日本の牛乳・乳製品・生産体制は、

大くくりに

見た場合、

バター、脱脂粉乳、チーズ等の

乳製品生産が主体の
北海道酪農と

飲用向け牛乳生産が主
体の都府県酪農

とに分けられる。
 

 

乳用牛は、

全国で148万4000頭。

 

そのうち北海道では、

全国の55・7%にあたる

82万6800頭が
飼育されている。

 

関税ゼロになれば
次のような事態になると、

農林水産省は

シナリオを描いている。
  「バター、脱脂粉乳、チーズ等の

乳製品は、

内外価格差が大きく

(バター、脱脂粉乳では約3倍)、

品質格差もほとんどないため、

国産のほぼ全量が

外国産に置き換わる」

 

「乳製品の急増により

行き場を失った

北海道の乳製品

向け生乳が

都府県の飲用向けに供給され、

都府県の生乳生産は

プレミアム牛乳向け

を除いて消滅」

 

 

「なお、飲用乳は、

輸送技術の発達等により

輸入が可能になり、

価格も牛乳で

国産の1/2

程度

(内外価格差約2倍)

であるため、

業務用、 加工乳等を中心に

国産の2割程度が

置き換わる」。

 

 

そして、牛乳乳製品
の生産減少額は、

4500億円に

るとしている。
 

 

要するに、

北海道酪農は、

乳製品向け生産が

存続できなくなるため、


飲用乳向け牛乳生産に

転換するが、


それでも

生産量は2割削減。

 

66万頭
を飼養している都府県酪農は

、一部のプレミアム牛乳向け

を除いて

消滅することになる。

 

 


  北海道酪農の

平均的経営規模は、
107頭/ー戸で、

都府県酪農の

平均的経営規模は、

46頭/1戸。

 

北海道酪農は、

低コストで

牛乳生産が

できるため、

都府県酪農が

北海道酪農
との競争に

負けることになる。

 


  これで都府県だけで、

1万4210戸の酪農家が

離農に追い込まれる

 

都府県の生乳生産は
プレミアム牛乳向けを除いて消滅
−−−−
ことになる。
  牛肉については、どうか。肉用牛
は、全国で289万2000頭(そ
のうち96万8300頭が乳用種)が
飼養されており、7万4400戸の
畜産農家が肉用牛生産に従事してい
る。農水省のシナリオは、関税ゼロ
で次のようになると指摘している。
  「外国産牛肉の価格は、国産のI/
3程度(内外価格差3倍弱)」「肉質
3級以下の国産牛肉(生産量の約75
小倉正行(おぐら・iさゆき)
1976年、京都人学法学部卒。日
本農業市場学会、日本利・学=各会
議、各会貝。政策秘書。主な薔
書に口PPは国を滅ぼすJ (宝
島社),『よくわかる食品衛生法■
WTO協定 コーデックス食品規
格………Pr!] ・-答j「イラスト版これで
わかる翰人食品の話i」(以上、
合同出版)。他、論文多数。

?
このシナリオの深刻さは、乳用種
(ミルク生産専用の牛)のほぼ全量
が、駆逐されることである。
  それは、酪農生産にも深刻な打撃
を与える。酪農生産のためには、乳
牛を妊娠させなければならない。妊
娠して生まれる子牛は、オス、メス
半分ずつである。メス牛は乳牛にな
るが、オス牛は、肥育農家に売られ、
肉用牛として飼養されることになる。
  このオス子牛は、酪農家にとって、
貴重な収入になるのである。乳用種
が市場から駆逐され、販売できなく
なれば、この酪農生産のシステムも
破綻してしまい、酪農生産も行き詰
まることになる。
  なぜなら、乳用種が販売できなけ
れば、肥育農家の経営が成り立たず、
肥育農家は、離農に追い込まれる。
酪農家は、オス子牛を成牛になるま
で育てなければならなくなり、その
コストは、回収できず、経営が成り
立たなくなるからである。
  今、令国で飼養されている豚は、
989万9000頭(2009年)
いる。約1000万頭である。主要
な生産県は、鹿児島県(134万
外国産牛肉の価格は、
国産の3分の1程度(内外価格差3倍弱)
%。乳用種のほぼ全量と肉ヤ用種
〈和牛肉〉の約半分に相当)が外国
産牛肉に置き換わり、肉質4、5等
級の国産牛肉は残る」
  この結果、生産減少額は4500
億円に上る。
  この農林水産省のゼロ関税のシナ
リオは、国産牛の3分のIの価格の
外国産牛肉が輸入されることによっ
て、216万9000頭の肉用牛が
駆逐され、5万5800戸の畜産農
家が離農に追い込まれるとしている。
  生き残るのは、松阪牛や胆沢牛等
の肉質4、5級という高級牛肉を生
産する畜産農家だとしている。
酪農生産のシステムも
破綻してしまう
頭)、宮崎県(91万5000頭)、茨
城県(65万9000頭)、千葉県
(64万5000頭)、群馬県(61万9
000頭)であり、この5県で全国
の豚肉牛苦雁の42・2%を占めるこ
とになる。全国の飼養農家数は、6
890戸である。
  農林水産省の試算では、この豚肉
生産もTPP加入による関税撤廃で、
「銘柄豚は残り、その他は置き換わ
る」とされ、生産減少率は70%にな
るとしている。
  約700万頭の豚が輸入豚肉によ
って不要となり、生き残る豚は、黒
豚、三元豚、金華豚などの銘柄豚3
00万頭ほどにすぎないことになる。
飼養農家も、4823戸が離農に追
い込まれることになる。
  現在、日本国内の小麦生産は、作
付け面積20万8300ヘクタール、
収穫量は67万4200トン(200
9年)で、そのうち収穫量の59%に
当たる40万トンが、北海道で生産さ
れている。北海道以外の雅な産地は、
福岡県5万1200トン、佐賀県3
万9400トン、群馬県2万570
0トン升一続く。
  目本の小麦の自給率は、わずか11
%であるが、TPPに加人すること
によって関税撤廃となるなら、「国
内産小麦100%をセールスポイン
トとした小麦粉用小麦を除いて置き
換わる」と農林水産省は試算、生産
佐賀県3万9400トン(5.8%)
小麦がすべてなくなる(国内シェア)
全国67万4200トン
(100%)
その他15万7900トン(23.4%)
群馬県2万5700トン(3.8%)
サトウキビ生産が支える
離島経済
甘藷
6ヰ00レ
旱害
囃皿瀞   サトウキビ  C匡獅
        818がり 離島経済は
     。絹物
ンが、同地での小麦の牛敵量40万ト
ン、米の生産量54万3000トンと
比して格段に多いことでもわかるよ
うに、てん菜は畑作作物の主力農産
物である。
  これらのぼ味資源作物は、TPP
加入による関税撤廃で「品質格差が
なく、すべて(筆者注一輸入品に)
置き換わる」(農林水産省の試算)
とされ、生産減少率は100%にな
る。
  すなわち甘味資源作物生産がゼロ
になる、生産が壊滅するとしている
のである。
  このことは、沖縄県や鹿児島県の
離島経済を破綻させ、北海道の畑作
を壊滅させることになるのである。
これらの道県が強い反対運動を展開
減少率は99%、文字通り壊滅すると
している。
  特に、国内生産の6割を占める北
海道の打撃は大きい。
  小麦を含む畑作は、連作障害を防
ぐために、輪作体系を作って営まれ
ている。小麦生産が成り立だなくな
れば、北海道の輪作体系も崩れ、畑
作全体が打撃を受けることになる。
  甘味資源作物とは、砂糖の原料作
物である。日本では、サトウキビと
てん芙が、甘味資源作物となる。サ
しているのも、このことに危機感を
抱いているからである。
  でんぷん原料作物とは、日本では、
馬鈴薯でんぷん粉と甘藷でんぷん粉
向けに作られる馬鈴薯(ジャガイ
モ)と甘藷(サツマイモ)である。
  でんぷん原料用の馬鈴薯は、全量
北海道だけで生産されている。生産
量は、106万1000トン(20
09年)にも及ぶ。それは、全国の
馬鈴薯生産量244万1000トン
の43・4E 0を占め、市場販売向け馬
鈴答の生産量49万3000トンの
2・15倍の生産量になる。
  でんぷん原料用のサッマイモは、
すなわち甘味資源作物生産が
ゼロになる
トウキビは、沖縄県と鹿児島県で生
産されているが、作付け面積(20
09年)は、沖縄県で1万2800
ヘクタール、鹿児島県で1万300
ヘクタールに及び、生産量は合わせ
て151万5000トンになる。
  沖縄県も鹿児島県もサトウキビ生
産は、離島経済を支えている。
  てん菜は、ビートとも言われてい
るが、全量北海道で生産されている。
作付け面積(2009年)は、6万
4500ヘクタールで、生産量は3
64万9000トンにもなる。これ
も良質な砂糖原料になる。北海道で
は、その生産量364万9000ト
[TPPは国を滅ぼすU
(小倉正行著、宝島
社新書、本体667円
十税)。TPPの危険
性にいち早く警鐘を鳴
らした一冊
16万8000トン生産され、その殆
どが、鹿児島県で生産されている。
このように、でんぷん原料作物も甘
味資源作物と同様地域経済に大きな
影響を与えている作物なのである。
  TPP加入・関税撤廃を想定した
農林水産省の試算では、このでんぷ
ん原料作物も「品質格差がなくすべ
て置き換わり」、生産減少率は10
0%になるとしている。要するに生
産は壊滅するのである。北海道、鹿
児島県に与える影響は深刻である。
?
グローバリズムで各国賃金に
強い下方圧力がかかつてくる
禁を狙っているからだ。財務省は政
府支出を切り詰めるために、混合診
療全面解禁を切望している。混合診
療が全面解禁されると、公的医療保
険でカバーされる医療行為が大幅に
削減されることになるだろう。喩え
玉一白えば新幹線の開通と同時に在来
線のダイヤが激減するのと似た状況
が生まれる。
  白山貿易は原則として正しいが万
能ではない。自由貿易のために国民
の生活があるのではなく、国民の生
活のために、自由貿易を活用すべき
範囲で活用するのが正しい姿勢であ
る。
  世界経済のグローバル化か進展し、
市場原理主義がグローバルに広がっ
ている。巾場原理仁義を一言で表す
なら、「匪界辰低価格での。物一価
の浸透」ということになる。街道筋
のガソリン店の価格競jを思い起こ
していただきたい。一円でも安い店
があれば客はその店に集中する。結
米として、最安仙に仙格は収斂する。
  グローバルにこの川吹か広かるた、
製目1111仙格か叫田々晨安仙の労働〜シで
製造される仙格に収斂し、このこと
今通じて、外国八分に強いドぢ圧力
かかかってくる。
  これか、川代先進国で几通して発
生している格差問題の基本背景であ
る。小泉竹中政治が労働市場の規制
撤廃を強行推進した結果、2008
年末に年越し派遣村の惨状が広がっ
たことは記憶に新しい。
  私たちは強欲資本ド義の終着点と
も。。。‥えるサブプライム金融危機を経
嶮した。他方で、3・‐の人吉災で
は決して起こしてはならない原発放
射能巾故を経験した。効率のみを追
求し、巾場原理仁義ですべてを仕切
る風潮に対する、根本的な見直しの
ときを迎えている。
  コメ問題を単なる経済問題と捉え
る視点に誤りがある。米作は経済行
  1人間にとってりましい制度とは
いかにあるべきか」をまず考察すべき
まだまだ記憶に新しい2008年12月の年越し派遣村(共同通信)
為であると同時に、日本古来の伝統
文化、美しい田園風景の保全、国土
の治水・治山などと深い関わりを有
する。
  また、日本の公的医療保険制度は、
すべての国民が貧富の差にかかわり
なく、いつでもどこでも、必要十分
な医療を受けることを保障する世界
でも優良とされている制度である。
これを破壊して、医療の分野に強烈
な貧富の格差を導入することが本当
に望ましいことなのか。
  自由貿易主義、市場原理を絶対善
とし、これを基準にものを考えるの
ではなく、人間にとって望ましい制
度とはいかにあるべきかをまず考察
し、そのうえで市場原理なり、自由
貿易主義の長所を取り入れるという
賢明さを私たちは取り戻すべきだ。
92
93
?
TPPに反対するということは
日本のあり方を考えるということ
  各先生方のインタビューや執筆された原稿
を読んでいて、ひとつ感じたことがある。そ
れは、TPPに反対するということは、日本
のあり方を考えることであるということだ。
もっと大きくいえば、世界のあり方を考える
ことだということ。
  日本政府はアメリカの要望どおり、TPP
に突き進んでいくだろう。アメリカが描いた
世界戦略の中でのみ、日本の立ち位置を考え
る。アメリカの利害の枠内でのみ日本の利害
を考える。それはとっても楽なのだ。日本の
国家戦略をアメリカに預けてしまえばいいの
だから。そうすれば、アメリカの飼喝にもあ
わなくて済む。日米関係は安泰だ。
それとも、違う道を選ぶのか。それはどんな
道なのか。デフレ下で。失われた20年”から
どう脱却するのか。欧州危機に見舞われてい
るEUとどう付き合っていくのか。次の盟主
といわれる中国とはどう付き合っていくのか。
ブラジルやロシア、南アフリカとは。そして、
ASEAN諸川とは。
  課題はたくさんある。でも、根本はひとつ
だと思う。どんな社会がいいのか。どんな‐
本がいいのか。どんな匪界がいいのか。それ
を考えることだと思う。
アメリカとともに
沈んでいく日本になるのか
  いままではそれでよかったのかもしれない。
しかし、リーマンショック以降、アメリカが
世界の盟主でいられなくなっている現在、身
の振り方を日本自身が、日本人自身が考えな
くてはならなくなってきている。それは避け
ることができない。避けることは、アメリカ
の属国になるということだ。それは楽かもし
れないが、アメリカに余裕がなくなっている
現在、アメリカとともに沈んでいく国に日本
がなるということだ。
  「新白由主義」がいいのか。このまま格差社
会がよりひどくなっていく世界がいいのか。
日本の未来はTPPに反対する我々にかか
つている々のだ