成人で最大33 Bq, 子どもで最大16 Bqに達
  した(Hill et al., 1986)。