(2013年12月議会参考資料一部より)

 

1. 子ども実年齢見合っていない早期老化  

2.若年性白内障歯と口の異常血液,リンパ,心臓,

消化器, 泌尿器および皮膚の疾患

   3.染色体異常細胞率は精神病理学的症
   状
を患う人に高く,染色分体異常
   細胞率は
無力症強迫恐怖症候群を患
   う人に高い

  染色体切断率は,甲状腺機能低下や,
   奇形と相関がある


染色体切断
  率は,新生児における免疫制御系失調の発生
  率と符合する。

先天性奇形の発
  生率は,汚染値が15 Ci/km^[=55万5,000 Bq/
  m^]以上の地域で高い

染色体異常数,小核数,および点突然変異
  の率は,甲状腺がんを患う子どもにおい
  て高い

汚染地域に住む人は,腫瘍細胞ばか
  りでなく「正常な」組織でも染色体異常細胞
 率が高い。

精子の構造異常の発生率と,染色体異常の
  発生頻度には相関がある
。 ゲノム構成における変化が,チェルノブイリ大惨事の最初
の危険な兆候だったことだ。数々の変化が放射線
の放出後数日のあいだに起こり,さまざまな疾患
の発生率を上昇させた。

  広島や長崎で放出され
たものより遺伝学的にはるかに危険である。なぜ
なら,チェルノブイリのメルトダウンで放出され
た放射性核種は量において数百倍も膨大で,種類
も多いからだ。


 遺伝的影響は何億人に
も及ぶ。曝された人びとストロンチウム90[Sr-90]やセシウム137は放射線量が環境放射線の値にまで下がるのに少なくとも300年を要するところ,
プルトニウムやアメリシウム[Am]は,そのきわめて危険な放射能が完全に減衰するのに1,000年単位の時間を要する。被曝した親から子へと7世代にもまたがる人びと
内分泌系の
  甲状腺は,成人では体内に入
った放射性ヨウ素全量の最大40%を,子どもで
は最大70%を集積する。また,脳下垂体はヨウ素を通常の非
放射性ヨウ素の5倍から12倍の水準で能動的に
取り込む。内分
泌系のこれら2つの重要な構成器官が,事
故後から数週間の「ヨウ素期」に放射
線に曝露した。

 あらゆる生
理機能は複合的な機能を司る内分泌器(膵臓,副
甲状腺,甲状腺,副腎,卵巣,精巣)に依存して
おり
  身体および知能の正常な発達には
甲状腺が適
切かつ適時に働く必要がある。
胎児や新生児が甲
状腺に損傷を負うと,
知的能力が抑えられたまま
一生を送ることになる
かもしれない。

   4.急速な変化見舞われた結核菌肝炎ウイルスヘルペスウイルス

タバコモザイクウイルス,サイトメガロウイルスおよび土壌細菌

,さまざまな場面で活発になった微生物個体群の病原性が強まった   

5.265集落(都市および村落)における40万人の子どもの測定
   結果が掲載されている。

 各集落における測定結果の分析には,共通する社会的・人口動態的データセシウム
  
137の内部被曝検査が実施された全日程,検査した子ども全員とリスク群に分類された子
   どもにおけるセシウム137の比放射能の平均値と最高値,子ども全員とリスク群の中央
   値,観察期間ごとの蓄積量の分布を示すグラフなどが
含まれる。この分析でリスク群に分
   類されているのは,比放射能がもっとも高かった都市部の学童30人と農村部の学童15
   人である。  多くの集落における測定は数年にわたり, また定期的に実施されたため,セシウム137
の内部被曝量の変化を追跡できており,蓄積量と季節,年齢,性別などとの関係が明らかになっている。

   6.安全を確保するもっとも簡単 な方法は,食物に取りまれた放射性核種をモニ タリングすること。ベラルーシの多くの場所で,
体内に取り込んだガンマ線放出核種の量を ホールボディカウンターによって測定した結果を 分析するとともに地元産の食物を対象に放射能 モニタリングを行ったところ,セシウム137に よる食物の汚染と,人間が体内に取り込む放射性核種の量とのあいだに高い相関が見られること, とりわけ子どもたちにそれがいえることが明らか
になっている。子どもと成人の食事内容が同じ場合,子どもは体重が軽く,また新陳代謝が活発なので,地元産の食材から受ける集積線量は成人の5倍に達する。農村に暮らす子どもが受ける集積線量は,都市部の同年齢の子どもより5倍から6倍も多い。
   

7.ペクチン含有腸内吸着剤に よる体外排出の成果
  ペクチンは消化器の中でセシウムのような陽イ オンと化学的に結合し,排便を通してセシウム137
排出量を増やすことが知られている。
「ゾステリ
  ン・ウルトラ[Zosterin-UltraR]」の商品名で知
  られる製剤は,ロシアの原子力産業で集団予
  防に用いられていた。非吸収性ペクチンであ
  るゾステリンの血液注射は,栄養摂取や新陳
  代謝その他の機能には害を及ぽざない。液状
  経口薬「ゾステリン・ウルトラ」は腸内吸着
  性および血液吸着性があり,生物学的に即効
  性の(言いかえれば治療効果のある)食品添加
  物として,ウクライナ保健省(1998年)およ
  びロシア保健省(1999年)により認可された。
 1996年,ペルラド研究所はセシウム137
  の排泄を促進するためにペクチン含有食品
  (フランスの「メデトベクドMedetopectR」」
  およびウクライナの「ヤブロペクト
  [YablopectR]」)にもとづく腸内吸着療法を開
  始した。 1999年,同研究所はヘルメス社(本
  社:ドイツ,ミュンヘン市)と共同で,「ビタ
  ヘクト
[VitapectR]」の商品名で知られるリン
  ゴペクチン含有の合成食品を開発した。ビタ
  ヘクトは粉末状で,ビタミンBi,B2,B6,Bi2,
  C,E,およびベータカロチン,葉酸を補った
  濃縮ペクチン(18〜20%)と,カリウム,亜鉛,
  鉄,カルシウムなどの微量元素,および香料
  からできている。
  

8.農作物に残留する放射性核種の濃度を下げ
  るためには‥ストロンチウム90の措抗体と
  して石灰/カルシウム肥料,セシウム137
  の措抗体としてカリウム肥料,水溶性の硬質
  リン酸塩を形成しストロンチウム90を沈殿
  させるリン酸肥料・,さらにゼオライト,水面
  下の腐植質堆積土壌(gyttja)その他,天然の
  措抗体や吸着体を用いることが有効である
 
  

9. その程度を 問わず,あらゆる生物の体細胞および生殖細胞に影響を及ぼす。 診療録の組織的隠蔽と是正不能な改
   ざん。[免疫系など]への影響。
チェルノブイリ事故に由来する死者数は
大惨事後の15年間で23万7,000人近くに達した。
  1987年から2004年にかけてのチェルノブイ
  リ事故による死者数は,前回の3国以外の
  ヨーロッパ諸国とアジア,アフリカで計46
  万2,000人近く,北米では33万1,000人近
  くにのぼったと仮定してまず間違いなく,全
  世界ではほぼ100万人に達していたことに
  なる。
チェルノブイリの犠牲者は今後,数世代に
  わたって増え続けるだろう。

10.

二次的放射能汚染

が起きている

(さらに今後も起き続ける)。

放射性核種は再循環するため,

 

[消滅や崩壊には]

予測より

ずっと長い時間

がかかっている。

 

安全とみなされるレベル

(年間1 mSv)まで

下げるためには,
 

以下を実践するとよい。
 

・菜園,牧場,干草用の草場など,

すべての農地に

無機肥料を年3回以上施肥する。
 

・地元産食材として

重要なキノコ類,ナッツ
   類,ペリ一類に含まれる

セシウム137を
効果的に減らすため

集落から半径10 km
   範囲内の森林に

カリウム[K]と

溶解性リグニン

施用する。
 

放射性核種の排泄を促進

するため,

少なくとも年4回,

天然ペクチン性

腸内吸着剤
)を支給し, 1
ヵ月のあいだ各自で規則的に摂取してもら

う。

 

幼稚園や学校に

通う子どもには

ペクチン入りジュースを

毎日飲ませるようにする。

 

牛乳,肉類,魚介類,野菜,その他の地元産食品における

放射性核種含有量を

減らす

防護対策

をとる。

 

・食肉用家畜の肥育に

腸内吸着剤

(フェロシアン化物など)

を利用する。


  疾病水準を下げ,

保養を促進するためには,
汚染地域において

以下を提供するとよい。

年に3度(子供),

年に1度(大人),

ホールボディカウンター

[人間の体内に

取り込まれ,

沈着した

放射性物質の量を

体外から測定する装置]

を用いて

1人ひとりの

体内放射性核種の

蓄積量を

実測すること

(子どもは3ヵ月ごとの実施が必要)。

・EPR線量測定

[電子スピン共鳴(EPR)線量測定]

染色体異常数の測定

などにより,

大惨事当初からの

各自の外部被曝線量を

再現すること。

 

 

 

第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
   
??
第14章
チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための
        放射線防護策
アレクセイ・V・ネステレンコ,ヴァシリー・B・ネステレンコ
ベラルーシ,? ウクライナ,?? ロシアの放射能汚染地域に暮らす人びとの被曝量は,体内に取り込まれる放射
性核種のため,1994年以来,増加し続けてきた。放射能に汚染された全地域の人びとの健康を守るには,
農林業や狩猟,漁業について特別な防護策が不可欠である。食肉の生産過程における対策としては, フェ
ロシアン化物,ゼオライト,ミネラル塩のような食品添加物を加えると,肉に含まれる放射性核種の量を
減らす効果があることが判明している。農作物中に残留する放射性核種の量は,ストロンチウム90 [Sr-
90]の桔抗体として石灰/カルシウム[Ca]肥料,セシウム137[Cs-137]の桔抗体としてカリウム[K]肥料,
また,ストロンチウム90と結合して水溶性の硬質リン酸塩をつくるリン肥料を用いると有意に減少する。
無機質土壌の牧草地では有機肥料と無機肥料を施用し,円板型耕耘機(ディスクハロー)による耕耘と再耕
起を行うと,セシウム137とストロンチウム90の濃度を3分の1ないし5分の1にまで減らすことがで
きる。食物中の放射性核種の量を低減する製造技術として,穀物種子の洗浄,ジャガイモのデンプンへの
加工,炭水化物を含む農産物の糖への加n,牛乳のクリームやバターへの加工がある。食材中の放射性核
種を減らす簡単な調理法もいくつかある。ベラルーシでは植林事業などを活用して「生きた隔離壁」を作
り. 放射性核種が生態系に再拡散するのを抑えている。ヨーロッパの多くの地域で,今後何世代にもわた
り,このようなあらゆる防護策が継続的にとられなければならない。
  チェルノブイリ大惨事の結果,何百万ha[ヘク
タール]もの農地が3万7,000 Bq/m^ を超す危険な
濃度のセシウム137で汚染されている。汚染さ
れた農地はベラルーシでは180万ha,ロシアで
は160万ha,ウクライナで120万臨にのぼる。
ベラルーシ農業・食糧省によると,現在,農作物
が生産されている農地のうち,セシウム137に
よる汚染濃度が3万7,000〜148万Bq/m^に達す
る面積はno万haを超え,さらに38万haの農
地が5,550 Bq/m^を超えるストロンチウム90に
よって汚染されている。ゴメリ州では令農地の
56%が,モギリョフ州では26%が汚染されてい
る。ベラルーシ,ロシア,そしてウクライナの何
百万hもの森林(ベラルーシでは全森林地帯の
22%を超える而積)が危険な濃度の放射能に汚染
されていると推測される(National B山russian
Report[べラルーシ公式報告書], 2006)。500万を超
える人びとが,ベラルーシ,ウクライナ,ロシア
の汚染地域に暮らしている(詳細は第1章を参
照)。そればかりでなく,スウェーデン,?? ノルウ
ェー,スコットランド,ドイツ,スイス,オース
トリア,イタリア,フランスやトルコでも,牧草
地,森林,山地,湖沼で,いまだに相当な放射能
汚染が見られる。
  大惨事から25年にわたり,何千人もの科学者
や専門家の献身的な活動のおかけで,天然資源の
利用(農業,林業,狩猟など)と結びついた汚染の
危険を低減する,各種の方法や実践的な対策が生
み出されてきた。これらの方法や対策の全成果を
包括的に再評価しようとすれば,それだけで別の
研究論文が必要になるだろう。この短い章では,
汚染地域における毎日の暮らしのなかで利用され
る天然資源について,放射線防護のためのいくつ
かの基本的な方法を総説するにとどめる。
?
第14章 チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための放射線防護策
271
14.1.農業における放射線防護策
1。生産物に含まれる放射性核種の量を「許
  容」範囲内に抑えることが不可能な地域では,
  農地は放棄されている。そうした土地はベラ
  ルーシでは26万5,000 ha,ウクライナでは
  13万ha.ロシアでは1万7,000 hバこのぼる
  (Alcksakhin et al。,2006)。
2.放射能に汚染された農地では,食材中のセ
  シウム137とストロンチウム90の汚染を許
  容値内に抑えるため,才l壌と生産過程の両面
  でモニタリング[監視]が義務づけられ,これ
  が最終生産物の管理技術の一環をなしている。
  ここでいう「許容値」とは,年間の実効等価
  線量を1 mSv 未満に抑えるために各食品
  の1人あたり年回平均摂取量を合計するこ
  とによって求める。たとえば牛肉と羊肉にお
  けるセシウム137の許容値は,ベラルーシ
  では重量1kgあたり500 Bq を超えてはなら
  ず,ロシアとウクライナでは160 Bq/kg を超
  えてはならない。また,小麦粉とグロート
  (殼なしのソバの実)については90 Bq/kgを
  超えてはならない(Bagdevichば≪/.,200l)。
  各囚はそれぞれ独白の放射線防護政策をとっ
  ている。
3.農作物に残留する放射性核種の濃度を下げ
  るためには‥ストロンチウム90の措抗体と
  して石灰/カルシウム肥料,セシウム137
  の措抗体としてカリウム肥料,水溶性の硬質
  リン酸塩を形成しストロンチウム90を沈殿
  させるリン酸肥料・,さらにゼオライト,水面
  下の腐植質堆積土壌(gyttja)その他,人然の
  措抗体や吸着体を用いることが有効である
  (Aleksakhin et a/。,1992;他多数,表14.1)。
4.ベラルーシでは,汚染された全農地の半分
  近くが牛乳や食肉の生産を支える牧草地(草
  原や牧野)である。円板型耕耘機を使って牧
  草地を耕し,有機肥料や無機肥料をすき込む
  ことで,無機質土壌の牧草の亜に蓄積される
272
第ヰ部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
表14.1 植物生産におけるセシウム137およびストロン
    チウム90の濃度低減効率(Gudkov, 2006) 。


石 灰
リン[酸]肥料
力Uウム肥料
有機肥料
O haあた0 40 t)
石灰,無機肥料,有機肥料
をあわせて施肥し見場合
無機質土壌用の吸着剤
低 減 係 数
Cs-137
-
1.5〜4
1.5〜2
1.8
1.5〜3
2〜5
  Sr-90
1.5〜2.5
1.2〜1.5
  なし
1.5〜2
2〜4
(ゼオライト,バーミキュラ  1.5~2.5  1.5〜2
イト,ベントナイトなど戸
゛大|参事後5年以内の使用がもっとも効果的(Kenik, 1998几
?
  セシウム137およびストロンチウム90の濃
   度を3分の1から5分のTりこ減らせる。こ
   うしか根本的な処置を泥炭土壌の牧草地に施
   すことでセシウム137を迅速かつ大幅に低
   減できるが,ストロンチウム90にはそれは
   どの効果はない。耕作された牧草地には土壌
   劣化が生じるため,上記のような牧草地の施
   肥による反復更新は3年から6年ごとに行
   う必要がある。
  5.これまでに述べたとおり,放射線防護策は
   大規模な国営農場や集団農場では効果をあ
   げている。一方,ベラルーシの農業生産の
   50% 以上を支える小規模な民回農場や個人
   経営の農場では,これらの対策が徹底してい
   るとはいえない。一般にベラルーシの民間
   農場には1頭の乳牛につき,乾草用の牧草
   地と耕種する改良放牧地があわせて約lha
   ある。しかし,乳牛の維持にこれだけでは足
   りないので,農業者は,耕作牧草地より放射
   能汚染濃度の高い,草の生い茂った林間の空
   き地や耕作不適地から干し草を手に入れなけ
   ればならない。そのため,十分な放射線防護
   策をとらずに農業生産を行う集落は今も多数
   ある。そのような集落はベラルーシとウク
   ライナでそれぞれ300ヵ所を上回り,ロシ
   アでも150ヵ所を超える(Kashparov et al。,
   2005)。
?
表14.2 畜産におけるセシウム137およびストロンチウ
ム90の濃度低減効率(Gudkov, 2006卜
表14.3 食材に残留するセシウム137やストロンチウム
    90の濃度低減効率(Gudkov, 2006),.
?
6。大惨事後20年の時点では,ベラルーシの
  民即農場が生産する牛乳の約10%から15%
  で許容値を超えるセシウム137が検出され
  ていた。 2006年には,[個人社廿の]酪農家の
  牛乳から1,000 Bq/liter という高い値のセシ
  ウム137が検出される甘例か複数あった。
  2004年,ゴメリ州で生産された約12%の牛
  肉が160 Bq/kg を上回るセシウム137で汚
  染されていた(BELRAD database じベルラド研
  究所データベースD。
フ。畜産において食肉中の放射性核種濃度を下
  げるのに有効な対策(表14.2)や,食材中の放
  射性核種濃度を低減できる食品加工技術(表
  14.3)がいくっかある,
8.表14.4は。放射能汚染地城で汚染のない
  畜産を実現するための,おもな既知の化学的,
  薬理的な放射線防護対策のリストである。
9。農業生産の過程で放射線量を下げるこれら
  の対策はすべて,資材と労力を余分に必安と
  する。 したがって,汚染地域における経詩効
  率は低くならざるをえない。こうした対置が
  とられ,補助金が出ても。放射能汚染地域で
  の農業生産は依然として困難であるため。農
  家はしばしば,食肉生産用の牧畜。油谷作物
  やその他の工芸作物などの生産へと頃突を特
  化することになる?????
14.2.林業,狩猟業,漁業における
    放射線防護策
  ベラルーシに降下したチェルノブイリ由七丿良
射性核種の約70%は森林地帯に蓄積した 犬牛
事直後,放射性核種による森林汚染は木や仁丿三
面の汚染が大部分だった。セシウム137とスト
?
第14章 チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための放射線防護策
273?ロンチウム90は土から根を経て吸収され,木質
部や他の部分に達するっセシウム137の比放射
能*2[身体負荷敏]は,野生のベリ一類やキノコ類
で2万Bq/kg.乾燥キノコ類では15万Bq/kg.
そして野生鳥獣の肉E狩猟鳥獣肉]では25万Bq/kg
を超すこともある。内陸の貯水池で養殖されてい
る捕食性の魚からは30万Bq/kgを超すセシウム
137が検出される場合もある(詳細は第3部を参
照卜
  1.?? 1986年から1987年には原発から半行頷
   kmに設定されていた強制退避区域でも,ま
   た移住義務区域でも,個人の被曝線量が5.0
   mSvを超える危険があるため,すべての林
   業活動が禁止されているっ移住義務区域では
   恒久的な家屋[定住]が禁止され,経済活動も
   厳しく制限されている。移住義務区域とは,
   強制退避区域の外側にあり,土壌の汚染濃度
   がセシウム137で15 Ci/km^ト55万5,000
   Bq/m^],ストロンチウム90で3 Ci/km^ト11
   万1,000 Bq/m几 プルトニウム239[Pu-239]と
   プルトニウム240[Pu-240]の合計で0.1 Ci/
   km^[=3,700 Bq/m^]のどれかを超える場所を
   指すニ移住義務区域には。汚染I:壌から放射
   性核種が植物に移行するために放射能濃度が
   下がった地域もある。
  2.ベラルーシ政府の公式データによれば,人
   惨事後の数年間,林産物(野生のベリ一類,
   キノコ類,薪など)の放射線量は,国産の農
   業製品(牛乳,パン,シリアルなど)を上回り
   ていた。
  3.大惨事の10年後には,樹木の地中部分に
   蓄積した放射性核種の量は倍増し,森林生態
   系に蓄積された総量の15%に達した。ベラ
   ルーシでは現在でも,林業従事者は環境の放
   射能汚染により,農業従事者の2倍から3
   倍も外部被曝している。
  4.林業従事者の放射線被曝リスクを減らすた
   めに提案されているおもな対策には次のよう
   なものがある。(a)汚染地域の滞在時間を短
   くする。(b)最大限に機械化し,人間の手作
274
第4部 チェルノブイリ人惨今後の放射線防護
一一一一
  業を最小限に抑える。(c) ifンマ線[7線]放出
  核種による被曝防護のため,農業用車両や機
  器などの運転台に個人川の安全装置と遮蔽板
  を設置する。(d)森林への立ち入りを特別許
  可制にする。(e)林内作業に季節ごとの規制
  を設ける(Maradudin et a/。,1997)。
5.汚染値は上昇しており,汚染された薪が燃
  料として,また放射能をおびたその灰か肥料
  として使われることでさらに悪化すると考え
  られる。このような水材の使用によっても人
  の被曝線量が増すだろう,
  6.林産物のなかでもっとも汚染されているの
   はキノコ類,ペリ一類。ヘーゼルナッツであ
   る。すべてのキノコ類やベリ一類の50%近
   くがセシウム137の許容値(370 Bq/kg)以上
   に汚染されていた。ベラルーシでは, 1人あ
   たりの年間内部被曝線量の最大40%がこう
   した林産物の消費による。上壌汚染が3万
   7,000 Bq/m2(1 Ci/km^)未満の地城でも,林
   産物中のセシウム137は許容値を超えて残
   留し続けている。
フ。ベラルーシ国立アカデミー森林研究所が明
   らかにしたところによれば,森林は「生きた
   隔離壁」として,放射性核種が生態系の中で
   匹拡散するのを防ぐ役割を果たすことができ
   る。ゴメリ州のヴェトカ地区とエリスク地区
   における森林の複数区域に設けられた試験区
   汲ナは,特別な森林管理と再生方法を用いて
   樹木の根,ペリ一類,キノコ類の放射性核種
   濃度を最大フ分の1にまで減らすことがで
   きた(Ipat'ev,2008)。
8.汚染された森林地域から近隣地域に水や
   風による侵食で放射性核種が拡散するのを防
   ぐためには,侵食された上地の森林を再生す
   ることが必要である。気流によって汚染地域
   から数百kmないし数千km先まで放射性核
   種が拡散するのを食い止めるには,森林火災
   を防ぎ,消火効率を改善するあらゆる努力も
   欠かせない。残念ながら1992年の森林火災
   では,このような努力は払われなかった。

9。土壌のセシウム137の量が15 Ci/km^ を超
  える地域では,野生鳥獣肉の摂取は危険であ
  る。 15 Ci/km^ にまで汚染された地域では,
  狩猟動物の食品加工に対する全面的な管理が
  義務づけられなければならない。汚染地域で
  は,イノシシとノロジカについて,若い個体
  より放射性核種の蓄積量が低い2歳以上の
  個体を[狩猟の]対象とすることが推奨される。
10.ヘラジカの場合は条件が逆転し,体内に
  取り込んだ放射性核種の蓄積量は,成長した
  ヘラジカに比べて若い個体の方が有意に低い。
11.狩猟動物の内臓(心臓,肝臓,腎臓,肺な
  ど)における放射性核種の濃度は,筋肉組織
  よりも有意に高い。
12.主要な狩猟動物種における比放射能は,
  高い順にオオカミ,キツネ,イノシシ,ノロ
  ジカ,ウサギ,アヒル,ヘラジカとなる。
13.汚染地域では,同じ種類の魚でも,河川
  で漁獲した魚のほうが,湖沼で獲れた魚より
  含まれる放射性核種の濃度が有意に低い。植
  食性の魚は,捕食性の魚(ナマズやカワカマ
  スなど)に比べ,放射性核種の蓄積量が3分
  の1から4分の1である。[水の低層に生息す
  る]底生魚(フナやテンチなど)は,[水面近く
  に生息する]表層魚(雑魚やチャブ[ウグイ類]な
  ど)に比べて汚染度が数倍高い。
14.溜池での魚の養殖において,魚の放射性
  核種汚染を有意に減らす効果的な方法には,
  池の底を最大50 cm の深さまで掘り起こし
  て流水で洗い出す方法,カリウム肥料を使用
  する方法,ビタミンや抗酸化物質(放射線防
  護剤)を添加物として餌に混ぜて与える方法
  などがある(Slukvin and Goncharova, 1988)。
  14.3.日常生活における放射線防護策
?
 放射線防護ないし自助対策の手引きとしては,
Ramzaev, 1992; Nesterenko, 1997b; Beresdorf and
Wright, 1999; Annenkov and Averin,2003; Baben-
ko, 2008; Parkhomenko et al・,2008をはじめ多数

の文献がある。
  食品中の放射性核種を避けることはきわめて重
要で,もし取り込んでしまった場合には,できる
だけ早く体外へ排出するように努めることが大切
だ。セシウム137の生物学的半減期*3は,乳児で
14日,?? 5歳児は21日,10歳児では49日,十代
で約90日,若い成人男性では約100 Bである
(Nesterenko, 1997b)。
  1.放射性核種の取り込みを減らすためのもっ
   とも直接的な方法は,重度に汚染されている
   可能性がある食品を避け,汚染の比較的少な
   い食品を食べるように心がけることである。
   しかし,放射性核種の生物濃縮の平均値が,
   土壌や栽培品種,農業技術などの違いによっ
   て地域ごとに異なるため,それは容易ではな
   しゝ。
    食品について,異なる汚染度の例をいくつ
   か以下に紹介する。
   1.1.野菜類:ベラルーシの一部地域におけ
     る野菜のセシウム137含有量は,多い順
     にスイートペッパーLピーマン],キャペ
     ツ,ジャガイモ,アカビーツ[食用ビー
     ト],ソレル[スィバ],レタス,ラディッ
     シュレりカダイコン],タマネギ,ニンニ
     ク,ニンジン,キュウリ,トマトと並ぶ。
     同じくゴメリ州における野菜のセシウム
     137含有量は,多い順にソレル,マメ[イ
     ングン],ラディッシュ,ニンジン,アカ
     ビーツ,ジャガイモ,ニンニク,スイー
     トペッパー,トマト,スクワッシュ[カ
     ボチャの一種],キュウリ,キャベツ(コ
     ールラビ),カリフラワー,コールウォ
     ート[アブラナ属の葉物]と並ぶ(Radiology
     Institute[放射線研究所],2003)。
   1.2.ペリ一類:ペリ一類のセシウム137含
     有量は,多い順にブルーベリー(ビルペ
     リー[Vacdnium myrtillus]],カウベリー(コ
     ケモモ(厖cci面im vitis一idaea]),アカスグリ
     [レッドカラント]とクロスグリ[Ribes sp.],
     クランベリー(ツルコケモモ[Oxycc
第14章 チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための放射線防護策  275
    palustris])と並ぶ。そして通常,その下に
    イチゴ[Fr曜ga7'ia],グズペリー[Grossularia]),
    シロスグリ,ラズベリー[Rubus],および
    ナナカマド属[sorbus]などが続く。
  1.3.肉類:肉類のセシウム137含有量は,
    多い順に鳥肉Eニワい八 シチメンチョウ,
    アヒルなど],牛肉,羊肉,豚肉と並ぶ。
    若い個体より,年齢の高い動物の肉ほど
    経年による放射性核種の蓄積が多い。若
    い動物の骨にはストロンチウム90が高
    年齢の個体より多く含まれる。動物の内
    臓のセシウム137含有量は,多い順に肺,
    腎臓,肝臓,脂肪と並ぶ。
  1.4.卵の部位別のセシウム137含有量は,
    多い順に卵の殻,卵白,卵黄となってい
    る。
  1.5.魚介類:底生の捕食魚(カワカマス,
    スズキ,コイ,ナマズ,テンチなど)は
    相対的に汚染度が高く,河川の魚のほう
    が湖沼の魚より常に汚染度が低い。
  1.6.キノコ類:通常,柄より傘に多くのセ
    シウム137が蓄積される。ハラタケ口の
    キノコ類は,ヤマドリタケ属(イグチ剛
    より放射性核種を多く蓄積する。
2.セシウム137の生物学的特性は安定なカリ
  ウムやルビジウム[Rb]と似ており,ストロ
  ンチウム90とプルトニウム[Pu]はカルシウ
  ムと似ている。これらの特性によって放射性
  核種が身体のどこに集まるかが決まるため,
  似た特性をもつ安定元素を摂取すると,放射
  性核種の吸収低減に役立つ可能性がある。
   カリウムが豊富に含まれる食品にはジャガ
  イモ,トウモロコシ,マメ類,アカビーツ,
  レーズン叶しブドウ],乾燥アンズ,茶葉,
  ナッツ類,レモン,乾燥プルーンなどがある。
  カルシウムに富む食品には牛乳,卵,マメ類,
  ホースラディッシュ[西洋ワサビ],ネギ,カ
  ブ,パセリ,ディル,ホウレンソウなどがあ
  る。葉物野菜,リンゴ,ヒマワリの種,黒チ
  ョークペリー[アロニア],ライ麦パンなどは
276
第4部 チェルノブイリ人惨事後の放射線防護
  鉄分に富んでいる。ルビジウムは赤ブドウに
  多い。
3.食事によって放射能汚染から身を守るには,
  放射性核種のずばやい排泄を促すためにペ
  クチンと繊維質を豊富に含み,放射能汚染の
  ない果物や野菜を取り入れるべきである。
4.果汁など飲み物をたくさん飲むことで,尿
  とともに汚染物質の排泄が促進される。
5.抗酸化物質として,ビタミンA,C,Eや,
  亜鉛[Zn],コバルト[Co],銅[Cu],セレン
  [Se]といった微量元素を毎日の食事に加える
  ことが望ましい。
6.放射能汚染に曝される人びとは,たとえば
  ビタペクト(第13章を参照)やリンゴ,緑藻
  類(スピルリナ属),モミの針葉などから作ら
  れた特別な食品添加物含有食品を摂取すべき
  である。
フ。放射性核種を減らす簡単な調理方法がいく
  つかある。すなわち,食材を数回茄で,茄で
  汁を捨てること,食材を徹底的に洗うこと,
  食材によっては水に浸け,浸けた水を捨てる
  こと,果物や野菜を皮ごと食べないこと,食
  材によっては塩漬けやピクルスにし,漬け汁
  を捨てること,煮詰めたブイヨン[動物や野菜
  を長時間煮込んだ出し雨は避けること,精製
  バターを使うことなどである。
14.4.結 論
  チェルノブイリ大惨事発生後の世界各国の経験
からわかるのは,放射性降下物の影響から身を守
るための情報や方策を知らされなかった国の市民
は,知らされた国の人びとより多くの難題を抱え
たことである。 1986年に緊急防護策が何もとら
れなかったブルガリアにおける「平均的」個人の
実効被曝線量*2は0.7 mSv から0.8 mSv で,「平
均的」ノルウェー人の約3倍だった。ノルウェ
ー政府は葉物野菜の摂取や生乳の飲用を禁止し
汚染された肉を廃棄したほか,家畜を小屋につな
ぎ,牧野や貯水池を使用禁止にし,処理前の家畜
?
に汚染されていない飼料を与えるよう義務づける
などの措置をとった。そのため,ブルガリアのほ
うがノルウェーより汚染の程度は相当低かったに
もかかわらず,個人の被曝線量においてこのよう
な不均衡が生じたのである(Energy, 2008)。
  自然の放射性崩壊で放射能は減っていくにもか
かわらず, 放射線被曝のもっとも危険な形である
放射性核種の体内吸収のため,?? 1994年以来,ベ
ラルーシ,ウクライナ,ロシアの汚染地域に暮ら
す人びとの放射線被曝量は増加し続けている。
  チェルノブイリ由来の放射性核種は土壌中で植
物の根圏に移動し,根から植物に吸収され,地表
部分に移行して食用部分に取り込まれていく。農
産物や林産物に取り込まれた放射性核種は食物連
鎖に入り込み,その食材を口にする人びと全員の
放射線による危険性を著しく高めている。現在,
もっとも注意を要する汚染物質はセシウム137
とストロンチウム90だ。しかし数年後には状況
が変わり,アメリシウム241[Am-241]がきわめて
深刻な問題になるだろう(1.5を参照几
  今後,少なくとも6世代からフ世代にわたり,
ベラルーシ,ロシア。ウクライナの広大な地域に
おいて,農業,林業,狩猟業。漁業の各分野で放
射線被曝を抑えるために特別な対策を講じていか
なければならない。この点は,スウェーデン,ノ
ルウェー,スイス。オーストリア。フランス,ド
イツなど高濃度の放射能汚染地域を抱える他の多
くの国々も同様である,換言すれば,[自然をベー
スとした]全生産物の放叶匪核種含有量を最小限に
抑えるためには。外部から地域経済への資金援助
や寄付が必要になるだろう。というのも,現実問
題として多くの地域には。モニタリングや啓発,
実施義務づけの資金がないからだ。これまで述べ
たように放射能汚染問題は[放射性崩壊や核種の
変化に見られるとおり]動的変遷を伴い,持続的な
モニタリングと管理を必要とする。たとえば,セ
シウム137とストロンチウム90については少な
くとも今後150年から300年が要監視期間とな
る。さらに幅広い放射性同位体による汚染もまた
動的に変化していくため,不断のモニタリングと
管理が半永久的に必要だろう。
第14章 チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための放射線防護策
277
?

第4部 結 論
  1986年の晩春から初夏にかけて,チェルノブ
イリ原子力発電所から放射能が放出され,何億人
もの頭上に降り注いだ。そうして積もった放射性
核種の量は,広島の原爆の何百倍にも及んだ。
  何千万もの人びとの日常が破壊された。現在も,
危険な水準に汚染された土地,すなわち,今後何
十年も何世紀にもわたって汚染が続くことになる
土地に600万人以上が暮らしている。そこで
日々,「どう暮らせばいいのか,どこで暮らせば
いいのか」が問われる。
  チェルノブイリの放射性降下物に汚染された地
域では,農業を安全に営むことは不可能であり,
林業,漁業,生業としての狩猟業に安全に従事す
ることも不可能であり,地元産の食材を使うこと,
牛乳を飲むこと,場合によっては水を飲むことさ
え危険である。こうした地域の住民は,生まれ来
る息子や娘を,被曝による奇形という悲劇から守
るにはどうすればいいかと問いかける。この核心
的な回いは,大惨事後まもなくリクビダートル
[事故処理作業員]の家庭でもち上がったもので,
そこではすでに手遅れのケースが多かった。
  この間に個人レベルの放射線防護への取り組
みや,放射能ゼロの農業生産支援,より安全な林
業の営み方など,汚染地域に暮らす人びとの農
業・林業のリスク最小化に向けた複合的な対策が
案出された。
  汚染地域の住民に対する支援努力を主導してい
るのは,ほとんどの場合,国が運営するプログラ
ムだ。こうしたプログラムの問題点は,「チェル
ノブイリ由来の放射性降下物こそが災いのもと
だ」とする非難を最小限に抑えたいと願いつつ,
支援を提供するという二重性にある。
278
第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
  被曝の影響に苦しむ人びとの生きづらさを軽減
するためには,体内に取り込まれた放射性核種の
モニタリング[監視]と全食材(例外なくすべて)の
モニタリング,客観的手法による1人ひとりの
蓄積量の特定,医療相談や遺伝相談(特に子ども
について)の提供に向けて,大がかりな啓発活動
と組織的取り組みを進めなければならない。
  人惨事から25年以上を経た現在,放射性核種
の環境中の移動に伴って,こうした地域の危険度
は減るどころか増しており,今後も長年にわたっ
て増え続けることだろう。だからこそ支援プログ
ラムを拡大し,いまなお苦難の生活を送る汚染地
域の人びとに手を差し伸べる必要がある。そのた
めには国際的なもの,国によるもの,州レベルの
もの,そして慈善によるものを含めた援助が欠か
せない。